2012/06/14 10:32 | 来日公演 | コメント(0)
ロイヤル・フランダース・フィル公演の魅力 (2)ソリストに注目!
数日前、朝日新聞の朝刊に、このオーケストラの招聘元による「謹告」として、ソリスト変更のお知らせが掲載されていました。確認してみると、来日予定だったマリー=エリザベート・ヘッカーが健康上の理由により6月末まで演奏活動を休止することになった模様です。いわばドクター・ストップでしょうか。
ヨーロッパで活躍する若手の日本デビューはとても楽しみだったので残念ですし、前回は指揮する予定だった小澤征爾の健康上の理由での公演中止でしたから、本当についていないと言うしかありません。
日本公演だけ日本人ソリストが代役になるのかと思ったら、来日前の同演目のヨーロッパ公演も含めて起用されたチェリストは、ポール・ワトキンスでした。
ポール・ワトキンスは、その実力にもかかわらず、日本での知名度はいまひとつかもしれません。1970年イギリス生まれ。20歳でBBC交響楽団の首席チェロ奏者となった俊英です。ソリストとしてはもちろん、室内楽の分野でも活躍、イギリスの名手たちで結成されているナッシュ・アンサンブルの主要メンバーとして活動するほか、来秋からはあの名門、エマーソン弦楽四重奏団のメンバーに加わることが決定しています。一方、2002年には何とリーズ「指揮者」コンクールに優勝、イギリスのオーケストラはもちろん、2008年には東京都交響楽団を指揮してエルガーの交響曲などを演奏している音楽の才人です。
病気のヘッカーには申し訳ないのですが、ワトキンスの方が格上で演奏のキャリアも長く申し分のないものです。さらに、演目のエルガーのチェロ協奏曲は、彼の十八番。現在、この曲を弾かせたら、間違いなく世界トップ・レヴェルのチェロ奏者と言えるでしょう。おまけに今年に入って、イギリスのシャンドスより、同曲のCDをリリースしたばかりで、この演奏が素晴らしいものでした。専門誌『レコード芸術』でも音楽評論家の相場ひろ氏が「今月の特選盤」に選んでいます。
オーケストラ・プレイヤーや室内楽奏者、指揮者としての経験も生かしたチェロ独奏には、他の奏者を寄せつけぬほどの楽曲への深い理解と洞察を聴くことができます。
1週間後の公演がいっそう楽しみになりました!
(前回、予告したこのオーケストラの魅力については次回ご紹介します。)
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