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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2025/09/28 18:30  | 戦略論 |  コメント(0)

バランス・オブ・パワー


先週の戦略関連のニュースで注目すべきは、前回の記事でも触れたトランプのハチャメチャぶりだったのではないかと思います。

何しろコメディ番組を停止させた(その後に再開しましたが)ほかにも、司法長官に対して政敵を追訴するように促したり、ベネズエラの船を公海上で爆撃したり、チャーリー・カークの葬式で「左派を許さない」と宣言したり、鎮痛剤が自閉症の原因だと宣言したりと、とにかくやりたい放題の様子です。

最新のものとしては、なんと「ロシアゲート」の時に自分を追い詰めたとして元FBI長官のジェームズ・コミーを「司法妨害」などの疑いで起訴するという、完全に報復ともとれる行動を取り始めたことがあります。

Trump news at a glance: Comey says he knew there would be cost ‘to standing up’ to president, as he is indicted(9/26 The Guardian)

いよいよアメリカが壊れ始めたという印象ですが、それでもトランプは批判など全く気にせずに、堂々と政権運営を行なっております。

むしろ気になるのは、ピート・ヘグセス国防長官がアメリカ軍全軍種の准将以上の将官800人を、特に理由を告げずに突然首都近郊の海兵隊の基地に招集をかけたという、ワシントン・ポスト紙がスクープとして報じたニュースです。

Hegseth orders rare, urgent meeting of hundreds of generals, admirals(9/25 The Washington Post)

この件で問題なのは、海外配備中の司令官まで召集することで、指揮系統が一時的に空洞化する恐れや、安全保障上のリスクが懸念されている点です。国防総省(ペンタゴン)は、普段は安全な回路を使ったビデオ会議などを利用するため、わざわざ全員を集合させるような事態は極めて異例です。

ヘグセスはそもそも国防総省を「戦争省」へと改称する命令を出したり、将官数の20%の削減を明言したり、すでに複数の高官たちを解任しており、軍内部ではさらなる解任や人事圧力への懸念が広がっていると言われています。昇進候補者の過去の発言や、これまでのSNSへの投稿まで精査しているとの報道もあるくらいです。

ワシントンでは、へグセス長官は軍の内部から相当嫌われていて、実際に力を落としつつあるという話を最近まで聞いていましたが、続報ではどうやら「戦士のエートス」を教え込むという、なんともコストのかかることをやるのではないかと言われています。ただし実際は蓋を開けてみないとわからないので、予測不能性はまさにトランプ政権ならではという感じですね。

さて、今回の本題ですが、私が著書の中で何度か取り上げたことのある「勢力均衡(バランス・オブ・パワー)」という概念について書きます。

※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。

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バランス・オブ・パワー
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▼東アジアの勢力均衡
▼権力構造の変化
▼潮目が変わった?
▼日本にとっての示唆

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近況報告
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先週は都内で講演を数本こなしたあとに、仕上げとして土曜日に大阪と京都に出張してきました。

大阪では拙訳『認知戦』のプロモーションのためのトークショーへの参加、そして京都ではお世話になっているオンザボード社の主催するオフ会ということで、読者や視聴者の方と直接話しあうことができる貴重な機会でした。

大阪はやはり万博で盛り上がっているためか、新大阪や梅田の駅は異常な混み具合。開催前は色々と言われておりましたが、いざ開催されると大盛況。何にせよ、イベントが盛り上がるのは良いことじゃないですか。

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好評発売中の書籍
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『世界最強の地政学』文春新書
『新しい戦争の時代の戦略的思考』飛鳥新社
『サクッとわかる ビジネス教養 新地政学』新星出版社、改訂版(再び増刷決定!)
『やさしくわかるエネルギー地政学』小野﨑 正樹、技術評論社
『クラウゼヴィッツ: 『戦争論』の思想』マイケル・ハワード著、勁草書房
『地政学:地理と戦略』コリン・グレイ&ジェフリー・スローン編著、五月書房新社
『戦争の未来』ローレンス・フリードマン著、中央公論新社
『インド太平洋戦略の地政学』ローリー・メドカーフ著、芙蓉書房出版、
『戦争はなくせるか』クリストファー・コーカー著、勁草書房
『デンジャー・ゾーン』マイケル・ベックリー&ハル・ブランズ著、飛鳥新社
『スパイと嘘』アレックス・ジョスキ著、飛鳥新社
『アジア・ファースト』エルブリッジ・コルビー著、文春新書(第三刷決定!)
『認知戦:悪意のSNS戦略』イタイ・ヨナト著、文春新書(★最新刊★)

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