2025/08/03 08:00 | 戦略論 | コメント(0)
新刊 『認知戦 悪意のSNS戦略』
今週の戦略関連のニュースで話題なのは、先週に引き続きタイとカンボジアです。7月24日から本格的な戦闘が続いていましたが、28日に停戦の合意が成立し、29日に発効したものの、散発的な戦闘や小競り合いは両国の国境付近で続いていると報じられています。
■ 停戦発効のタイ・カンボジア 攻撃や兵士の移動停止などで合意(7/30 NHK)
ここから示唆されることはいくつかありますが、個人的に大きな意味を持つと考えているのが、停戦交渉に参加したのがASEANの議長国であるマレーシアの他に、中国とアメリカが入ってきた、という点です。
アメリカはとりわけ2月のバンス副大統領の姿勢から見られるように、欧州や世界からの関与をやめるような姿勢を示していたわけですが、今回の紛争でも見られるように、関税交渉の圧力をちらつかせながらも、しっかりとこの地域でも影響力を発揮する姿勢を見せました。
ここにもトランプ政権の「孤立主義と見せかけて、実はまだ世界関与をやめない」というアンビバレントで不安定な姿勢が見て取れますね。本気を出してやればいいのにと思いますが・・・。
一方、国内のニュースで私が気になっているのは、自衛隊がこれまで毎年行っていた観閲式・観艦式(首相を招いて部隊を検閲する大イベント)を、今後は行わないと発表したことです。
■ 陸海空自衛隊「観閲式」を中止 防衛省が発表 安全保障環境理由に(7/30 朝日新聞)
このニュースのポイントは2つあります。一つは安全保障環境がそれだけ悪化しているために、演習や事態対処に忙しく、余興のような式典をやっている暇が自衛隊にはないこと。
そしてもう一つは、この式典による部隊や隊員たちへの負担が大きくなっていることだけでなく、そもそも(新入)隊員の数が不足しているために、そのようなことを行っている余裕がなくなってきているということです。
どちらかというと後者のほうが深刻です。
私も十年ほど前に某駐屯地で観閲式を拝見させていただいたことがありますが、その時には門の近くの駅前で左派の活動家が「戦争反対!」とデモをやっていたのを覚えております。
むしろこのような式典が今後開催されないことの方が、よほど「軍靴の足音が近づいている」証明になっているようで、なんだか皮肉なものです。
さて、今回の本題は、8月20日発売予定の新刊についてのご紹介です。
これは去年から地味に制作していた本ですが、このたび訳書として私が翻訳し、いよいよ出版されることになりました。そのテーマは、いま日本で急激に「新たな脅威」として認識されはじめている、主にSNS上で展開される「認知戦」というものです。
■ イタイ・ヨナト著 奥山真司訳『認知戦 悪意のSNS戦略』【8/20発売】
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
***********
新刊 『認知戦 悪意のSNS戦略』
***********
▼認知戦の脅威
▼SNSの影響力
▼我々がすべきことは何か
***********
近況報告
***********
先日のことですが、日本最大級の火力発電所である「富津火力発電所」を見学をしてきました。
しかもただの見学ではなく、そこに燃料となる液化天然ガス(LNG)を運ぶ船の中に入れてもらい、しかも中のエンジンの部分まで見せていただいたことです。
同行させていただいたのは海自の幹部の方や某大学教授、そしてニッポン放送のアナウンサーで朝の情報番組である「OK! Cozy up!」のMCをつとめる飯田浩司アナウンサー。
異色の組み合わせでしたが、石油と違って備蓄のしにくいLNGが日本のシーレーンにどれほど依存しているのか、そしてそれが地政学的にどのような示唆を持っているのかなど、色々と考えるヒントをいただきました。
このような情報は、我々のような識者たちだけでなく、広く日本国民全般の方々にも知っていただきたいとあらためて感じた次第です。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。