2024/11/27 13:00 | 戦略論 | コメント(0)
本当に強い国や軍隊とは?
ただしリンダ・マクマホン(プロレス会社社長の元妻)を教育長官、メフメト・オズ(医師でTVの司会者)をメディケア・メディケイド・センター(CMS)の長官など、相変わらずエンタメ・テレビ重視の資質を疑うような不思議な人事をゴリ押ししているところがなんともトランプ政権らしいと感じる次第です。
そのような動きの速い国際政治の話題の中で、私が最も気になったニュース記事は、日本の安全保障にも密接に関係してくる可能性の高いこの記事でした。
■ 軍事力のいくつかの分野において、中国はアメリカを追い越した(11/4 英エコノミスト誌)
有料版なので記事を読めない方もいらっしゃると思いますが、そこで論じられているのは一言で言えば「米国は中国との軍事技術の開発競争で追い詰められている」とするもので、
・中国は2035年までの軍事近代化、2049年までの世界トップレベルの軍隊を目指しており、過去20年間で急速に進化した
・中国海軍は最新鋭艦船を揃え、ミサイル発射装置数では米国を凌駕する見通し。空軍も技術を改善し、特に極超音速兵器の分野で先行している
・さらに、AI、ロボット、宇宙分野などでも優位を持つが、汚職や戦闘経験不足が課題
ということが書かれております。
つまり「米国は中国に軍事力の面でも勝てないかもしれない」ということですが、このような記事を読むたびに、私が常々感じることは以下の二点です。
第一に、アメリカには軍事力の面で余裕がなくなっているという点。
その一例が、拙訳『アジア・ファースト』を刊行した、共和党系の元官僚・政策家でメディアにも頻繁に顔を出すエルブリッジ・コルビーの議論です。
彼とその周辺、とりわけ共和党系の対外政策の専門家たちは「アメリカにはウクライナや中東に関与し続ける余裕はないのだから、最大のライバルとなる東アジアの中国に対抗するために持てるリソースのすべてを集中させるべきだ」としてアメリカの大戦略に優先順位をつけて対応しろと言っております。
より実務者に近いところでは、たとえば次期政権の副大統領を務めるJDバンスなども、対外政策に関する議論では、アメリカにはもう世界で警察官をやる余裕がないことを強調し、それを前提とした「ウクライナ支援の停止」を説くことが多いわけです。
第二に、日本側に中国が及ぼしている軍事面での脅威についての安全保障関係者たちの感じている危機感があまり伝わっていないという点です。
もちろん大手メディアでは。地味に中国の軍拡や能力工場の脅威については伝えているものがあって、産経の以下の尖閣周辺への中国の公船の侵入案件に関する報道があるのですが・・・、
■ 尖閣周辺に中国船 8日連続、機関砲のようなもの搭載の4隻(11/26 産経新聞)
それが国民的な議論としては(その脅威のわりには)盛り上がりに欠けているというのが実態です。
そのような中で、私が今回論じてみたいのは「ではアメリカと日本は、力をつけてきた中国の脅威に本当に対抗できるのか」という問題意識から必然的に出てくる、
「本当に強い国や軍隊とは?」
という、世界の国防関係者が歴史的に悩んできた、いわば「究極の問い」であります。
もちろんこの問いに対する決定的な答えはないものの、戦略研究の分野においては少なくとも問題の所在についてのヒントとなるような議論が展開されてきました。
そこで我々の頭を整理するために、とりあえずこれらをおさらいしておこうかと思った次第です。
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
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本当に強い国や軍隊とは?
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▼軍の強さはどこにある?
▼多い方が勝つ
▼技術優位
▼うまい方が勝つ?
▼結局強いのはどちらだ?
▼近況報告
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