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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2020/01/06 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.39: 新年のご挨拶と今年のこと(1)


明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

年末年始は、就職以来初めて長い休みを取りました。予定を詰め込んだため却って疲れてしまい、仕事始めが心配です(苦笑)。その新年、米軍によるイラン司令官殺害のニュースが飛び込みました。JDさんに早速解説して頂けると思いますが、波乱の幕開けとなりました。

さて、今月は今回と次回の2回にわたり、今年の展望のようなことを書いてみたいと思います。今回は政治、次回は経済です。旧ひとり言の際は官の一員としてある程度インサイダー的な情報がありました。今ではそうしたものは無く、現役官僚やマスコミ関係者に話しを聞いたり、各種報道を読んだりする程度です。その意味で価値ある情報にはなりませんが、新年ということでご笑覧下さい。

さて、今年の年末、安倍さんは引続き総理を務めているでしょうか?

関連した問いとして、「解散」はいつでしょうか?様々な見方がありますが、「年内解散は無い」との見方はほぼ無いように思います。解散が無いとの見方がほぼ無い理由は、任期満了まで衆議院選挙が無かった例がこれまで殆どなく、また、任期満了が近付くにつれ追い込まれ感が強まってしまうからです。前回選挙は2017年秋だったので、既に任期の半分が過ぎています。年内解散のタイミングとして、1月、春頃、7月、9月以降など複数の見方に分かれている状況と思います。

1月解散説は野党側(とくに枝野党首)が喧伝しています。恐らく野党再編・統合に向けモメンタムを高めるための戦術と思います。また、少し前であれば1月選挙もあり得たかもしれません。しかし、在任期間最長となり不沈艦のような安倍内閣も、相次ぐ大臣辞任、桜を見る会問題、そしてカジノ疑惑等を受け、支持率が低下局面にあります。過去の例をみると支持率はそのうち再浮上するでしょうが、流石に1月は早過ぎる(自民党の議席減が相応になる恐れが高い)気がします。また、良く報道されるようにこれまで一枚岩だった安倍総理と菅官房長官の間の隙間風も囁かれます。この噂の背景は、辞任した2人の大臣が菅グループであり、またカジノ(IR)も菅長官主導案件で(更に言えば二階幹事長は親中国派で)、安倍派が菅派追い落としのためスキャンダルを表に出したと言われることにあります。「安倍・麻生・岸田」vs.「菅・二階」の構図とも言われます。党内が一枚岩でないと、いくら野党が弱体と言えども、また自公過半数割れはあり得ないと言えども、解散総選挙は少し怖い気がします。

春頃、例えば補正予算と2020年度予算成立後の解散は、支持率も少し回復しているでしょうしタイミング的に良いのですが、習近平国家主席の訪日や立皇嗣の礼など大きな行事との関係で難しいと言われます。ただ、選挙のプロなら何とか日程を見出すかもしれません。

7月説は東京都知事選と同日説です。ただ、オリンピック・パラリンピック直前にあえて選挙をするか、粘り腰の小池知事に勝てる候補を自公で見出し同日選挙のメリットを発揮することが出来るかなど、難点もあります。

9月以降年内説は、オリンピック・パラリンピックを成功させ、その祝賀ムードに乗り、かつ今のスキャンダルから完全に脱却した時点の解散説です。個人的には春頃説も捨て難いですが、恐らく9月以降説が現時点で最も有力と思います。

さて、冒頭掲げた安倍総理の行く末。論理的には、四選を狙う、自民党総裁任期が満了となる来年9月に退任する、その前に退任する、との3つの選択肢があります。ただ、二番目は無いように思います。面白みに欠け安倍さんにとりメリットが無いからです。このため、四選か早目の退任か何れか吟味します。

自民党の規則を再変更したうえでの四選説も有力です。野党は素より自民党内にも安倍一強を揺るがす有力候補を見出せないこと、安倍総理・総裁の悲願である憲法改正の実現には来年9月以降まで時間を要する可能性があること、が理由です。

他方、早目の退任論も同様に有力です。早目に傷付かないうちに退任する方が後々キングメーカーとしての力を残せること、安倍総理自体肉体的にも精神的にも疲労していると言われること、そして何と言っても国民の間でも政治家の間でも「飽き」が強まることが理由です。政治家の根源は権力闘争です。本音で安倍一強・長期政権を望む政治家は本来いないはずと思います。

安倍総理・総裁の理想としては、オリンピック・パラリンピック終了後のムードに乗った解散である程度の勝利をつかみ、その勢いで来年(2021年)通常国会で憲法改正の発議を行い、年央に国民投票を行い、憲法改正を実現し、任期満了の少し前に退き、後任(報道では岸田政調会長への禅譲と言われます)に道を譲り、キングメーカーとして君臨し続けることでしょう。

結局のところ、「今年の年末、安倍さんは引続き総理を務めているでしょうか?」との問いの答えは、安倍さんの憲法改正への執念の強さ度合いと、年内の解散総選挙で予想もしない逆風が吹き退任に追い込まれるシナリオの実現可能性(極めて低いと思いますが)次第でしょうか。

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