プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2021/12/20 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.136: 短観と決定会合


今年もあと10日余り。今週は日銀短観(13日公表)と日銀金融政策決定会合(16、17日)の日銀物2つを紹介します。

***********
非製造業改善も仕入価格上昇
***********

今回の短観の特徴は、非製造業の業況判断の改善と、製造業・非製造業を通じた仕入価格上昇の2点と思います。報道もこの2点に集中しました。

(1)業況判断
・業況判断は数字が大きいほど良く、「良い」「悪い」の回答が拮抗するとゼロ、マイナス幅の拡大は業況悪化を表します。
・いつも最も注目される大企業製造業は、前回と同じ18、先行き見通しは13とやや悲観的です。中小企業製造業は前回-3 今回-1 先行き-1とほぼ横這いでした。
大企業非製造業は、前回2 今回9 先行き8と大分改善しました。前回までひどい状況だった宿泊・飲食サービスが前回-74 今回-50 先行き-28と大分マシになってきたことが背景です。中小企業非製造業は前回-10 今回-4 先行き-6でした。
・なお全ての企業の業況判断は、前回-2 今回2 先行き0と何とか水面上に浮上しました。

(2)仕入価格
・数字が大きいほど「上昇」の回答が多いことを示します。
・大企業、中小企業とも同じ傾向なので中小企業で説明すると、製造業は前回50から60に跳ね上がり、先行きも61です。販売価格も前回9 今回16 先行き22と「上昇」の回答が増加傾向ですが、仕入れ価格上昇に追い付いていないことがみてとれます。
・非製造業は、仕入価格で前回29 今回39 先行き41、販売価格で前回1 今回6 先行き10です。
・ただし、経常利益でみると中小企業全体で昨年度-14.7%の減益後、今年度は+15.2%の回復を見込み、しかも前回調査比で+5.8%上方修正されています。仕入価格上昇がストレートに業況判断や収益の悪化に結び付いてはいないようです。

(3)その他
・GDPにも影響する設備投資(ソフトウェア・研究開発を含み土地投資を除くベース)は、全体で前年度比+8.5%と昨年度(-8.5%)から盛り返す数字です。ただ前回調査比-0.8%で、更に増やす勢いはありません。
雇用人員判断(マイナスが大きいほど不足)は全体で前回-17 今回-21 先行き-24と不足感が強まる傾向です。
資金繰り判断(プラスが大きいほど楽)は全体で前回+11 今回+12です。

***********
景気判断は現状不変
***********

次に金融政策決定会合。景気の現状に関する基調判断は前回(10月)と不変です。需要項目では、個人消費が上方修正、輸出も表現がやや強めに、他方で公共投資は下方修正です。

・基調:内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している
・個人消費:感染症によるサービス消費を中心とした下押し圧力が幾分和らぐもとで、徐々に持ち直している
・設備投資:一部業種に弱さがみられるものの、持ち直している
・住宅投資:持ち直している
・公共投資:高水準ながら弱めの動きとなっている
・輸出:供給制約の影響による弱い動きが残っているものの、基調としては増加を続けている

先行きについては、展望レポートが公表された前回(10月)と展望レポート無しの今回ではスタイルが異なるため比較が難しい面もありますが、目先はコロナ感染の落ち着きや供給制約の影響の緩和を期待するやや強めのトーンになりました。

・基調:感染症によるサービス消費への下押し圧力や供給制約の影響が和らいでいくもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる。その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが家計部門を含め経済全体で強まるなかで、わが国経済は、ペースを鈍化させつつも潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる

リスク要因は以下が挙げられます。
・感染症の動向や、それが内外経済に与える影響
・とくに、感染抑制と経済活動の両立が円滑に進むかどうか不確実性が高い
・一部でみられる供給制約の影響が拡大・長期化するリスク

***********
新型コロナ対策を一部取りやめ
***********

今回の最大の話題は、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムの一部を予定通り来年3月末で終了することを決定したことです。日銀の発表文は例によって分かりにくいのですが、扱いが3通りに分かれます。

(1)来年3月末で予定通り終了
・大企業向け融資や住宅ローンを対象とした支援
・CPと社債の買入れ増額
CPも社債も発行者は大企業。要は大企業と住宅ローンについて特別の支援は不要になったとの判断です。

(2)来年9月末まで現行のまま延長
・感染症対応にかかる中小企業等向けプロパー融資を対象とした支援
飲食・宿泊などまだまだ苦しい業種もあるので、支援を延長継続します。

(3)来年9月末まで延長するが金融機関へのインセンティブを弱めるもの
・テクニカルなので詳しくは触れませんが、感染症対応にかかる中小企業等向けの制度融資(信用保証協会の保証が付される融資)を対象とした支援がこれに該当します。

今回はこの辺で。今年はあと1回ですね。

メルマガ「CRUのひとり言」を購読するためにはご登録のお手続きが必要です。

当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。

コメントを残す

* が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。