2005/10/27 00:00 | 言いたい放題 | コメント(0)
株と挨拶
TBSに言わせると黙って株を買われたのが不愉快だそうだ。またTBS側の委員のひとりである長老が「挨拶なしに株を買ったのは怪しからん」と息まいている。
その昔証券会社に勤めていたが、挨拶して株を買うなどとは教えられたこともないし、だいいち挨拶するにしても誰にすればいいのだろうか。
株は公開されているのだから誰でも自由に売買出来る。不特定多数の人たちが参加するからこそ売買も円滑になるのだが、この不特定多数の人たちまで経営者挨拶しなければならないのだろうか。何とも不思議な話しなのだがTVのワイドショーなどは焦点をこの挨拶のあるなしに当てて騒ぐことが、世の中をミスリードしていることに気付いていないのだろうか。TBSに関しては言えばいまや個人で圧倒的な株主は楽天である。多分社長をはじめ経営陣の持株とは較べようもないほど少ないはずである。リスクをとってる大株主がノーリスクの小株主に挨拶をするなどとは大体おかしな話だし、筋が通っているとも思えない。
それよりもっと大切なことは、この五年間でTBSの企業価値は減少し続けていたことである。老後の豊な生活を夢みてTBSの株主になった人たち、またOBたちは五割も減価したのだから、挨拶云々なんかより株価を上げてくれる人の方が余程有難いはずである。少なくとも私がTBSのOBで社員持株会などによって株を持っていればそう思うだろう。
情緒的な日本的思考ではいつもそうだが仕掛ける方が悪、守る方が善という見方が支配的になるし、今回のメディアの報道ぶりもそのきらいが強い。
企業価値の増大こそが経営者の株主に対する最大の責任のはずであり、自分が出来なかったことをやってくれる人がいるのであれば、速やかにその座を譲るのが経営者の責任のとり方のはず。つまり価値の創造こそが経営の根幹なのだが、今回の騒ぎもこの最も大切なポイントを外している。
価値の創造ではなくむしろ破壊したのがいまの経営陣のはずなのだが、そのことを忘れて挨拶がないのは怪しからんなどと、まあよく言えるものである。
人口も年金も減るなかで、増やすことが出来るのは企業の価値しかない。そんな国に日本が変わっていることを忘れ、義理だの人情だのと言っているからこんな目に遭ったのだとまず反省するのが先だろう。
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