2025/07/19 09:00 | 選挙 | コメント(0)
参院選注目選挙区 その3 1人区は大混戦 〜 中編 野党共闘の効果
■ 首相応援、相次ぐ中止 異例の候補者不在、重なる(7/17付日本経済新聞)
■ 石破首相の奈良市演説 動員かかるも100人拒否か 候補も不在「陣営の士気下げる」の声(7/17付産経新聞)
参議院議員選挙も最終盤です。石破茂総理は、7/3の公示以降、1人区を中心に29の選挙区に応援に入りました。2回入った選挙区も3つあり、公示日から1週間の移動距離は直線距離で1万キロを超えています。2013年以降の4回の参院選での歴代総理の遊説距離は2,000-5,000キロ程度なので、石破総理はその倍以上も飛び回っている訳です。
総理が応援に入ってくれるのは、一般的には、大変ありがたいことです。総理が来てくれることで、党本部はこの選挙区と候補者を重要視しているというメッセージになるからです。情勢が厳しい候補者であれば尚のこと、是非とも来て貰いたいと思うのが普通です。また会場には、自民党を支持する企業や団体のみならず、総理見たさに多くの人が集まってくれるため、総理や他の弁士達の演説も熱を帯び、士気が高まります。
ところが、そんな総理の思い入れとは裏腹に、候補者の反応が芳しくないのです。総理の遊説日程が発表された後に、「候補者の(日程)調整がつかないため」に中止になったり、なんとなんと、総理が演説する会場に候補者が現れなかったりするとう、前代未聞の事態になっています。
総理に来て貰うからには、観衆がまばらなどということは絶対にあってはなりません。団体、企業、議員秘書などのネットワークなども駆使して動員をかけます。今回、奈良県では動員をかけられた人達が、出席を拒否したとの報道があります。「来ないでくれ」という強烈なメッセージではありませんか。
石破総理は、はっきり言って全く人気がありません。来て貰うことで票が増えることは期待出来ず、寧ろ減らすと思われているのです。だから来て欲しくないのです。
こんな不人気な総理は、宇野宗佑総理以来ではないでしょうか。宇野氏は、1989年にリクルート事件を受けて退陣した竹下登総理の後任として、同年7月の参院選を戦いました。
しかし、総理就任3日後に、神楽坂の芸者が愛人関係にあったことを週刊誌に暴露されたことから、人気が急降下します。そうでなくても、リクルート事件、消費税、牛肉・オレンジの輸入が争点となって自民党に激しい向かい風が吹いていたのに、総理の女性問題がそれを爆風に変えてしまいました。
当時の野党第1党であった日本社会党は、土井たか子委員長の下、積極的に女性候補を擁立していたため、総理のスキャンダルは格好の攻撃材料でした。
候補者は、当然のように宇野総理の応援を嫌がりました。とは言え、選挙期間中、総理が全くどこにも応援に入らないという訳にも行かないので、何とか地元の滋賀には総理としてお国入りしたようですが、候補者からの応援要請は殆どなかったようです。
結果、自民党は1人区で3勝23敗と大惨敗し、改選69議席を35議席にまで減らしてしまいました。参議院で過半数を割ったのは、結党以来初めてのことです。
社会党は46議席を獲得して第1党となりました。その後、自民党は2016年の参院選後に平野達男氏が入党するまでの27年間、参議院での単独過半数を回復出来なかったのです。そのため、自公民、自社さ、自公など連立政権を組むことで過半数を確保せざるを得ませんでした。
宇野総理は選挙結果を受けて、投票日翌日に辞任を表明しました。わずか69日間の短命内閣でした。
現在の石破総理を取り巻く環境は、どうもこの時の雰囲気に似ているような気がします。未だに尾を引く裏金問題、総理自身の度重なる発言のブレや会食時の10万円の商品券の手土産、殆ど評価されない給付金案、消費減税に対する頑なな否定、物価高、捗々しくない関税交渉などなど・・・挙げ出したらキリがありません。当時の社会党程ではありませんが、参政党や国民民主党には勢いがあります。
与党で過半数・50議席はもう無理だと思います。40台後半なのか前半なのか、あるいは40に届かないか次第で、政権の今後は左右されます。その鍵を握るのは、やはり1人区です。
前回に続いて1人区の注目選挙区を見ていきましょう。今回は、野党が候補者を一本化した選挙区の中から、野党系の現職がいる岩手・宮城・秋田・山形・新潟・長野・愛媛を中心に見ていきます。
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
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参院選注目選挙区 その3 1人区は大混戦 〜 中編 野党共闘の効果
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●野党統一候補
●岩手県選挙区:「小沢王国」再び?
●宮城県選挙区:お騒がせながら
●秋田県選挙区:リターンマッチ
●山形県選挙区:知名度では敵わない
●新潟県選挙区:人権派弁護士vs.五輪メダリスト
●長野県選挙区:祖父の代から
●愛媛県選挙区:やっぱり強い
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