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2019/08/05 06:30  | by Konan |  コメント(1)

Vol.27: 二題話し 月例経済報告・金融政策決定会合2019年7月と日韓


夏休み月であること、最近月2回を上回る執筆ペースが続き少し貯金ができたことから、今月は今回1回限りの執筆にします。旧CRUのひとり言の際は、時々「三題話し」と題して、一回で3つの短いテーマを取り上げました。今回はひとつ足りない二題話し。一題目は、恒例の内閣府月例経済報告と日銀金融政策決定会合の紹介。二題目は日韓関係について感想を記そうと思います。

月例経済報告は7月23日、金融政策決定会合は30日に公表されました。日銀の決定会合は年8回開かれますが、うち4回(1、4、7、10月)は経済・物価情勢の展望(通称「展望レポート」)も併せて公表され、日銀の政策を決定する政策委員会メンバーの経済成長率や物価上昇率の見通しが、具体的な数字で示されます。

まずはその紹介から。

(現状)
全体:輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復している(内閣府)輸出・生産や企業マインド面に海外経済の減速の影響がみられるものの、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、基調としては緩やかに拡大している(日銀)
個人消費:持ち直している(内閣府)緩やかに増加しており、一部では前回増税時よりも小幅ながら消費税率引き上げ前の需要増もみられ始めている(日銀)
設備投資:このところ機械投資に弱さもみられるが、緩やかな増加傾向にある(内閣府)増加傾向を続けている(日銀)
住宅建設(投資):おおむね横ばいとなっている(内閣府)横ばい圏内で推移している(日銀)
公共投資:底堅い動きとなっている(内閣府)横ばい圏内で推移している(日銀)
輸出:弱含んでいる(内閣府)弱めの動きとなっている(日銀)
輸入:おおむね横ばいとなっている(内閣府)記述無し(日銀)

(先行き)
全体:当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響に一層注意するとともに、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある(内閣府)当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、拡大基調が続くとみられる(日銀)
個人消費:持ち直しが続くことが期待される(内閣府)緩やかな増加傾向をたどるとみられる(日銀)
設備投資:緩やかに増加していくことが期待される(内閣府)緩やかに増加していくと予想される(日銀)
住宅建設(投資):当面、横ばいで推移していくと見込まれる(内閣府)記述無し(日銀)
公共投資:関連予算の執行により、底堅く推移することが見込まれる(内閣府)高めの水準を維持すると予想している(日銀)
輸出:持ち直していくことが期待される(内閣府)緩やかな増加基調に復していくと見込まれる(日銀)
輸入:持ち直していくことが期待される(内閣府)記述無し(日銀)

内閣府は、現状評価の全体のところで、先月「輸出や生産の弱さが続いている」としていた部分が、「輸出を中心に弱さが続いている」と修正されました。生産がこのところ弱含みから横ばいへ少し改善してきたことが理由です。

日銀の方は展望レポート公表月とそうでない月で表現振りが異なるほか、先行きに関し「当面」と「2021年度までの見通し期間を通じた」ものが語られているため、先月との比較が難しい面もあります(上記の先行きは2021年度までを通じた見通しを引用しています)。例えば個人消費に関し消費税率引き上げ前後の駆け込みとその反動が語られています。ただ、全体としてみると、景気の現状評価と先行き見通しが大きく変化したようには見えません。

実際、政策委員会メンバーの見通しの数字(9人のメンバーの上からみても下からみても5番目となる中央値)も余り変化していません。具体的には、前の展望レポート公表時(4月)は、2019年度から2021年度にかけ、実質GDPは+0.8%、+0.9%、1.2%、消費者物価指数は+1.1%、+1.4%、+1.6%でしたが、今回7月は、実質GDP+0.7%、+0.9%、+1.1%、消費者物価指数は+1.0%、+1.3%、+1.6%です。2%の物価目標は2021年度も未達で、引続き金融緩和の長期化が見込まれる予想値となっていますが、このこと自体は4月と不変です。

しかし、今回の金融政策決定会合では、前回6月会合時と異なる文言が加わりました。具体的には、以下の文言です。

「特に、海外経済の動向を中心に経済・物価の下振れリスクが大きいもとで、先行き、「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れが高まる場合には、躊躇なく、追加的な金融緩和措置を講じる。」

景気や物価の評価や見通しが余り変わっていないのに、なぜこのような文言が加わったのでしょうか?形式、実質2つの側面から、憶測を含め説明を試みます。

形式的には、かなり以前から、日銀の展望レポートでは、「中心的な見通し」と「リスク要因」が語られています。経済や物価に関し蓋然性が高いと思われる見通しが「中心的な見通し」、それが上振れるないし下振れる可能性が「リスク要因」です。仮に中心的な見通しが不変であっても、例えば下振れる可能性が高まる場合、そのリスク要因が顕在化する場合の備えが必要となり得ます。今回加わった文言は、貿易問題を始めとする昨今の不確実性の増大を重く捉え、例え中心的見通しが然程変わらなくとも、リスクへの備えを確りとしておくべき、との宣言とみることが可能です。

実質的には、この日銀決定会合の直後にFRBが利下げを行うことが見込まれており、日銀が何ら文言を付け加えていないと、米国利下げ後の円高に対し「日銀は無策だ」と責任を問われかねないと考えたのではないかと推測(憶測)します。

円相場に関しては9月のこのコーナーで取り上げたいと思います。ただ一言付け加えるとすれば、一方で金融機関収益との関係から金融緩和が批判され、他方で円高との関係から金融緩和が求められ、まさに日銀は相反するふたつの要請に挟まれ、極めて苦しい立場に追い込まれたと言うことはできると思います(在り来たりのコメントですが)。

さて、一題目がかなり長くなりました。二題目は日韓関係です。JDさんと異なる、素人の素朴な感想と思ってください。

私は嫌韓派ではありません。1910年の日韓併合はもとより、豊臣秀吉の朝鮮出兵、白村江の戦いなどの歴史的背景の下、反日派が韓国(あるいは北朝鮮)に一定程度存在し、時々(周期的に)この動きを活用しようとする政権が誕生すること自体、残念ですが不可避であると理解します。また、隣国であるだけでなく、対北朝鮮や対中国政策において日米韓の協力関係が重要であることは間違いなく、日韓関係の改善を願う一人です。

そうした私でも、文政権下の韓国は流石に自己中心過ぎると思ってしまいます。徴用工問題、レーダー照射問題、今回の輸出規制問題は分けて考えないといけないことは理屈では分かります(徴用工問題の意趣返しに輸出規制を行うとした途端、WTOで即負けてしまうことは十分理解します)。ただ、一方で徴用工問題での協議に応じようとせず、他方で輸出規制での協議を求めてくるのは、心情として受け付けにくいのが正直なところです。

輸出規制については、韓国側が粛々と体制を整え、日本からの輸出が徐々に再開するようになれば、少し鎮静化するのかもしれません。また、徴用工の協議と輸出規制の協議を同時並行的に(形式的には相互をリンクさせず、偶然同時にふたつの協議が行われるような形で)行えないものかと、笑われてしまうようなことを考えてしまいます。他方、自分が韓国政府の人間であれば、日本が最も嫌がるであろうこと、例えば文大統領の竹島訪問など考えてしまうかもしれません。そうしたエスカレーション合戦にならないことを最低限祈ります。

このことと、表現の不自由展中止問題は、別な話しと思います。主催者がKYであったことは否定しません。少女像とのカウンターバランスになる何らかの展示(韓国人が見たら憤り、韓国では展示が許されないようなものを少女像と並べるような展示)を同時に行うなど、工夫もあったかもしれません。しかし、「ガソリン携行缶」の脅迫は決して許すべきでありません。表現の自由の観点はもとより、京都アニメーション事件で亡くなられた方やそのご遺族・友人の方々にとり、余りにひどい行いではないでしょうか。

次回は(余程の事件が無い限り)9月2日(月)に。円高問題に挑戦しようと思います。

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One comment on “Vol.27: 二題話し 月例経済報告・金融政策決定会合2019年7月と日韓
  1. ペルドン より
    韓国

    悩ましい隣国である事は確かですが、何時までもall or nothing外交・政策では
    大人しい日本人も切れる。

    切れた自国よりも大きな隣国が出現した事は、外交上経済上、防衛上、韓国にとっては難局に陥るという冷静な判断が出来ない。それが出来るのは、貿易での輸出基準の見直しが、功を挙げてくる時間まで、待たなければならないのでは?

    明らかに日米は意思の疎通を図った上で、水面下の合意に基づいて、行動を起こしているのではと、検討する韓国官僚が希薄の様に観える。

    客観的に看れば、文大統領と彼を支える左派は、日米を仮想敵国と見做している。竹島に関しては、露中が韓国のアキレスと看破し、又圧力を加えてくるでしょう。文大統領の竹島訪問だけでは済まなくなるでしょうね・・・
    (*△*)

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