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2012/06/20 01:19  | 来日公演 |  コメント(2)

ロイヤル・フランダース・フィル公演の魅力 (3)巨匠エド・デ・ワールトの指揮により新たな輝きを放つオーケストラ

 ロイヤル・フランダース・フィルのすみだトリフォニーホール公演が、いよいよ数時間後に迫りました。

 先週来日したオーケストラは、大阪、桑名と公演を重ね、18日には東京・上野の東京文化会館で、都民劇場音楽サークルのための公演を行ないましたが、幸いその演奏を聴くことができました。

 前半のシューマンのチェロ協奏曲では、代役のチェロ奏者ポール・ワトキンスが期待以上の演奏をしてくれました。CDで聴いた印象どおり、派手に弾き切るタイプのチェロではなく、オーケストラ団員とアイ・コンタクトをとりながら、緻密に、表情豊かに、深みのある音楽を紡ぎ出していました。明日のエルガーもかなり期待できそうです。

 後半はマーラーの交響曲第5番。エド・デ・ワールトの流麗な棒さばきの下、オーケストラ団員約100名が熱演を繰り広げました。コントラバス8本がステージに揃った姿は壮観です。アンサンブル、バランスの絶妙さは健在で、響きは明るく鮮やか。このオーケストラの評価を一気に高めた前任の音楽監督、フィリップ・ヘレヴェッヘの時代に出していた音色とはまた異なった、新たな輝きを放っていました。

 もともとベルギーは、ヴュータン、イザイ、グリュミオーなど、数々の名ヴァイオリニストを輩出した「弦楽器の国」。そのベルギーを代表するオーケストラに成長したロイヤル・フランダース・フィルには、溢れるほどの能力があり、それが名指揮者たちによってさまざまな果実を実らせ、さらなる成長を続けている、といったところでしょうか。

 エド・デ・ワールトの「オーケストラ・ビルダー」としての腕前は定評があり、これまで、彼の母国オランダやアメリカ、オーストラリアなどのオーケストラの実力を磨き上げてきました。もう10年近く前になりますが、オランダを訪れた折、彼がオランダ放送フィルを指揮した演奏を聴く機会がありましたが、初めて生演奏を聴くそのオーケストラの実力に驚いたことをよく覚えています。デ・ワールトは、このオランダ放送フィルと1990年代にRCAからマーラーの交響曲全集CDをリリースしていましたが(現在は残念ながら廃盤)、その内容も素晴らしいものでした。

 エド・デ・ワールトは幅広いレパートリーをもっていますが、なかでもワーグナー、リヒャルト・シュトラウス、そしてマーラーなどの後期ロマン派作品の音楽づくりは絶品です。オペラ指揮者としても評価の高い彼の音楽には、歌が満ち溢れています。マーラーは、交響曲と歌曲の作曲として知られており、その交響曲にも随所に歌の旋律を聴くことができます。緻密なアンサンブルと溢れる歌心、目をみはる輝かしさと鮮やかな陰影……マーラー交響曲第1番の、美しい森の中に迷い込んだかのような第1楽章から怒涛のフィナーレまで、絶妙なバランスで奏でられるオーケストラを本日も存分に楽しむことができそうです。

 ホールに確認したところ、当日券も残っているようですので、まだチケットを入手されていない方も、今宵、感動を求め、すみだにお出掛けになってはいかがでしょうか。

2 comments on “ロイヤル・フランダース・フィル公演の魅力 (3)巨匠エド・デ・ワールトの指揮により新たな輝きを放つオーケストラ
  1. ミラースティルクレヴェンジャー より:
    銘器の響き

    このオケに近いオランダ系のオケの音は柔らかく明るく優雅で暖かくねっとりしていてちょっと冷やして食べるとおいしいです。確かにオランダ系の指揮者はオーケストラビルダーでハイティンク、ワールトが双璧でそのバランス感覚がすばらしくあのエヌ響を指揮した演奏からもその感覚と響きが感じられた。エヌ響では他にはデュトワが自分の感性を音にしていた。めったにないことだ。バランス感覚はベイヌムや、あくが強いメンゲルベルグにも感じられた。コンセルへボウ、その室内管、ロッテルダム管、オランダ放送管等、響きがまろやかで、ベルリンフィル等北ドイツの響きはきつく鼓膜にきびしい。特にベルリンは恐るべき合奏技術で各パートの音が一人のよう収束した細い響きで溶けあわず何かハーモニーに聞こえずらい。逆に合奏のメリットがなくなってしまう様だ。カラヤンが研ぎ澄ませたようだ。前者が全体が木製の銘器の響きで後者は金属的な時にはささくれだった音になるような気がする。。前者ではチェコフィル、プラハ室内管、その他プラハの楽団、ドレスデン国立管、バンベルク響、ウィーンフィルがあります。やはり旧ハプスブルグ帝国の領域に多いようです。

  2. ミラースティルクレヴェンジャー より:
    追記

    そういえば元ベルリンフィルのヴィオラ土屋さんがカルロス・クライバーがBPOに来たとき二度と来るつもりはなく嫌いだと言って去っていったと述べていましたが、実況CDを聞くと私もそう思いました。音色が全然クライバーのスタイルにフィットしていない相性の悪さ。シカゴ響との実況CDでもひどいものでした。確立されたメカニックな演奏スタイルはクライバーにより破壊されただけでした。クライバーとは関係ありませんが、ニューヨークフィル、メトロポリタンの音色は気色悪くてなんとかならないでしょうか。シカゴ、クリーヴランド、フィラデルフィア、ボストンから移籍した奏者でさえあんな音色を出しているのですから、楽器を変えないとだめでしょう。ホロヴィッツの言う通りゴミを満載したダンプカーと言われても仕方がない。そもそも団員が4大オケのニューヨーク公演を耳の洗濯で楽しみにして聴いているのですから。

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