2009/10/14 18:34 | コンサートマスター | コメント(1)
オーケストラ界にも新しいリーダーたちが登場!
巷では新たな与党、新しいリーダーたちの一挙手一投足に熱い眼差しが注がれていますが、音楽界でも、このところオーケストラのリーダーであるコンサートマスターの交代、団員の世代交代が話題になっています。
9月に来日公演を行なっていたウィーン・フィルをお聴きになった方はいらっしゃいますか? 今回特に注目されたのが、噂の女性コンサートマスター(コンサートミストレス)、アルベーナ・ダナイローヴァの登場。何せ、10年前くらいまでは女性団員が皆無だったウィーン・フィルのコンマス席に女性が座ったのですから、古くからのファンには感慨深いものがあったでしょう。ダナイローヴァは、昨年で同団のコンサートマスターを退いたウェルナー・ヒンクの後任です。気になる実力については……さまざまな評価が下されていますが、素質は充分、と見ました。ダナイローヴァはまだ30代、それも試用期間。しばらく温かい目で見守りたいものです。今回来日したもう1人のコンサートマスター、雄弁なソロを聴かせたフォルクハルト・シュトイデも30代。ウィーン・フィルでも着実に世代交代が進んでいます。世代交代を経ても伝統が保たれるのがウィーン・フィルの素晴らしさだと言われていますが、今回は正団員でない、いわゆる「エキストラ」の姿も散見されましたので、来日公演を聴いてそれを確認するのは難しかったかもしれません。
樫本さんは、今年30歳になったばかりですが、17歳でヴァイオリン・コンクールの名門、ロン=ティボー国際コンクールに史上最年少優勝したのを皮切りに、ソリストとしてのキャリアを着実に築いてきました。ソニー・クラシカルからすでに3 枚のCDアルバム(コンクール時のライヴ・レコーディングやコンピレーション盤を除く)を出しており、デビュー10周年の2006年にチョン・ミョンフン指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団と録音した、ブラームスのヴァイオリン協奏曲(ソニー・クラシカル SICC-608)などを聴けば、期待を裏切らないその鮮やかな才能を確認できるでしょう。
ご存知のように、ベルリン・フィルのコンサートマスター席には、永らく安永徹さんが座っていました。1983年にあのカラヤンに認められ第1コンサートマスターに就任して以来、今年2月に退団するまで四半世紀以上も、「世界一」とも言われるこのオーケストラのリーダーを安永さんは務めてきました。樫本さんはその後任というわけです。
樫本さんの場合は、今年9月1日からコンサートマスターの「試用期間」がスタートしたということなので、正式採用は2年後となります。ウィーン・フィルのダナイローヴァと同様、「試用」と言うからには「不採用」もあるわけで、なかなか厳しい世界ですね。
樫本さんは、9月に日本フィルの定期公演にソリストとして出演、シベリウスの協奏曲を見事に演奏していました。終演後に「ベルリン・フィルのコンマス」として悪い演奏はできないというプレッシャーがあった、と語っていましたが、新たな挑戦に気合充分、という印象でした。
そんなベルリン・フィルの最新盤CD、サイモン・ラトル指揮によるブラームスの交響曲全集の日本盤(EMI TOCE-90097/9)は、お薦めのセットです。ラトルの、スコアの細部まで精読したことが伺えるかのような精緻な演奏が3枚組の高音質 CD(=HQCD:最近流行の「高音質CD」についても、改めてご紹介しましょう)でお聴きいただける上に、日本盤にはDVDが2枚ついて6000円は安い! このDVDにはブラームスの交響曲全曲の演奏映像、ラトルへのインタヴューなどが収められています。収録は2008年。交響曲第1番ではコンサートマスター安永さんの勇姿が見られ、第2楽章最後の素晴らしいソロも聴きもの。第4楽章のホルン・ソロはバボラークが演奏しています。フルートのパユは第 1・2番の首席を務め、第2〜4番ではドールのホルンが圧巻。聴いても観ても楽しめるこのセットで、来るべきグッチーポスト・メンバーズ・コンサートの夢をふくらませましょう!
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One comment on “オーケストラ界にも新しいリーダーたちが登場!”
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偶然にも11月中旬にSF行きの旅程を組んでいたら、何とBPOが来るではありませんか!
早速チケットを取りまして、ワクワクしながらの10年ぶりの西海岸です。
お勧めのラトルのブラームス全集も買いました。
樫本さんがコンマスなんですね。楽しんで来ます。