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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2021/09/27 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.124: 月例経済報告と金融政策決定会合


ぐっちーの死から2年経ちました。改めてご冥福をお祈りします。その後もう1人同級生を失いました。61歳を迎え始め、やむを得ないことでしょうか…

さて、今回は16日公表の内閣府月例経済報告と22日公表の日銀金融政策決定会合を淡々と紹介します。

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内閣府:やや下方修正
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現状の基調判断は、先月までの「一部で弱さが増している」から「このところその(持ち直しの動きの)テンポが弱まっている」にやや下方修正されました。微妙な官庁用語で分かりにくいですが、弱さが一部から全体に広がった印象でしょうか。ポイントは個人消費が「サービス支出を中心に弱い」から全体として弱いとの判断に変更されたことによります。

・基調:景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、このところそのテンポが弱まっている
・個人消費:弱い動きとなっている
・設備投資:持ち直している
・住宅建設:このところ持ち直しの動きがみられる
・公共投資:高水準で底堅く推移している
・輸出:緩やかな増加が続いている
・輸入:このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる

先行きの基調判断では半導体不足問題の影響が反映され、「サプライチェーンを通じた影響」との文言が挿入されました。

・基調:感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、内外の感染症の動向、サプライチェーンを通じた影響による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある
・個人消費:感染拡大の防止策を講じるなかで、持ち直しに向かうことが期待されるが、感染症の動向による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある
・設備投資:不透明感が残るものの、成長分野への対応等を背景に、機械投資を中心に持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:持ち直しの動きが続くと見込まれる
・公共投資:底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:海外経済が改善するなかで、増加傾向が続くことが期待される。ただし、一部地域を中心とした感染の再拡大によるリスクに留意する必要がある
・輸入:持ち直していくことが期待されるが、感染症の動向、サプライチェーンを通じた影響による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある

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日銀:ほぼ不変
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景気の現状判断は前回(7月)と不変です。需要項目別には、住宅投資がやや上方修正、輸出に「一部に供給制約の影響を受けつつも」との文言が挿入されました。

・基調:内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している
・個人消費:飲食・宿泊等のサービス消費における下押し圧力が依然として強く、引き続き足踏み状態となっている
・設備投資:一部業種に弱さがみられるものの、持ち直している
・住宅投資:持ち直している
・公共投資:緩やかな増加傾向を続けている
・輸出:一部に供給制約の影響を受けつつも、増加を続けている

先行きについては以下の見通しが述べられています。展望レポートが出る回とそうでない回で書き方が少し異なるので比較が難しい面はありますが、ほぼ不変とみて良いと思います。

・基調:当面の経済活動の水準は、対面型サービス部門を中心に、新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて低めで推移するものの、ワクチン接種の進捗などに伴い感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる。その後、感染症の影響が収束していけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムが強まるもとで、わが国経済はさらに成長を続けると予想される

リスク要因としては以下の点が指摘されます。

・新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響といった点についての不確実性の大きさ
・企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下しないか
・金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるか

なお、今回は気候変動対応を支援するための資金供給オペレーションの詳細が決定・公表されました。

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あとがき
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日本経済は冴えない状況が続き、みていてつまらない感じですが、米国、欧州、中国はダイナミックに動いています。引き続きSaltさんのメルマガに注目です。

緊急事態宣言解除も視野に入り、他方で早くも第6波への警鐘も聞かれます。ワクチン・治療薬・病床・検査を含めた医療体制の頑健性が高まらなければ、この1年半の出来事が再び繰り返されるかもしれません。他方で、デルタ株とは言っても、ワクチン接種率が8割に達する11月にもこれまで同様の行動制限が課されるとすれば、納得感は得難いと思います。ワクチンパスポート活用に加え、例えば酒類提供一律禁止でなく「席数の5割まで、1組4名まで2時間以内」など、よりきめ細かい対応を考えて欲しいと思います。

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