プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2021/05/24 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.106: GDP沈没…


今回は18日に公表された1~3月期GDP1次速報値のおさらいをします。わが国では何かにつけて「年度」が大事にされますが、2020年度GDPの速報値も合わせて出たので、こちらの方が「リーマン危機時を上回る」「統計の連続性が確保される範囲で最大の」落ち込みとして話題になり、皆さんも既にご存知と思います。

***********
1~3月期のGDP前期比
***********

まずは1~3月期から。実質GDPの季節調整済前期比はマイナス1.3%(年率換算でマイナス5.1%)と減少しました。2019年10~12月期(消費税率引上げの反動減)、2020年1~3月期・4~6月期(何れもコロナ禍の影響)と3四半期連続で落ち込んだ後、7~9月期・10~12月期は何とかプラス成長を確保しましたが、再びマイナス成長となった訳です。

内需、外需ともマイナスでした。内需の寄与度はマイナス1.1%、外需(純輸出)の寄与度はマイナス0.2%です(2つの寄与度を加えると丁度マイナス1.3%になります)。

内需の内訳をみると、民間最終消費支出は前期比マイナス1.4%(寄与度マイナス0.7%)とコロナ禍の影響がストレートに出ました。とくに外食の落ち込みが目立ちました。民間企業設備も前期比マイナス1.4%(寄与度マイナス0.2%)と振るいません。今期は公的需要も前期比マイナス1.6%(寄与度マイナス0.4%)と足を引っ張りました(予算が減った訳ではないので、執行の息切れです)。

外需をみると、輸出は一応前期比プラス2.3%(寄与度プラス0.4%)となりましたが、輸入の伸び(前期比プラス4.0%(寄与度マイナス0.6%:輸入増加はGDP減となります))の方が大きく、純輸出としてはマイナスでした。輸出は昨年7~9月期から急回復してきましたが、話題の半導体不足の影響で伸びが抑えられた格好です。

まとめると、コロナ禍の影響、半導体不足、予算執行の息切れ、設備投資の不冴えが重なった訳です。

***********
2020年度のGDP前年比
***********

続いて2020年度。実質GDP前年比マイナス4.6%と大きく落ち込みました。2019年度に続き2年連続のマイナス成長になった訳です。

内需の寄与度はマイナス4.1%、うち民間需要の寄与度はマイナス4.9%、公的需要の寄与度はプラス0.8%です。外需の寄与度はマイナス0.6%でした。公的需要が下支えしましたが、それを国内民間需要、外需の落ち込みが大きく上回った訳です。

国内民間需要(前年比マイナス6.5%、寄与度マイナス4.9%(再掲)を項目別にみると、以下の通りです。何れも年度を通してみるとかなりの減少です。

民間最終消費支出:前年比マイナス6.0%、寄与度マイナス3.3%
民間住宅:前年比マイナス7.1%、寄与度マイナス0.3%
民間企業設備:前年比マイナス6.9%、寄与度マイナス1.1%

外需(純輸出)をみると、輸出入ともマイナスです。

輸出:前年比マイナス10.4%、寄与度マイナス1.8%
輸入:前年比マイナス6.8%、寄与度プラス1.2%:繰り返しですが輸入減(増)はGDP増(減)につながります

世界経済も中国を除きマイナス成長だった訳で、日本も傾向は変わりません。コロナ禍が、国内における自粛や海外需要・インバウンドの落ち込みを通じ、日本経済を直撃した格好です。

***********
今後どうなるのか?
***********

このように散々なGDPでした。これを水準でみると一段とよく分かります。

2020年度の実質GDPは526兆円でした。ピークは2018年度の554兆円。526兆円より低いGDPは2012年度(518兆円。この時安倍政権が誕生しました)まで遡ります

2021年1~3月期の実質GDP(季節調整済年換算)は534兆円。コロナ禍の影響が最も大きく出た昨年4~6月期の500兆円と比べればかなりマシですが、それ以前では2014年10~12月期(529兆円)まで遡ります。

GDPがコロナ前(2019年)の水準である551兆円に戻るのは来年度(2022年度)と言われます。欧州も似た状態ですが、中国や最近回復が目覚ましい米国に大きく後れをとります。元々潜在成長率が低いことに加え、仮に開催されてもオリンピック・パラリンピック需要の盛り上がりが見込めず、さらにワクチン接種の遅れで所謂「ペントアップ需要」(コロナで抑圧された需要)の顕在化は後ずれが見込まれます。ワクチン接種率が上がる年末近くまで、日本のGDPに関し良いニュースを聞くことは難しいかもしれませんね。

メルマガの申し込みにはご登録のお手続きが必要です。

当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。

コメントを残す

* が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。