2025/06/07 14:00 | インテリジェンスサロン | コメント(0)
ヘグセス国防長官の台湾強硬発言の衝撃
今年も恒例のアジア安全保障会議が5月末にシンガポールで開かれました。会場となるホテルの名称から通称「シャングリラ会合」と呼ばれています。この会議は各国の国防相ら安全保障担当の当局者が集まって、アジア太平洋地域の課題や防衛協力などが議論されます。
私も北京とワシントンの特派員時代に計8回この会議を取材をしたことがあります。このようなホテルの大会場で開かれる公式会議は、メディアで大きく取り上げられますが、それだけでなく、カメラが回らない舞台裏でも、いろいろな非公式会合が開かれています。
実はこの「舞台裏」が公式会合と同じか、それ以上に重要だったりします。公式な発言から示唆されるメッセージを読み解くことも重要なインテリジェンスですが、舞台裏では、建前や対外的な影響への配慮がない、生の姿が見えることがあるからです。
廊下の片隅、ホテルのラウンジ、夜のバー・・・そこでは公式の議事録には決して残らない、各国要人たちの「本音」と「腹の探り合い」が繰り広げられています。私のような独自の情報ルートをもつインテリジェンスのプロは、こうした動きも総合的に加味して分析を行います。
今回のシャングリラ会合も、いくつも興味深い点がありました。特に注目すべきは米国から参加したヘグセス国防長官の動きです。米国の中国と台湾政策の今後を読み解く上でヒントが詰まっていました。今回はこの点について詳しくお伝えします。
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下のとおりです。
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台湾有事「断固として戦って勝利」ヘグセス国防長官の強硬発言の真意とは
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●会議の舞台裏から見えるもの
●ヘグセス国防長官の演説
●仕掛け人の存在
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あとがき
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4月24日、自民党外交部会の台湾政策検討プロジェクトチーム(PT)で講演をしました。今回は初めて、冒頭からメディア取材が入りました。いくつかのメディアが記事にしています。
■ 自民台湾PT、有事で議論 グレーゾーン事態の備え重要(4/24 日本経済新聞)
これまで10回以上、自民党のいろいろな部会で講演してきましたが、いずれもメディア取材は許可されませんでした。それどころか、開催したことすら公表しない「存在秘」のものがほとんどでした。中国による抗議などを考慮してのことです。
では今回はなぜオープンにしたのでしょうか。PT座長の山下貴司議員はその背景について、こう説明します。
「中国による最近の台湾周辺における演習の内容や頻度を見ると、危機感が強い。議員だけで議論するだけではなく、メディアを通じて広く国民に知ってもらいたいと考えたからだ」
私は、2020年から本格的にメディアや講演で台湾有事について警鐘を鳴らしてきました。しばしば「また危機を煽っている」と研究者から批判されてきました。しかしこれは、イデオロギーや個人的な関心で危機を指摘していたわけではありません。中国軍の能力や演習、さまざまな文献などを真摯に研究した結果を報告してきたのです。
そしてこれまでの私が作成した有事シナリオは、いずれも現実のものになっています。そしてこれは、危機が起こったときの備えということだけではなく、そうした備えがあることを明らかにすることで、抑止力につながるのです。
つまり、見たくない現実と向き合うこと。これこそが、有事を起こさない最大のポイントなのです。
●最近のメディア出演
◆ ニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy Up」(6/5)
◆ みんかぶマガジン
・中国による「台湾と尖閣諸島の同時侵攻」の可能性がきわめて低い理由…ジャーナリスト峯村健司「台湾有事は私の読み通り動いている」
◆ NewsPicks
・「新型の侵略戦争」無傷で台湾を征服する、中国の戦略とは?最重要ターゲット“日本”のリスクを軍事のプロが徹底議論【小泉悠×峯村健司/加藤浩次】2Sides
・「米国はあてにならない」台湾有事の避難計画は「ミサイルを防げない」「12万人の避難は不可能」。軍事専門家が警鐘【小泉悠×峯村健司/加藤浩次】2Sides
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