プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2025/10/19 08:00  | 戦略論 |  コメント(0)

場を動かす


先週の戦略関連のニュースで注目すべきは、やはりトランプ大統領によるガザ停戦が中東の安定につながるかという話ですが、この地域を見ている人々の見立てをみると、全般的に情勢には悲観的ですね。

トランプ大統領は成果を強調しておりますが、さっそくイスラエルとハマスの双方が遺体の返還などの問題から相手を非難しはじめており、停戦の行方がさらに不透明になってきています。

ガザ和平で「合意違反」 イスラエル、ハマスが非難の応酬(10/17 時事通信)

そもそもイスラエルは、ハマスの完全な武装解除を求めていますが、ハマスにとっては武装解除は即死を意味するわけですから、まあこのまま終わるわけがない、というのが合理的な見方でしょう。

イスラエルにとってもハマスにとっても「平和」というのは「自分たちに都合の良い平和」という意味でしかありません。我々日本人が考えるような「みんなが満ち足りた平和」というのは中東のこの地域にとっては単なる幻想でしかなく、そもそもそのような平和は誰も望んでいません。この厳しい現実を認識することが重要なのだと、あらためて感じるところです。

それ以外に驚いたのは、トランプ大統領が「インドのモディ首相がロシアからの原油の取引を停止する」と約束したと発言したことです。

トランプ米大統領、インドのモディ首相がロシア産石油の購入停止に同意したと発言(10/16 BBC)

もしこれが事実であれば、ここ最近冷え込んでいたインドとアメリカの関係が劇的に改善したということになり、インド太平洋地域におけるクアッドのような構想が元の路線に戻ってきたとも言えます。日本にとっても対中戦略の観点から、米印関係の改善は理想的です。

ところがそこはさすがトランプ大統領です。このニュースから数日たってから、なんとインド側の報道官が「そんなこと聞いていない」と発言しました。

インド、トランプ氏の主張に疑問呈す モディ氏がロシア産石油の購入停止に同意との電話は「把握せず」(10/17 BBC)

これは一体何なのでしょうか。一つ考えられるのはインドがそのような交渉が米印間で行われていることを隠したかったという説です。しかし、トランプが外交成果を強調したがったために口からでまかせを言ったという説も成り立ちます。

真相は闇の中ですが、今年予想されていた世界10大リスクの半分以上に関わっている同大統領ですから、もうどれだけいい加減な振る舞いをしていても驚きはないですね。

さて、そのような中東正面の混乱を脇に見ながら、みなさんに注目していただきたい、東アジアを正面から扱った興味深い記事がありましたので、今回はその中身のご紹介します。そしてそれを踏まえて最近の私の体験から得た知見をご披露したいと思います。

※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。

***********
場を動かす
***********


▼リアルな台湾有事の想定
▼三つのシナリオ
▼中国側の課題
▼シミュレーションゲームからの学び

***********
近況報告
***********

突然ですが、外出用につかっているラップトップが壊れてしまい、買い替えのために痛い出費となりました。

きっかけは、いつもラップトップを入れているカバンに、フタが半分しまっていないミネラルウォーターを一緒に入れてしまい、結果的に「水没」させてしまったという話。

朝になってカバンの中身がずぶ濡れだったことに気づき、まずいと思ったらラップトップも湿っておりました。

少し振ったら中から水滴が出てきたので、拭いたらなんとかなると思ったら大間違い。

それから数時間は普通に使えていたのですが、午前中の打ち込みが終わった瞬間に突然スクリーンが見えなくなりました。ほんの一瞬のできごとです。

そこから扇風機で乾かしてみたりして色々とやったのですが、結果として電源は入るのですがスクリーンに何も映らない状況。やや古くなっていたこともあり、下取りに出して買い替えと相成りました。

私自身のミスとはいえ、最近のパソコンは高いので実に痛い。みなさんも気をつけてください。

***********
好評発売中の書籍
***********

『世界最強の地政学』文春新書
『新しい戦争の時代の戦略的思考』飛鳥新社
『サクッとわかる ビジネス教養 新地政学』新星出版社、改訂版(再び増刷決定!)
『やさしくわかるエネルギー地政学』小野﨑 正樹、技術評論社
『クラウゼヴィッツ: 『戦争論』の思想』マイケル・ハワード著、勁草書房
『地政学:地理と戦略』コリン・グレイ&ジェフリー・スローン編著、五月書房新社
『戦争の未来』ローレンス・フリードマン著、中央公論新社
『インド太平洋戦略の地政学』ローリー・メドカーフ著、芙蓉書房出版、
『戦争はなくせるか』クリストファー・コーカー著、勁草書房
『デンジャー・ゾーン』マイケル・ベックリー&ハル・ブランズ著、飛鳥新社
『スパイと嘘』アレックス・ジョスキ著、飛鳥新社
『アジア・ファースト』エルブリッジ・コルビー著、文春新書(第三刷決定!)
『認知戦:悪意のSNS戦略』イタイ・ヨナト著、文春新書(★最新刊★)

メルマガ「奥山真司の戦略論から見た世界」を購読するためにはご登録のお手続きが必要です。

当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。

コメントを書く

* が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。