2025/06/24 00:00 | 戦略論 | コメント(0)
イスラエルの無益な斬首作戦と巻き込まれる米国
■ 米軍“バンカーバスター使用”明らかに イラン核施設の攻撃で(6/22 NHK)
イスラエルによるイランの核施設への攻撃は、10日前に始まって以降、国際政治における戦略面から見た最大の注目イシューとなっていますが、週末には、これにアメリカが加わって、バンカーバスター(地中貫通爆弾)を使ってイラン攻撃に参加するという、いよいよとんでもない展開になってきました。
米軍の攻撃が行われたのは、日本時間の6月22日(日)の朝なのですが、攻撃の一報がSNSなどで報じられ始めたのが午前9時すぎ。私はちょうどそのタイミングで大学院での講義でエアパワー(航空戦力)の話を始めたところで、休憩時間にスマホを覗いてこの件を知ると、その運命のめぐり合わせにギョッとしました。
日本でも早くからまとまった報道が出てきておりますが、今回の動きで目立つのは、トランプ大統領の「勝ち馬に乗る」という態度です。たとえば数日前に出たニューヨーク・タイムズ紙のスクープ記事では、同大統領はテレビでお気に入りのFOXニュースの番組を見ていたところ、そこでイスラエルの核施設への劇的な攻撃の成功が絶賛されているのを見て、自分も行いたいと思うようになり、考えを変えていったと伝えられていました。
■ How Trump Shifted on Iran Under Pressure From Israel(6/17 The New York Times)
「テレビ番組を見ていて攻撃を決断」というのは、世界最強の国家のリーダーとしてどうなんだ・・・というツッコミを入れたくなりますが、それにしても、もし本当にFOXという一つのメディアがここまで大統領の考えを変えてしまうほど効果的ならば、FOXの指導部、もしくはFOXを利用しようとする様々な勢力の方がアメリカ国民よりも影響力が大きいということにもなりかねません。
アメリカがこのようなザマというのは実に嘆かわしい限りですが、これこそが我々が直面している現実のようです。信じられないと嘆くよりも、それを現実として受け入れて策を練る、という方が正しい態度なのかもしれません。
そうした中、前回の記事(以下のリンク参照)で「エアパワーによる斬首作戦とその限界」という議論をご紹介しましたが、これに関連して、エアパワー研究の第一人者でシカゴ大学教授のロバート・ペイプが、イスラエルの空爆を批判する論文が外交誌『フォーリン・アフェアーズ』に掲載されました。今回はその内容を紹介しつつ、日本に対してどのような示唆があるのかを論じたいと思います。
・「イスラエルの斬首作戦と米国の巻き込み」(6/14)
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
目次は以下のとおりです。
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イスラエルの無益な斬首作戦と巻き込まれる米国
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▼前例のない作戦
▼スマート爆弾の罠
▼日本への示唆
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オンラインセミナーのお知らせ
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先日、編集部からお知らせがありましたが、7月16日(水)19時から開催される「夏の世界情勢オンラインセミナー!」に、昨年に続いて参加することになりました。
今年も「世界情勢ブリーフィング」のJDさんと一緒に色々お話させていただきます。参加者の皆様とのフリーディスカッションも楽しみにしています。ぜひ上記リンクをご覧下さい。
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近況報告
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先日のことですが、都内某所でたまたま安全保障の専門家二人にお会いしたので、当然の話題がイスラエルのイランの軍部の高官の殺害についての話題になりました。
するとそのうちの一人がインテリジェンスの専門家であり、もちろんこの種の「暗殺」のような案件については詳しい学者。
彼が感慨深そうに言っていた言葉が実に印象的でして、
「いや〜確実な暗殺方法って、やっぱり爆殺か毒殺なんですよねぇ」
というものでした。客観的に見ても朝からかなり物騒な話をしていたわけですが、我々の専門がそういう領域なので、ある意味で仕方がないものかと諦めております・・・(苦笑)。
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