2019/07/29 06:30 | by Konan | コメント(3)
Vol.26: 参議院選挙
参議院選挙が終わりました。8月第1回に書こうと思っていましたが、待つ必要もないので1週間早めます。代わりに8月は1回の執筆に減らします(夏休みですし)。
今回の選挙の解釈は余りすっきりしません。どの政党から見ても「勝った」あるいは「負けなかった」と言い得る結果だったとも言えます。自公で改選過半数を上回り、与党支持の安定感を示しました。他方で所謂改憲勢力2/3には届かず、立憲民主などの野党は「頑張った」とクレームすることが出来ました。私の解釈は「地味に目立たず自民が負けた」という感じです。
繰り返しになりますが自公支持への安定感は明確で、改選過半数や非改選を含む総議席の過半数を軽く超えました。しかし、6年前の選挙で余りに勝ち過ぎた反動もあり、自民党は10議席減らし、かつ非改選を含む議席数は113と単独過半数を下回りました。公明党の支持無しで安定して立っていられない状況になった訳です。
また、注目を集めた一人区は、22対10と表面上は与党の圧勝です。しかし与党が勝ったのは西日本中心に元々保守基盤が固く、事前に勝敗が見えていたところばかりでした。そうでない、与野党が伯仲していると予想された選挙区は全て野党が勝ちました。とくに秋田のようにイージスアショアの関係で政府が失政を行った選挙区、新潟のように忖度発言で候補者の信認が落ちた選挙区で野党が勝ったことは大きな意味を持ちます。自民党が何らかの大きな失政を重ねたりスキャンダルを起こすと、より本格的に負けてしまう可能性を示したからです。
ただ、そうは言っても、森友・加計問題のようなスキャンダルや公文書・統計改竄、2000万円問題を経てもこの程度の目立たない負け方なので、これらを上回るとてつもない事態が起きない限り与野党逆転はあり得ないと言うことも出来ます。自公政権の安泰は続くが、少しは野党が存在感を発揮する可能性が出てきた選挙という総括が穏当でしょうか。
なお、今回全国TV局(NHK、日テレ、テレ朝、TBS、フジ)を見ていて、結構予測が難しい接戦区が多かった印象を持ちました。私の勘違いだとすれば読者の皆さんやTV局に申し訳ないのですが、例えば「改憲勢力2/3」に関し、NHK、テレ朝、TBSはかなり遅くまで「分からない」との報道振りでした。他方与党系(?)である日テレとフジの対応が分かれ、日テレは「2/3に達する可能性」を匂わせる報道を途中まで続けた一方、フジは早くから「届かない」としていました。結果的にフジ(産経)の取材力が勝った訳です。
今後の争点のひとつは消費税率引上げですが、自公改選過半数により世論は引上げに反対でないことが示され、想定できないような異常事態が9月までに起きない限り、引上げが確実になりました。
もうひとつは憲法改正です。単純に言えば改憲勢力2/3割れなので改憲は無いことになりますが、恐らくもう少し複雑な展開を辿るのではないかと思います。
改憲は無いとの見方の根拠は、上記の2/3割れに加え、与党公明党がそもそも改憲に乗り気でないことがあります。他方、野党の中でも日本維新の会のほか、国民民主党も改憲論議に否定的ではありません。
結局のところ、9条改正に拘るか、9条を捨ててでも改憲の道を探るか、安倍総理・総裁がどちらに賭けるかに帰着するように思います。総理・総裁の普段の言動や、与党支持層の中でもとくに保守的な方々の言動を見ると、9条外しはとても想像がつきません。しかし、問題を複雑にする要素がふたつあります。
第1はイラン問題です。対イラン有志連合への関わり方は極めて深刻な問題です。このことと9条改正問題は必然的に絡んできます。共産党が言う「9条改正は海外での米国の戦争を助ける道を開く」との主張は、今回の選挙では浸透しなかったと思います。しかし具体的に9条改正の可否が俎上に上ると、この共産党の主張が現実味を帯び、公明党は素より自民党支持者の中でも尻込みする動きが出てくると想像します。そうした中で9条改正を断行できるか?私は総理・総裁の意思がそこまで強いようには思えません。
第2は安倍総理・総裁は何らかのレガシーを残したいと思っているはずです。無論ここでも二階幹事長のように「安倍四選」を考えれば話しは違ってきます。しかしさすがに世論も与党内も安倍総理に飽きが来ているようにも思えます。そうした中、9条に拘らずともかく「憲法改正を実現した総理」として未来の教科書に名前を残したい、と思わないとは限らないように思います。
いかがでしょうか?
今回の選挙で最も由々しき問題は投票率の低さと思います。50%を割り込み戦後二番目の低さと言われます。投票当日の悪天候も影響したと思いますが、国民を投票に駆り立てる大きな争点が無かったことが背景と思います。多くの国民は今の自公政権・安倍政権に対し結局のところ満足している、ないし他の選択肢を求めたいとは思っていない、ということに帰着すると思います。
具体的な数字まで確認していませんが、最近の2つの先進国の選挙で投票率の上昇がみられました。2018年の米国中間選挙、今年の欧州議会選挙です。「トランプ支持か不支持か」「EU・ユーロ支持か不支持か」という極めて大きな具体的争点が提示され、支持派・不支持派を問わず選挙に駆り立てられたと言われます。そして今回は米国では民主党が、欧州ではEU・ユーロ支持派が勝利しました。
流石に憲法改正国民投票であれば投票率が上がるのでしょうか。今回の投票率を見て、9条のような内容の問題はさて置くにしても、憲法改正が発議され初の国民投票が実現することが、日本の民主主義のため望ましいように思えてきました。
今回はこの辺で。冒頭書いたように8月は1回のみ(12日ないし19日)、定例の月例経済報告と金融政策決定会合を取り上げます。
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3 comments on “Vol.26: 参議院選挙”
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憲法改正と称税アップ、同時に遣ろうとした首相が欲張り過ぎた。消費税を取り下げれば、自民党の得票数伸びたでしょう。
まぁ日韓、経済摩擦で韓国側が反日で騒動が起きて、日韓がより険悪な状態になれば、血を見る事になれば、突如日本国民が目覚めて、反動で憲法改正に走り出すかも知れない。
トランプは再選するでしょうし、中国も少しは軟派になるも知れない。日本は硬派になるかも知れない。泣くのは韓国だけど、誰が面倒みるのでしょうかねぇ・・・
( ^ω^)
事は国民は選挙の意味を知らないに尽きると思う。今回選挙の意味を少し示したのはN党と和田政宗議員でしょう。明快にすることをあげて、当選した。聞けば和田議員は業界団体がないとのことです。これは我が国の選挙候補者では初めてではないでしょうか。
ワンイッシュウで得票さえ得れば、政党が作られることを実際に示したのがN党でしょう。これは重大ではないか。
憲法憲法というが司法試験を受かった人ですら、憲法全文を暗記している人は少ないと思う。その程度のもので、試しに条文を全部読んだが、理解できないことが多かった。問題だらけで、それに注目すると前へはすすめない。
今回総務大臣がN党の党首の受信料不払いを法律違反と述べたが、即座に<生活保護については貴様はどう思う>思った。その程度の総務大臣で、何が現在問題かをまたっく勉強していないことを大臣は示したに過ぎない。
調べるとNHKの受信料は7000億で、公共放送というならその費用は仮に1000億とするなら、その時だけ電気ならぬ放送番組だけ、流せばいい。すると残りの6000億は国民へ返る、その上電波オークションをすれば軽く1兆は来るのではないか。各時間を切り売りすればいいから。 要するに大臣が無能だと示したにすぎず、それも程度あるほどひどかった。
もう国内は言論に忖度などしている時ではないか。日本は表の発言と裏の発言(ここだけの)が多いが事、経済と医療と戦争はこれが通用しない。目の前に事実が進んでいくから。金が見る間に増えていくか減っていく、患者は死んでいく。
9条で飯を食っている奴が多く、今更変えると食えないまた俺の顔が立たない程度の過ぎないが、我が国の軍事環境は変わったから。替えざるを得ないがそれができるか。できずに大東亜戦争へと進んだ道と同じ道をたどる可能性が高いとみている。
そのわけはイギリスの行動を戦争事案と国内は見ていないこと。対南北朝鮮特に韓国に対しては一種の宣戦布告と国内は見て行動やその準備を全くしていないこと、かたずけるには(もっとも国際関係はかたずけるという考えでは対処できない)金と人員と物資が必要で、その金額を貸し方に書いて、借り方に何をあげるかすら、考えていないようです。
いずれにしても戦後の自民党体制というより池田隼人体制の自民党は終わった。
なぜ日本人は明治以降朝鮮に莫大な金をつかった.それゆえの国内の悲惨な貧しさが戦前あり、それがなくなってたったの10年で戦前を脱してそれから10年でGDPが世界第二位になった事実を忘れたんだろう。その後再び日韓基本条約を結んで、南朝鮮にかかわり、ようやく貿易黒字が生じて、その回収にとりかかれたが、ふたたび南朝鮮に金がかかるようになる。南北朝鮮を経済問題としてみているから、大損尾するにすぎないが、それを国民的理解にまでもっていくには相当な時間がかかり、その前に我が国がお陀仏になる可能性が高い。
南朝鮮の軍事クーデターの後の費用は負担するつもりか?結論は国内の軍事費を戦前以上にすることでしょう。陸軍は当時確か17万人だった。今はたったの14万人です。
結論は見えている。
多分今なお我が国の上層部は我が国の経済状況を把握していないというより新しい現象がおきているから、理解できない状況で、既存の出来上がったものを学習して、そのれから対策をとるという動きは全く機能しない。
経済危機と金融危機は別物だが相互に関連はあると思う。マイナス金利は素人が考えると預金が一年後に減ることを意味するから、金融危機の一表現に過ぎないと思う。手形のジャンプとは違う。返せないから一時的に伸ばすこととも違う。
仮にそのような銀行があれば預金は逃げていく。つまり国内から外国へと逃げていくから円安になると思うが違う。つまり海外へ行くことができない状況があるか、金がないかでしょう。複式で考えると、各企業は円とドルでたぶん書いているから、それぞれにおいてどちらに転んでもいいような手を既に、出来る企業は皆打っている。
各家庭も複数のお金の扱いを覚える時代が来たということでしょう。
私見だが国内の経済苦境(いろいろな部門があるが)、これだけ外国との結びつきが必要な世界で生きている我々はきちんと外国への関心を自分の生存条件から見ることではないか。
それとロシアとの経済をアメリカとの経済のようにすることが我が国の経済発展の道ではないか?
支那ではない。支那における資産は戦前と同じで、すべて取られる。その被害は莫大なものになるでしょう。それが支那人のすることで彼らにとって当たり前のことに過ぎない。
ではロシアとはいかなる関係を築くべきか?泥棒を当たり前としている国だから、それなりのことをして、極東(戦前の満州のようなもの、満州は利益を上げる前に崩壊したから大損した)開発をすることではないか?
いずれにしても世界秩序が壊れていく世界に生き抜くことを第一に認識とすることで、いかに壊れていく状況で、できる立ち回りをする。
つまり明日は全く不明の状況で、起こりうるリスクを気が付いたときにそれぞれごとに対策をたてておくことだと思う。
日本人は日本の地理的空間と上層部を根拠もなく信頼している。
昭和19年、10月のレイテ決戦がまけとなって、即座に政府は戦争終結に動かず、そのままにして、多くの国民が死んだ、その後の被害は莫大なものになり全被害の7割以上が昭和20年以降に生じたという。
多分それと同じことが日銀政策では起きると予測している。まだ何とかなるとひそかに思っているとしか思われない。もうたぶん何ともならなず、南朝鮮と同じことになるでしょう。生き抜くために手を打とう。