2021/06/18 12:15 | 政局 | コメント(1)
野党が内閣不信任案を出す理由
第204回通常国会が閉会しました。会期中、多少の小競り合いはあったものの、強行採決などのように与野党が激しく対立するようなことはありませんでした。そのお陰かどうか、政府が提出した63の法案のうち、61が成立しました。
具体的には、新型コロナウイルス対策で「まん延防止等重点措置」が新設された改正特別措置法、今年9月にデジタル庁を創設することなどを盛り込んだ「デジタル改革関連法」、それに75歳以上の医療費の窓口負担を年収200万円以上の人を対象に2割に引き上げる改正法などです。成立率は97%となり、過去5年の通常国会で最も高くなっています。
また、議員立法でも、憲法改正の手続きを定めた「改正国民投票法」が成立しました。2018年6月の改正案提出から、3年をかけての悲願達成です。これを受けて自民党は、早速憲法改正推進本部の会議を開き、次期衆院選公約の中での示し方も含め、党内で改憲議論を深めていくことを確認しています。
もう一つ注目したいのは、「候補者男女均等法改正案」が成立したことです。
日本は他国と比較して女性の政治参加が遅れているというのが、多くの方の共通の認識ではないかと思います。
世界の国会議員が参加する列国議会同盟(Inter-Parliamentary Union)によると、2020年3月末時点で衆議院議員に占める女性の割合は9.9%。世界191ヶ国中165位です。参議院は女性が20%を超えていますが、それでも衆参両院を合わせると1割台です。世界各国の議会における女性比率の平均は21.7%なので、日本の女性議員の少なさは際立っています。
こうした状況を憂慮し、政治の側も少しずつではありますがジェンダーギャップを埋めようと努力をしています。
まず、2018年には、超党派の議員立法として、「候補者男女均等法」が成立しました。国会や地方議会の選挙において、男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党や政治団体に求める法律です。フランスの政党に候補者を男女半々とするよう義務づけた「パリテ法」をモデルとしています。
しかし、「努力義務」が謳われているだけなので、実効性が疑問視されていました。
そこで、今回の法改正では、セクハラやマタハラ(妊娠や出産をめぐる嫌がらせ)が女性の立候補を妨げる要因となっているとして、これらの防止策を政党や国、自治体に求める条文が新たに設けられました。そして、政党や衆参両院に加えて、地方議会が政治分野における男女共同参画を推進する主体であると明記し、それぞれが積極的に取り組むよう求めています。
■ “セクハラ・マタハラ防止を”女性政治参加促す改正法成立(6/20付NHK)
また、自民党の女性活躍推進特別委員会は、次期衆院選で女性議員を増やすための提言案を取りまとめ、今年4月に二階俊博幹事長に申し入れています。全国に11ある比例代表ブロックのうち3つの名簿1位を「女性枠」にする、候補者が決まっていない空白区にはできるだけ女性を登用する、2030年までに女性候補の割合を30%にするなどの目標を党の運動方針や選挙公約に書き込むことを求めるなど、なかなかに意欲的な内容です。
しかし、二階幹事長は「女性優先の公認候補の決定にできる限り努力したい」と述べるにとどまっています。この発言からするに、女性活躍推進特委の提言がどの程度党の方針に反映されるのか、余り期待はできないように思います。
と言うのも、二階氏は、今年2月に総務会や役員連絡会などの幹部会議に女性議員をオブザーバー参加(発言権はなし)させると発表した際、「どういう議論がなされておるかを十分ご了解いただくことが大事。それをご覧に入れようということだ」と発言したからです。これは、世の女性達を大いに失望させました。女性議員を「お客さん」としてしか見ていないという意図が透けて見えてしまったからです。
そうした中、二階氏の発案で実現した自民党の女性局専用の街宣車がお披露目されました。
■ 自民女性局用の街宣車を公開 二階氏「相手が『負けた』と思う車に」(6/16付毎日新聞)
二階氏は、「この宣伝車が来たら『この戦いは負けだ』と相手が思うような車にしたい」と述べたそうです。何だかよくわかりませんが、どうも女性議員に真面目に向き合っていない感じがしてしまいます。うがった見方をすると、「提言は聞き流すけれど、替わりに専用の街宣車を作ってやろう。それで満足しろ」とも言っているように感じるからです。自民党が女性議員や候補をどのように位置付けるのか、次の衆院選で真価が問われることでしょう。
ところで、街宣車については、結構いろいろなトリビアがあります。折を見て、また改めて解説したいと思います。
さて、本題です。メルマガを読んでくださっている「ニコニコ父さん」さんから、下記の質問をいただきました。
>「15日に野党が内閣不信任案を出して、否決されました。
>なぜ、野党は否決される不信任案を出し続けるのでしょうか?
>こんな意味のないように思えることをやり続けている野党に対して、毎回がっかりしてしまうのですが、これはこれで意味があるのでしょうか?それともやり方が下手なのでしょうか??」
確かに、よくわからない不思議な行動です。多くの方からも同様の感想を聞きます。
※ここからはメルマガ(有料版)で解説します。目次は以下の通りです。
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野党が内閣不信任案を出す理由
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●内閣不信任案とは
●ハプニング解散から弔い合戦へ
●嘘つき解散から55年体制の崩壊へ
●野党、やる気あるのか?
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One comment on “野党が内閣不信任案を出す理由”
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メルマガでの丁寧な解説ありがとうございました。
与党にも失望が続きますが、野党には絶望です。
日本の未来が見えませんね。
自分自身はメルマガ読むなどして勉強を続けます。