2011/10/28 05:54 | 昨日の出来事から | コメント(1)
2つの「あとの祭り」
昨日は、EU首脳会議の結果を固唾を呑んで見守り、「合意に至らなければ、あれとこれを売らなければならないし、無事合意することができれば逆に買わなければ!」と、スクリーンに張り付いていた方も多かったのではないかと思います。
そんな中、ここオーストラリアでは、とんでもないことが起こってしまいました。 なんとオーストラリアの株式市場ASXが、取引開始直後にシステムダウンを起こし、EU首脳会議による最終合意が発表されてもまだ回復せず、現地時間の午後2時にようやく市場を再開しましたが、「時、既に遅し」で市場は一気に2%以上も上昇して「あとの祭り」状態でした。「よりによって、こんな重要な日にシステムダウンはないだろう!!」と市場関係は憤懣やる方ない様子で、ニュースのインタビューを受けてもみんな目がつり上がり、本気で怒っている様子が映し出されていました。
と同時に、私としては、昨日のEU首脳会合の結果を受けて、マーケットは別の意味で『あとの祭り』状態に入ったと考えています。 といいますのも、2010年初のギリシャ危機に始まり、2011年5月のユーロ危機で事態は深刻化し、その後は、ポルトガル、スペイン、イタリアにまで信用不安は拡大し、ついには「フランスの長期信用格付けまで引き下げられるか?」あるいは「EUシステムそのものの崩壊か?」と末期的状況になる一歩手前で、ようやく各国首脳は今回の合意に辿りつき、目先的には大きな山場を越えることができたからです。
相場はこれから年末にかけて、まず、今まで積み上がったポジションの巻き戻し(Unwind)が入りそうですが、 今回の一連のユーロ信用不安がテーマになっていた時間帯が相当長かったので、買い戻しの時間帯もある程度長期間にわたりそうです(戻り相場が当面続くか)。 その後、ようやく市場は次の新しいテーマを探す時間帯となることが予想されます。
振り返ってみれば、今年は、東日本大震災という1000年に一度の大自然災害に遭い、私たち日本人は自然災害に対しては「天を恨まず」という英知でもってこれを何とか乗り越えようとしていますが、 その一方で「福島第一原発」と、今回のヨーロッパ人が引き起こした「ユーロ危機」は、人間の愚かさを象徴する出来事(人災)以外何物でもありません。 しかも、性質(たち)の悪いことに、これらの人災は、目先的な対応(応急処置)は何とかできましたが、本当の意味での終息の目途が未だ立っていません。
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One comment on “2つの「あとの祭り」”
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終息のめど・・
人類最後の日まで・・来ないのでは・・?
さりながら・・
人間の欲望が・・
お猿さんから・・今日の我らに・・
そして・・明日の我らに・・・