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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2023/10/23 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.211: 日銀金融システムレポート


今回は20日に公表された日銀金融システムレポートの紹介です。日銀が毎年4月、10月に公表するレポートで、日銀の金融システムの安定性に対する評価が示されます。

金融機構局が執筆しますが、3か月ほど前、その局長人事が本石町界隈で話題を呼びました。金融政策を所掌する企画局長と金融システムを所掌する金融機構局長がスワップされたからです。リサーチ畑も長い現金融機構局長の意を受けてか、前回より分析が精緻になった印象を受けました。

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金融システムは安定
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総括評価は「わが国の金融システムは、全体として安定性を維持していると評価できる」です。世界的にも、3月の米欧での金融機関破綻を受け、一時金融システム不安が高まりました。急速な預金流出を経験した当局者は、預金の粘着性や金利上昇に伴う保有有価証券の損失に注意を向けました。しかし、日本に関しては「流動性についても、小口の粘着的な個人預金を中心とした、安定的な資金調達基盤を有している」と評価します。また、金融機関の金利リスクについて総点検を行ったうえで、「コア預金を勘案した金利リスク量は、全体としてみれば、資産と負債が概ねバランスした姿となっている」とします。そして、3月以降も「わが国の金融システムは健全かつ頑健である」と宣言します。

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テールリスクへの警戒は重要
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ただし、手放しで「大丈夫」と言っている訳ではなく、注意喚起も怠りません。

一般論として、「各国中央銀行の金融引き締め継続とそれに伴う海外経済の減速懸念など、ストレス局面は一段と長引く可能性がある」「金融資本市場においても、先行きの不確実性が指摘されている」と警鐘を鳴らします。

具体的には、以下の4点を注目します。

(金融機関の金利リスク)
・民間債務が増加する過程で、企業・家計部門の借入期間が長期化しています。このため、上記のように「金利リスク量は資産と負債が概ねバランス」とは言っても、以前に比べて慎重なリスク管理が求められます。

(不動産のバリエーション)
・不動産業の負債と資産、不動産価格それぞれの面で変化がみられます。とくに価格面では、局所的に高額帯の取引が増えています。このため、不動産市場の動向への注意は引続き必要です。

(企業のデフォルト)
・企業全体では、これまでのコロナ関連融資などによる手元資金増加で、デフォルトは抑制されてきました。しかし、経営悪化が続く企業では、手元資金減少に歯止めがかからず、デフォルトの抑制効果が弱まっています。この注意が必要ですし、金融機関として、貸出先企業の経営改善に向けた本業支援を加速させる必要があるとします。

(海外金利の高止まり)
・海外金利の逆イールド化というストレスに対する金融機関の耐性は改善しています。ただ、海外金利が高止まりする中、その損失吸収力には下振れリスクが残ると指摘されます。

簡潔過ぎたかもしれませんが、今回はこの辺で。

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