2025/01/25 11:30 | 戦略論 | コメント(0)
戦略を主張すべき
まず最初に度肝を抜かれたのが、なんといってもメキシコ湾をアメリカ湾に改名するというものや、世界保健機関(WHO)やパリ協定からの脱退など。かなりインパクトのあるものが目白押しでした。
その直前に行われた30分ほどの演説でも、トランプ節は炸裂。私が個人的に注目したのは「米国は再び成長する国家となり、富を増やし、領土を拡大し、都市を建設し、期待を高め、新しく美しい地平線に国旗を掲げていく国家になる」という部分でした(参考までに、以下は全文が掲載された朝日新聞の記事のリンク)。
■【日本語訳全文】トランプ大統領の就任演説(1/21 朝日新聞)
とりわけ注目はこの「領土を拡大し」の部分。アメリカは戦後80年間に、世界の(リベラルな)国際秩序の柱となってきた存在であり、領土を拡大するような動きをむしろ牽制するような動きを世界で担ってきたわけですが、トランプ新大統領は自らその規範を破るような発言をしているわけです。
しかもトランプ大統領がこの演説の該当部分の直前で引用しているのが、第25代大統領のウィリアム・マッキンリー。
マッキンリー大統領といえば、アメリカの帝国主義の対外政策を19世紀末に実践した海外進出に積極的な人物で、1898年にハワイを併合し、同年に米西戦争でスペインを打ち負かしてキューバの独立とプエルトリコとグアムの割譲、そしてフィリピンの譲渡を認めさせました。国務長官だったジョン・ヘイの声明「門戸開放宣言」によって中国への経済進出も図っております。
しかもこの時代は、ジョン・ロックフェラーやジョン・P・モルガンなどが、なかば政商のようにマッキンリー政権と組んで次々と鉄道事業などを積極的に展開していた時期でもあります。
そして今回の第二次トランプ政権も、その就任式にテック大手の大物トップらが出席しておりますし、巨額寄付を行ったこのビジネスマンたちを厚遇しております。
■ トランプ氏就任式、テック大手トップに際立つ「厚待遇」(1/21 日本経済新聞)
このようなトランプ政権の状況について、日本のある識者は「まるでオリガルヒを従えている90年代のプーチン時代のロシアを見ているようだ」というコメントをしておりました。トランプ自身は「アメリカのオリガルヒ」である「ディープ・ステート」を倒すと公約することで支持を得たにもかかわらず、いまはその彼らを周囲に従えているという矛盾ですね。
これは鋭い指摘だと思いますが、アメリカの歴史を振り返ってみると、むしろ「19世紀の頃に先祖返りした」という認識が正しいのかもしれません。
もちろんいくつかの大統領令は、すでに「憲法違反」だと訴訟を起こされておりますし、裁判所には「違法」と判断されるものも多く、すべての大統領令がトランプ大統領の思い通りになるとはかぎりません。
■ トランプ氏の「出生地主義」廃止令、連邦地裁が差し止め 「あからさまに違憲」(1/24 BBC)
いずれにせよ、出だしから前途多難であり、第二次トランプ政権は先の見通せない不安定な4年間になることは確実でしょう。
ところがそのような不確実なトランプ政権の対外政策の方針でも、少なくとも一つのヒントになるものがあります。手前味噌になってしまいますが、私が企画・翻訳して出版された『アジア・ファースト』の著者である、エルブリッジ・コルビーの提唱する戦略です。今回はこちらについて考えてみたいと思います。
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
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戦略を主張すべき
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▼コルビーの主張
▼日本から主張すべき
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