2020/10/12 06:30 | by Konan | コメント(3)
Vol.75(通算300号): 金融庁金融行政方針
今回は、公表(8月31日)から時間が経ってしまいましたが、氷見野長官になり初めてとなる金融庁の金融行政方針を紹介します。金融行政方針が初めて出されたのは森長官の時でしたので、遠藤長官を経て第3世代に入った訳です。
今回の標語は「コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く」。1枚にまとめられた概要のURLを付けておきます。構成としては、1.が金融機関関係、2.が金融資本市場関係、3.が金融庁関係となっていますが、内容的には、1.の前半が「今の戦い」、1.の後半と2.が「コロナ後」に焦点を当てた格好になっています。概要を見て頂く方が早い気もしますが、以下が骨子です。
1.新型コロナウイルス感染症への対応に取り組む。金融機関が金融仲介機能を発揮して、企業や家計をしっかり支えられるよう、行政としても万全を期す。あわせて、コロナ後の経済の力強い回復と新しい社会の建設に備えられるよう目配りしながら、対応を進める。
2.我が国の金融資本市場の機能を高め、アジアや世界における役割を高められるよう取り組む。地政学的なリスクなどが強まるなかで、日本市場は国際的なリスク分散にも貢献できる。我が国も世界全体にも役立つ形で日本市場を発展させられるよう、知恵をしぼる。
3.「金融育成庁」として力を発揮できるよう、金融庁自身の改革を進める。コロナ対応を契機とした働き方改革を更に進化・定着させる。職員が自由闊達に議論し、イニシアティブを発揮できる庁風を築く。実態把握力や政策的な構想力の水準を高める。
国際派として知られる氷見野長官らしさは、上記2.で日本市場の国際的な位置付けについて語られたことに表れていると思います。香港が国際的な市場から中国の市場に姿を変えていくことが見込まれる中で、日本市場の地位を上げる恐らく最後のチャンスと言われています。英語力、税制など前途多難ですが、具体的な展開を期待しています。
金融庁幹部に聞くと、概要の中で最も重要なセンテンスは、1.の後半にある「新しい産業構造への転換を支えられる金融のあり方について検討を始める」のようです。菅内閣の最大のテーマである構造改革に対して金融庁として何が貢献できるか問われています。その回答探しの1年が始まった訳です。
さて、菅総理と金融庁と言えば、菅総理の「地銀再編」発言が話題になっています。この点に関し金融行政方針(本文)は次のように語っています。
「持続可能な収益性や将来にわたる健全性に課題がある地域金融機関とは、早期警戒制度等に基づく深度ある対話を行い、持続可能なビジネスモデルを構築するための実効性のある対策を求めていく。その際、先の通常国会で成立した改正金融機能強化法や独禁法特例法をはじめとする各種施策の活用、システム等の業務基盤・管理部門の効率化も含めて、経営基盤の強化にどのような方策があり得るか、幅広く検討を促す。」
昨年変更された早期警戒制度では、将来の収益性や健全性に関するシミュレーションに基づき地域金融機関と対話を行い、早め早めに経営改善を促すこととされました。その出口として、ひとつは金融機能強化法を用いた資本増強、もうひとつは独禁法特例法を用いた合併が用意されました。菅総理の言葉に従うなら、このうち後者が用いられていくことになります。現に報道では青森県内での地銀再編話しが浮上しています。ただ、低金利が続く中、またコロナ禍で景気が落ち込む中、地域金融機関を巡る経営環境は厳しさを増しています。この下方トレンドの先手を打つことが出来るか、氷見野金融庁の真価が問われます。
さて、今回で新旧合わせCRUのひとり言が300回を迎えました。旧ひとり言は政権交代が起きた2009年9月に連載が始まり、週1回の執筆を続けましたが、官僚による不適切なSNS騒ぎで書き続けることが難しくなり、2013年12月に終了しました(225号まで)。その後民に転じ、久々にぐっちーに会い、2018年8月から新ひとり言を始めました。月2回のペースでしたが、新型コロナウイルス感染症を契機に週1回に近い形に変わり、今回通算300号となりました。
旧の頃はぐっちーが主役、今はJDさん、Saltさんが主役で、私はずっと裏方・脇役です。その分気楽な一方、余り役立っている気もせず、複雑な気持ちで連載を続けてきたところです。ただ、JDさん、Saltさん、編集部さんとの定例飲み会も楽しく、また亡きぐっちーのこともあり、連載は続けようと思っています。今後ともよろしくお願いします!
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3 comments on “Vol.75(通算300号): 金融庁金融行政方針”
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記念すべき300号、おめでとうございます。
2009年からでしたか。感慨深いですね。
ブログのパワーアップとツイッターもあり、以前にもましてKonanさんの発信は存在感を増していると思います。
ぜひますますの発信をお願いします!
300号おめでとうございます
さて、金融庁といえば半沢直樹ではなくやはりドコモでしょう
先の7ペイは資金流出で会社解散の憂目にあいましたが
今回もドコモも実質上の解散ですよね
世間ではTOBと好意的に捉えていますが
実態は
金融庁制裁と私はみています
私も金融で少しごはんをたべさせていただいた身ですので
たぶん、金融庁制裁だねと感覚上思います。
そこから派生したのが
地銀のデジタル化遅れで
これが地銀再編の流れが出たと思います。
問題は
数々のトラブルを抱える
ゆうちょ
業務停止命令も受け
今回もドコモの巻き添えを喰らい
流出
もう金融庁からみれば
銀行の体を為していないと思います。
過剰営業から始まり
流出につぐ流出
半官半民ではなければ終わっている銀行ですよね
資産売却などのウルトラCなど出る可能性があると思っています。
経営者交代など生ぬるい制裁では
済まないですよね。
世間の注目も高いですし
これを取り上げてほしいですけど
いかがでしょうか
生意気を言ってすいません
スマホ決済業者は
ドコモ、7ペイのように
会社解散のリスクがあるということとも取れます
ペイペイ、ファミマ、AUなどの
決済業者も流出などの事件があれば
事業断念のリスクがあるという解釈も成り立ちますが
いかがでしょうか?