プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2025/07/14 17:00  | 戦略論 |  コメント(0)

認知戦の最前線


今週の戦略関連のニュースで話題なのは、なんといっても以下のコルビー国防次官による台湾有事への日本関与の要求についてです。

台湾有事で日本の関与を要求 米国防総省高官、英紙報道(7/12 共同通信)

具体的には、台湾有事で米中が軍事衝突した際の日本の役割を明確化するよう伝え、「関与」を求めたということです。しかし、米国が台湾有事への関与を曖昧にしているのに同盟国には明確な役割を求めるのかとも受け止められ、日本の国民感情を揺さぶりそうなニュースではあります。

ただ私は、この問題の本質は同盟国の態度というよりも、むしろ今回のイランに対する攻撃を中国がどのように受け取ったかにあると感じています。

以下のニューヨーク・タイムズ紙の記事は、米国のイラン攻撃を受けて北京が「あれ、トランプって戦争が嫌いなんじゃなかったっけ?」と混乱し、その真意をはかりかねている可能性を指摘しています。

How Trump’s Strike on Iran Might Affect China’s Calculus on Taiwan(6/26 The New York Times)

これを端的にいえば、北京はトランプの「レッドライン」、つまり軍事力の行使に踏み切るトリガーがどこにあるのかを必死に探っていますが、その核心は「大統領本人の意向」にかかっているために、かなり予測が困難になっている、ということです。

こうしたトランプの不確実性(嫌いと言いつつ実力行使をしていざという時には同盟国に分担を求める)が、冒頭のコルビーによる台湾有事関与の役割分担の話とも相まって、結果として北京の台湾統一へのアクションを抑止する効果を生み出しているように思われます。

もちろん我が日本のような同盟国側にとってはトランプの不確実性はたまったものではないですが、それはライバルである中国にとっても嫌なこと。このように考えると、コルビーの話はそこまで深刻に受け止めることはなく、とりあえずスルーするのが賢明なのではないでしょうか?

さて本題ですが、11日(金)の午後に、都内の某所で「認知戦」に関するイベントに参加してきました。今週は、ここで感じたことなどをご報告したいと思います。

※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。

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認知戦の最前線
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▼偽情報への関心の高さ
▼シンガポールが参考に?
▼SNSが荒れる理由?

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今週のオンラインセミナー
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今週7月16日(水)19時から「夏の世界情勢オンラインセミナー!」で、「世界情勢ブリーフィング」のJDさんと一緒にお話しさせていただきます。

参加者の皆様ともフリーディスカッションでいろいろな議論ができるのを楽しみにしています。直前まで申込ができるので、ぜひ上記リンクをご覧下さい。

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近況報告
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7月12日(土)の夜に都内で出版イベントに行ってまいりました。

会場は江東区にあるその筋では有名な軍事・戦争関連のマニアがあしげく通う「ドレッドノート」です。

イベントのテーマは私が解説を書かせていただいた『もしロシアがウクライナに勝ったら』というドイツの安全保障系の学者が書いた未来戦記的なシナリオ本でして、これはすでに本メルマガの第28号(以下のリンク参照)でもご紹介の通りです。

「将来を見通す方法」(6/6)

あまり表でイベントをやることはないので少々緊張しましたが、なんとかこなしてまいりました。たまにはイベントもいいものです。

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