プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2023/10/09 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol209: 日銀短観


1週間経ってしまいましたが、2日公表の日銀短観を簡単に紹介します。

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業況判断は改善
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業況判断は数字が大きいほど良く、「良い」「悪い」の回答が拮抗するとゼロ、マイナス幅の拡大は業況悪化を表します。以下の仕入価格・販売価格等も同じですが、理論的には-100(全社「悪い」と回答)から100(全社「良い」と回答)の間で数字が動き、0が拮抗点です。

最も注目される製造業大企業は、前回5 今回9 先行き見通し10と2回連続で改善しました。とくに自動車は前回5 今回15 先行き11と、先行きやや慎重とは言え大きな改善です。いわゆる供給制約の緩和や輸出企業には有利な円安が、他の悪材料をおさえた格好です。製造業全体では前回-1 今回0 先行き2です。

非製造業大企業は、前回23 今回27 先行き21と改善です(先行き慎重な見方は一種の癖のようなものです)。コロナ禍の影響を最も受けていた宿泊・飲食サービスは前回36 今回44 先行き41と絶好調。非製造業全体は前回14 今回16 先行き11です。

全ての企業の業況判断は、前回8 今回10 先行き8です。

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仕入価格は落ち着き方向
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仕入価格・販売価格とも「上昇」の回答が「下落」の回答を上回る構図に変化はありませんが、判断の数字自体は低下傾向です。

大企業で説明すると、製造業の仕入価格は前回52 今回48 先行き42。販売価格は前回34 今回32 先行き26。非製造業は仕入価格で前回44 今回43 先行き42、販売価格で前回28 今回27 先行き26です。

注意が必要なのは、引続き「上昇」の回答が「下落」の回答をかなり上回り、かつ、仕入価格判断の数字が販売価格判断の数字を超える(=仕入価格上昇に直面した企業の全てが販売価格を引き上げられた訳ではない)傾向が長く続いていること。このこともあって、経常利益は全体で今年度-2.7%の減益を見込みます。

ただし、設備投資意欲は旺盛です。ソフトウェア・研究開発を含み土地投資を除くベースは、全体で2023年度+13.3%の増加が計画されています。

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目立つ人手不足
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雇用人員判断(マイナスが大きいほど不足)は全体で前回-32 今回-33 先行き-37と不足感がさらに強まっています。非製造業中小企業に限ると前回-43 今回-44 先行き-50と不足感が際立ちます。この人手不足問題が、日本経済が直面する最大の課題と言えるでしょう。

なお、金融システム面では「資金繰り判断」「金融機関の貸出態度判断」に変調は見られず、全体で前者は前回11 今回11、後者は前回16 今回16です。

今回はこの辺で。

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