2022/08/04 14:00 | 選挙 | コメント(1)
参議院議員選挙:結果分析(1)1人区の結果から 前編
■ 安倍元首相の「国葬」 9月27日に実施決定 東京 日本武道館で(7/22付読NHK)
■ 安倍元首相国葬に反対53% 内閣支持12ポイント急落51%(8/1付共同通信)
安倍晋三元総理の国葬が、9/27に日本武道館で行われることになりました。今回、国葬を執り行うことについては、野党のみならず、与党の一部からも異論が出ています。
その理由の1つとして、法的根拠がないことが挙げられています。過去を遡ると、1926年に「国葬法」が制定されました。それまでは、都度勅令によって行っていたものを、法的に位置付けたのです。ところが、日本国憲法は、第20条で国の宗教活動を禁止したため、1947年12月31日に国葬法も失効しました。
しかし、そんな中で国葬で送られた人物が1人だけいます。吉田茂元総理です。当時の佐藤栄作総理が、「最も苦難に満ちた時代にあって、7年有余の長きにわたり国政を担当され、強い祖国愛に根ざす民族への献身と、優れた識見をもって廃墟と飢餓の中にあった我が国を奇跡の復興へと導かれた」との談話を発表し、1967年10月31日に国葬が行われました。
会場となった日本武道館には、皇太子・皇太子両殿下(現在の上皇・上皇后両陛下)の他、国内外から招かれた5000人が参列し、九段下には約8500人の群衆が詰めかけたそうです。また、吉田氏の大磯の邸宅から武道館までの道のりには、約7万人の人だかりが出来たという逸話も残っています。
一方、国葬に反対もしくは無関心という人も、決して少なくはなかったようです。1967年10月31日付けの朝日新聞夕刊には、こんな記述があります。
「国葬当日の渋谷駅前のハチ公前広場では、共産党や民主団体の宣伝カーが反対演説をしてビラをまいていた。革新系首長の自治体では、平常どおり業務が行われていた。東大駒場キャンパスには、『するな黙祷、許すな国葬』と書かれた立て看板があった。国葬に関心を示さない人も多かった。浅草六区では黙祷の合図のサイレンがなっても誰も足を止めない。東京駅でも、スピーカーで黙祷の合図が知らされたが、足を止めて目を閉じたのはごくわずかであった。銀座の女子高校生は黙祷している人をみて『あれ、なにやってるの』と言う始末だったという」
こうした反応によって、その後国葬を行うハードルが高くなったようです。吉田氏以降の元総理の葬儀は、「国民葬」もしくは「合同葬」として行われています。直近では、2019年に中曽根康弘氏が亡くなられた際には、内閣と自民党との合同葬でした。
岸田文雄総理は、法的根拠については「内閣設置法」を引き合いに出して反論しています。内閣府の所掌事務として定められている「国の儀式」として国葬を行うことを閣議決定をすれば実施可能とのこと。そのため、国葬ではなく「国儀葬」という言葉を使っています。
岸田総理は、安倍氏を「国儀葬」で送ることについて3つの理由を挙げました。まず、憲政史上で最長期間首相を務めたこと、次に、様々な分野で重要な実績をあげたこと、そして最後に、国内外から哀悼の意が寄せられていることです。
この3点に異論を唱える人は余りいないと思うのですが、岸田総理が国葬の意義として「安倍元総理を追悼するとともに、我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く」と語ったことで、論争を呼び起こしてしまったようです。野党を中心とした国葬反対派は、民主主義を守るというのは建前で、森友・加計学園・桜を観る会など多数残されている安倍氏の疑惑を覆い隠し、安倍政権の評価を固め、自民党政権を守ろうとしているのではないか、と主張しています。
こうした異論はあるものの、国葬を行うことは正式に決定されました。この判断が正しかったのか、そうでなかったのかは、当日の国民のリアクションで明らかになることでしょう。
一方、ここに来て内閣支持率が急落したことが気になります。共同通信が7/30-31に行った世論調査では、岸田内閣の支持率は51.0%となり、参院選直後の7/11-12に行われた前回の調査からは12.2ポイントもの下落です。昨年10月の内閣発足以来、最低に落ち込みました。
同調査では、安倍元総理の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が合計で53.3%を占めています。また、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政界の関わりについて実態解明の「必要がある」と回答した人は、80.6%にも上りました。安倍元総理の死去から生じたこれらの問題が、今後も岸田内閣に影響を与え続けるのかどうか。今後も、注意深くフォローして行きます。
さて、前置きが長くなりました。本題の参議院議員選挙の結果分析に移ります。早くにお伝えせねば、と思いつつ、参院選の余波で仕事が立て込んだ上、出張なども重なり、すっかり遅くなってしまいました。大変申し訳ありません。これから挽回したいと思います。
今回の選挙は、印象深いポイントが7点ありました。まず、1点目として、本日は1人区の結果分析をテーマに論じたいと思います。
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
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参議院議員選挙:結果分析(1)1人区の結果から 前編
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One comment on “参議院議員選挙:結果分析(1)1人区の結果から 前編”
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野党共闘が出来ないのは連合の芳野さんの影響が強いと思います。理念を曲げないから、選挙で負ける。
野党もみんなそうですが、自分の理念のために、選挙を捨てますよね。これでは、選挙のために理念を捨て切る自民党には勝てないと思っています。
どうしたら野党は回復できるのか、連合の芳野さんはなんなのか、についてお考えを伺いたいです。