2025/07/08 17:00 | 戦略論 | コメント(0)
戦士の文化は危機感のあらわれ?
日米の関税交渉がヤマ場を迎えており、日本国内の国際ニュースではこの話題でもちきりですね。
■ トランプ大統領が「新たな関税率は10~70%」と発言 4日から通知と説明 4月基準で大幅に高く 対象国は明かさず(7/4 TBS NEWS)
一方、国際政治における戦略面での今週最大の注目テーマは、トランプ大統領が減税法案を可決させようとかかりっきりになっている間に、国防省が兵器の枯渇化を防ぐ観点から、ウクライナへの防空ミサイルや他の精密誘導弾の供与の一部停止を決定したというニュースに関する動きです。
■ アメリカ、ウクライナへの武器供与を一部停止 ホワイトハウスが発表(7/2 BBC)
この決定の背後には、拙訳『アジアファースト』の著者である現国防次官であるエルブリッジ・コルビーが関わっており、その目的はまさに、東アジア正面の対中抑止のためにミサイル等の弾薬をとって置きたいという地政学的な判断があると見られます。
現在の減税法案が通過すれば、トランプ大統領はまた関心をウクライナに戻し、もしかしたら「やっぱりウクライナに兵器を供給する!」と言い出す可能性はまだ残っています。
それでも劣勢のウクライナにとっては、一時的かもしれないにせよ、米国がこのタイミングで武器供給を停止するというのは痛いです。ダメージが大きいのは間違いありません。
そのようなニュースがある中で、今週は枕話として、まずは米陸軍が5月に発表した、いわゆる「野戦教範」(Field Manual)をご紹介します。これは要するに米軍の若い兵士たちに「職業軍人」としての使命・責任・価値観を教えるための入門書です。
なんだか難しそうな印象がありますが、今回の内容は実にわかりやすいものであり、対象者は現場の下士官や初級の指揮官たち。年齢的には20代の、現場に近い若い兵士たちを想定して書かれているものです。
なぜこんなものを紹介するのかといえば、これが実にトランプ政権の実態というか、その政治環境を色濃く残しており、今の時代の雰囲気を象徴しているような気がしてならないからです。
ということで、さっそくその内容を紹介していきます。
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
目次は以下のとおりです。
***********
戦士の文化は危機感のあらわれ?
***********
▼戦士の文化
▼マッチョと差別
▼そして危機・・・
***********
来週のオンラインセミナー
***********
以前お知らせしたとおり、7月16日(水)19時から開催される「夏の世界情勢オンラインセミナー!」に、昨年に続いて参加します。
「世界情勢ブリーフィング」のJDさんと一緒に色々なお話をしたいと思います。参加者の皆様とのフリーディスカッションも楽しみにしています。ぜひ上記リンクをご覧下さい。
***********
近況報告
***********
実は今「戦争や戦略を学ぶための映画のリスト」を作ろうと画策しております。
きっかけはNYタイムズ紙が「21世紀のベスト映画100」というリストを一週間ほど前に発表したことや、都内某所で戦略のゼミを行っている時に担当者たちと「映画を見ながら戦略を学びたいよね」ということでいくつかの戦争映画について話し合ったことなどからです。
■ The New York Times『THE 100 BEST MOVIES OF THE 21st CENTURY』
実はこの映画の効用については、主に民主党政権で東アジアの政策を担当してきたベテランの元米政府高官であるカート・キャンベルが著書の中で「たった2時間ほどでまとまった世界観と知識が学べる」としておすすめしておりました。
実は私も留学中に友人たちとよく映画鑑賞会を行っており、そこでかなり多くのことを学ぶことができた記憶があります。
そのゼミの中ではサイバー戦の参考例として、
ーーブルース・ウィルス主演『ダイ・ハード4』
そしてクラウゼヴィッツの応用例として
ーージーン・ハックマンとデンゼル・ワシントン主演の『クリムゾン・タイド』
の2本をおすすめしているのですが、いずれこのメルマガかどこかで「奥山版戦略オススメ映画」のリストを公開しようと思っております。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。