2005/05/11 00:00 | 言いたい放題 | コメント(0)
喜劇と悲劇は同根ではないのか
この喜劇と悲劇は一見全く関係がないように見えるが、ことの顛末を詳細に見てみると、この二つの出来事は根っ子の部分で密接につながっていて「現代の日本の資本主義のあり方の是非を問う重大な問題」をはらんでいることが判る。
かつて世界の奇跡と呼ばれ高度成長を続けていたころの日本では、東西冷戦の恩恵をもろに享受し、人口も雇用も給料も増加を続け、企業の売上げ、利益も着実に上昇し、人心も安定していた「ゆとり」のある時代だった。しかし世界はその後一変し、共産主義の終わりとともに「大競争」の時代となり、利益至上主義、金儲け第一の資本主義がむき出しの時代と変わってきた。
「稼ぐが勝ち」といみじくもホリエ氏が豪語しているような「カネ」が全ての拝金社会に変わってしまったのである。そのため経営者たちは社員の首切りを中心としたリストラや「安全より利益」の経費削減に走り、社員にとっても去るも地獄、残るも地獄という雇用が当り前になってしまった。「ヒトよりカネ」の資本主義の横行である。
その拝金思想が市場では株の3万分割と言う荒っぽい錬金術を可能にして怪物ホリエ社長を成金にし、JR西日本ではベテラン運転士の代わりにストレスだらけの新人運転士が過密ダイヤの運行を強いられることになった。
JR西日本では5年間で人員は6300人も減少する一方で、売上げは380億円増加している。リストラの横行は残った社員にも相当なプレッシャーがかかっていたはずである。ベテラン運転士による神技的な運転で可能な技術を要する過密ダイヤを、最新型のATSもなしに、何故新人に委ねたのか、それは利益至上主義に他なるまい。安上がりのコストのためである。
そして痛ましい悲劇が起きた。
この二つの悲喜劇の原因は
「むき出しの資本主義」のもたらした産物であり、グローバル スタンダードなる妖しげな言葉を無邪気に信じた経営の責任であろう。
ライブドアやJR西日本から学ぶべき反面教師があるとすればトヨタだろう。国際的な大競争(メガコンペディション)への対応のあり方はトヨタに学ぶことが出来る。人員を徒らに削ることなく順調に売上げ、利益を伸ばしているトヨタと、対応を過っていまや瀕死の状態になっているGMとフォードとの違いをしっかり学ぶことこそが肝心であり、「稼ぐ」だけでは勝ちにつながらないことを肝に銘ずるべきだ。
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