2013/07/01 09:00 | by Konan | コメント(1)
Vol.199: 都議会選挙を振り返る
都議会選挙が終わり、1週間が過ぎました。参議院選挙も間もなく公示されます。大方言い古されてしまいましたが、都議会選挙の感想を簡単に記したいと思います。
周知のとおり、今回は、自民・公明の完勝、民主・維新の大敗、共産の躍進、みんなの党の健闘などが主な結果でした。他方、投票率は2番目の低さと報道されています。このうち、維新の会の大敗は、直前の橋下代表の発言を巡る混乱から概ね予想された通りの結果です。他方、民主党の大敗は、維新失速の追い風が少しは吹くのではと期待した民主陣営からみて、予想を大きく上回る負けっぷりだったと感じます。海江田党首の地元の新宿区などでも民主党候補が敗れ去りました。
私は、このコーナーの新年特集の中で、民主党に関し少し甘めの予想を書きました。要は、選挙はどぶ板の側面があるので現職有利の傾向があり、参議院議員のように6年間地元で活動した候補は、さすがに小沢チルドレンのように簡単に敗れ去ることはないのではないか、との思いでした。都議会選挙のように地元色が一段と強い選挙では猶更と思っていました。この私の半年前の予想が全く的外れだったことが露呈した訳です。この結果は、民主党は、自民党以外で唯一現実的に政権を担い得る政党としてのみ期待されていたことを意味すると思います。要は、民主党が素晴らしいとの思いで支持を集めたのではなく、自民党があまりに酷いので、代わりをみつけたいとの思いの受け皿に過ぎなかったということです。それが遂に実現し、実際に政権を担わせたところ、余りに酷い(かつての自民党以上に!)結末となり、最早、誰も非自民の受け皿として期待しなくなってしまったというのが、真実と思います。従って、参議院選挙も同様の結果が必至です。半数は非改選ですし、衆議院選挙や都議会選挙とは選挙区と比例区の比率も違うので実際の予測は難しい面もありますが、民主は今回の参議院選挙で再び大敗するとみる方が自然ということです。
自民批判の票は、共産とみんなに集まりました。ただ、共産党が政権党になり得ないことは誰もが(共産党自身も)認めるところです。みんなも、現在の党勢のままで政権の中核を担うことは不可能ですし、自公が参議院でも過半数を取ってしまうと、憲法改正を除き自公から協力を求める必要がなくなるため、存在感を高めることが難しいと思います。
こうした閉塞感の下、投票率は低い、要は実際に自民党に投票した数は大したことがない、との結果になった訳です。
こうなると、参議院選挙では、自公がどの程度勝つか、具体的には過半数か2/3かといったことが、唯一の争点という気がしてきます。一方で、political capitalという言葉を最近よく耳にします。小泉政権の後、衆参ねじれを含め余りに不安定な政権運営が続き、日本としてとるべき大きな政治的決断が全くなされないまま、10年近くが経過しました。衆参で過半数を確保する盤石な政権ができ、かつ内閣支持率も高い状況を活かし、長年実現できなかった規制改革等の大改革に取り組む素地がようやく整うとの期待感です。
他方、安倍政権は結局憲法改正にしか関心がないとの見方も有力です。参議院選挙で大勝すると、与党公明党の出方という論点はありますが、政権の関心が経済から憲法に向かい、結局のところ経済再生に不可欠な改革は行われないまま3年後の総選挙を迎えてしまうとの危惧です。
今回はこれ以上書きませんが、参議院選挙については改めて書く機会を設けようと思います。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
One comment on “Vol.199: 都議会選挙を振り返る”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
世界の潮流はヨーロッパ、中国を考えると金融引き締めではないでしょうか?
それによって、真に競争力のある企業が浮上して、かえって、構造改革が進むという事はありませんか? 勿論、突然は駄目ですが。
アメリカFRBも緩和で時間を与えただけで、方向はマイナスQE1の出口論で引き締めでしょう?
選挙については、ご指摘どおり”当選したあとで契約破棄しない”と民主党が大反省をして中流層の受け皿にならない限り困ったことになりそうですね。 日本でも、卑怯にも大人が小学生にナイフをふりまわしましたが、銃がインターネット販売構造改革になってたら、アメリカと同じ事態でしたね。 薬のインターネット販売で何がおきるのか、結果のご報告を期待しています。
日本は殿様に時々善政をする人があらわれて、上の中や下にあたる悪家老、悪代官を正すで、これまで何とかなってきたのですが、これからはどうなるでしょうか?
上杉公のように安部さんはなられるか? テレビの水戸黄門も終了ですからね。
日本の良き伝統も風前の灯火か