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2021/06/04 12:00  | 選挙 |  コメント(0)

自民党の候補者調整 ~ 派閥の代理戦争 ~ (9) 志帥会 vs. 宏池会 その2 (山口3区)後編


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菅原一秀氏は「1日でボーナスもらいトンズラ」、安住氏が批判…自民離党で首相「大変申し訳ない」(6/3付読売新聞)

6/1に菅原一秀元経済産業大臣が離党と議員辞職を届け出ました。公職選挙法違反で近く略式起訴される見通しだと報じられています。

6/1は国会議員の期末手当(ボーナス)の支給日です。その日に議員辞職を願い出たため、「1日出ただけでボーナスを丸々もらって、国会からトンズラするのが許されるのか」と、野党はここぞとばかりに大騒ぎです。「国民感情を代弁して」批判しているということらしいです。

この野党の批判は的を得たものなのか。ここで国会議員の期末手当についてご説明しましょう。

期末手当は、国会議員歳費・旅費・手当法に基づき、夏と冬の年2回支払われます。衆議院では、夏は6/1時点で在職なら満額、5月中の辞職で8割支給、4月以前は対象外と規定されています。

これに従うと、今回支給された手当は、昨年12月~今年5月の在籍が対象となります。従って、菅原氏には受け取る権利があります。

メディアの報道では、この期末手当を「ボーナス」と表現しているところもありますが、民間企業などのそれのように会社の業績や本人の評価などによって査定されるわけではなく、その地位にあることで定額が支払われる仕組みです。つまり、菅原氏に期末手当が払われるのは制度の趣旨としてはおかしくありません。

また、菅原氏は、逮捕・拘留されるなど実質的に議員活動ができる状態になかったわけでもありません。SNSで確認できるだけでも、4月5月も国会や党本部、地元で議員としての活動をしています。よって、実質的に見ても、期末手当を受け取ることがおかしいとは言えないでしょう。

しかしながら、辞職する議員、それも法律に反した行為があったとされる議員が辞職に際してボーナスを受け取るのは釈然としないかも知れません。そのように考える有権者が多くても不思議ではないと思います。

期末手当のみならず、国会議員の歳費やその他手当の給付については国会議員歳費・旅費・手当法で規定されています。菅原氏のようなケースでの給付に問題があると考えるのであれば、法律を改正するしかありません。そして、法律を変えることができるのは、国会議員だけです。つまり、野党が今回菅原氏に期末手当が支払われることがおかしいと指摘し、それが国民感情を代弁していると言うのであれば、法改正を提案すべきなのです。

政治とカネ」が問題になるたびに、与党からも野党からも様々な指摘や批判が出ます。しかし、相手を批判するために都合よく使うだけで、ついぞ根本的なところに手を付けようとはしません。これでは政争の具にしているだけだと有権者に受け止められても仕方がないでしょう。

そんな中、河井克行・案里夫妻の買収事件を契機に、有罪判決などで失職したり、当選無効となった場合、歳費を返還することができるように法改正しようという声が上がってきました。興味深いのは、それが与党からだということです。

当選無効なら国会議員歳費返還 公明、法改正めざす方針(5/7付朝日新聞)
歳費法改正、自民PTが初会合 公明案巡り「慎重に対応」(5/31付日本経済新聞)

本気で取り組んでいるのか、あるいは、選挙向けに懸念したフリをしているだけなのか。そこは今後の議論を見て判断するしかありません。しかし、有権者が「政治とカネ」にセンシティブであるということをよく理解した動きだと言えると思います。

本来であれば、こうしたところで正論を唱えて有権者にアピールし、支持を得る努力をしなくてはならないのは野党のはずです。菅原氏の辞職日と期末手当の支給を批判する姿勢一つを取っても野党には真剣さがなく、「政権交代」が口先だけであることがよくわかります。

ちなみに、菅原氏は自身のブログで「期末手当をもらう気はない。国庫に返納できるかどうか調べている」と述べています。

■ 「期末手当について」(6/2付直球勝負すがわら一秀オフィシャルブログ)

野党は、ここで法改正を争点として与党と戦う体制が作れたら、大きな見せ場を作ることができたでしょう。そのチャンスをみすみす無駄にしました。残念なことです。

さて、ここからが本題です。

これまで2回にわたって山口県における衆議院の選挙区情勢を解説してきました。
https://guccipost.co.jp/blog/deepnagatacho/?p=362
https://guccipost.co.jp/blog/deepnagatacho/?p=370

学歴、経歴、家柄、実績、選挙の強さなど政治家として多くの優れた要素を持ち、内外から「未来の総理」と期待されている林芳正氏(宏池会)。総理になるために、参議院から衆議院に移ることを悲願としてきました。

しかし、山口県内4つの小選挙区のうち、1区3区4区は地盤が強固な現職がいました。長らく支部長が固定しなかった山口2区は、林氏にたびたび声がかかるも「国が違う」こともあって実現に至らず。そうこうしているうちに安倍晋三前総理の実弟である岸信夫氏が参院から鞍替えし、空いている選挙区がなくなってしまいました。

そこで、林氏が目を付けたのが山口3区です。なぜ3区なのか。

※ここから先はメルマガ(有料版)で解説します。目次は以下の通りです。

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自民党の候補者調整 ~ 派閥の代理戦争 ~ (9) 志帥会 vs. 宏池会 その2 (山口3区)後編
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●選対委員長に挑戦状
●売られた喧嘩は買う〜志帥会の殴り込み
●天下分け目の山口3区

※自分で言うのはなんですが、今回の有料版の解説は会心の作です。是非多くの方にご覧いただきたいと思います。

次回からは、志帥会 vs. 平成研の選挙区を解説していきます。

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