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The Gucci Post [ぐっちー編集長の金融・経済を中心としたオピニオンブログ News Paper]

2009/09/14 00:00  | お知らせ |  コメント(0)

秋のお薦め音楽祭〜「つくば」は穴場!

はじめまして。悪友/旧友のぐっちーさんからお声がかかり、このたびブログを始めることになりました。ぐっちーさんも音楽には造詣が深く、これまでブログを興味深く拝読しておりました。私としては、音楽マネジメント、レコード制作、音楽出版などに携わった経験を活かし、皆様にクラシック音楽の旬な話題をお届けしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 9月も半ばにさしかかると、新たな音楽シーズンもいよいよ本番ですが、まだ夏の音楽祭シーズンも記憶に新しいところ。皆様はどのような夏をお過ごしになりましたか? 私は音楽祭三昧の日々でしたが、7月に訪れた「〈東京の夏〉音楽祭」が、開始から四半世紀を経た今回をもって幕を下ろす、という発表には感慨深いものがありました。
 海外の演奏家を多数迎えて行なう規模の大きな音楽祭は、当然のことながら経済的な負担も大きく、経済状況の厳しい今年は、おそらく多くの音楽祭が例年以上に苦しんでいるものと思われます。アーティストの渡航費、滞在費、出演料だけを考えても、かなりの金額が必要です。こうした音楽祭は、コンサートのチケット収入だけでは、到底やっていけません。地域やスポンサーの支えなしには成り立たないのです。スポンサーの「体力」に赤信号が灯っている今年以降、音楽祭も内容の再編成を余儀なくされることでしょう。
 ある外国人アーティストの話では、某有名音楽祭のギャラが、次回より大きく下がるとか。例年、音楽祭を夏の大きな楽しみとしている聴衆としては、関係各位になんとか頑張ってもらいたいところです。

 さて、音楽祭は、夏だけのものではありません。当ブログ開始日、9月14日の音楽カレンダーを見てみると、この日スタートする音楽祭が見つかりました。茨城県つくば市で行なわれる、「第25回つくば国際音楽祭」がそれです。前述の〈東京の夏〉音楽祭も今年が第25回。規模も趣旨も全く異なる音楽祭を比較することはできませんが、今から25年前、好景気に沸く1984年頃は、音楽祭を立ち上げる活力が様々なところにあった、ということは言えるでしょう。
 「つくば国際音楽祭」は、昨今、集客・企画等に問題を抱えていたようですが、開催をあきらめず、昨年よりプロデューサーとして井阪紘氏を再び迎えて、その建て直しを図っています。井阪氏は、国内の音楽祭としては老舗の「草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル」の事務局長で、辣腕のレコード・プロデューサーとしても知られています。草津30年の歴史で培われたノウハウを、つくばでどのように生かして行くのでしょうか。

 「つくば音楽祭」は、サブ・タイトルで「つくばモーツァルトフェスティバル」と銘打っているように、プログラムにはモーツァルトの作品がちりばめられています。オープニングの9月14日は、ウィーン・フィルのソロ・フルート奏者ディーター・フルーリーと、同じくウィーン・フィルのチェロ奏者ロベルト・ノージュ、日本の名手・岡田博美(ピアノ)が出演。ヨゼフ・ハイドンとウェーバーのピアノ三重奏曲、モーツァルトのロ短調アダージョ(ピアノ独奏)、メンデルスゾーンのチェロ・ソナタが演奏されます。普段聴くチャンスの少ない室内楽を、作品に最適と思われる顔ぶれで聴けるのも、音楽祭ならではです。
 「このタイミングで知らされてもオープニング・コンサートに行けないよ!」 という方には、当日の演目、ハイドンのピアノ三重奏曲をフルーリーとノージュが演奏したCD(発売元:カメラータ・トウキョウ、CMCD-28191)がリリースされましたので、ご一聴をお薦めします。優美にして華麗、音楽的内容も充実した佳曲です。

 音楽祭の目玉になるのは、昨年でウィーン・フィルのコンサートマスターを退いたヴァイオリニストのウェルナー・ヒンクが、11月の数日間をつくばで過ごし、聴衆と触れ合いながら5回の演奏会を行なっていくことです。息子のマティアス・ヒンク(ヴィオラ)とのデュオ・リサイタル(11月10日)も心温まる演奏会になりそうですが、特に注目されるのは、わが国の名ピアニスト遠山慶子と共演し、2日にわたってモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを演奏するコンサート(11月9日&29日)でしょう。これ以上のモーツァルト演奏にはなかなか出会えないはずです。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、ヴァイオリンと対等以上に書かれたピアノのパートが秀逸。演奏者の遠山慶子は、「モーツァルトのピアノ作品では、ピアノ・ソナタよりヴァイオリン・ソナタが魅力的!」と公言しています。ヒンクの奏でる柔らかな響きと極めて美しい弱音、音楽の本質をとらえた遠山の余人をもって代えがたい演奏が一体となって、この上なく典雅なモーツァルトが聴く者を包み込みます。ヒンク&遠山デュオは草津音楽祭の常連でもあり、ノーベル物理学賞に輝いた小柴昌俊氏はじめ、2人の熱狂的なファンはたくさんいるようです。
 実は、2人の同じプログラムによるコンサートが、東京・王子ホールでも行なわれます(11月11日&25日)。王子ホールでは今年と来年の合計4回で、ヒンク&遠山によるモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会を行なう予定です。2人が10年の歳月をかけ録音した「モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集」のCDも、10月25日リリース予定の第5弾(発売元:カメラータ・トウキョウ、CMCD-28187。既発売の4枚はCMCD-25007、28008、28020、28114)でシリーズ完結となります。
 王子ホールのチケットセンターによれば、9月13日現在、すでに11月11日は完売、25日も残席僅少でした。買い逃した人はつくばで聴きましょう。さらに、ここだけの話ですが(笑)、つくばのチケット代は王子ホールの半額以下! これは主に演奏会場の座席数の違い(王子=315席、つくば=約1000席)によるものでしょうが、つくばノバホールも音響の良いホールですから、全く心配ありません。東京在住の人にとっては遠いイメージがありますが、つくばエクスプレスに乗れば、秋葉原から最短45分でつくばに到着、そこからホールまでは3分ほどです。
 「つくば」は穴場! 一度、足を運ばれてはいかがでしょうか。

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