2017/12/27 04:38 | 昨日の出来事から | コメント(0)
ビッド コインは投機資産なれど、、、
先々週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
金融市場は、金儲けをする機会を殆ど見逃すことはない。 これは、何はともあれ仮想通貨に関しても当てはまる。先々週、CBOE(Chicago Board Option Exchange)は、ビッド コインの先物の取り扱いを始めた。また、CME グループは12月18日にビッド コイン先物を上場した。これらのことが更に仮想通貨の価格を押し上げ、今年に入ってビッド コインは1550%も上昇した。こうした現象は、投機資金がどっと押し寄せた現象(バブル)と表現される。 しかし、ビッド コインに投資する事に対するファンダメンタルズ的な問題があるのであろうか?
この金融資産には、適正な価格を示す指標がない。株であれば、会社の資産や収益を見ることが出来る。債券であれば、債券発行者の信用や、償還までのキャッシュ フローを見ることが出来る。しかし、ビッド コインにはキャッシュ フローは発生しないし、それを発行する人もいない。リターンは、ただ、価格が上がるかどうかだけである。 その資産に価値を測る方法がない時、その資産の目標水準がどこにあるかを判断するのは困難である。 つまり、ビッド コインの価値は10ドルでも100,000ドルでもあり得る。
その代わりに、投資家は、ある種の熱狂的な仮説に頼らざるを得ない。 例えば、全ての投資家が、ポート フォリオに1%の仮想通貨を投資すればどうなるか、と言った具合である。 ビッド コインでワイワイ言っている人によってなされている議論の一つに、ビッド コインは仮想の金であるというものがある。つまり、ビット コインを「何らかの価値の蓄え」とする考えが、ビッド コインの価値を下支えするというのである。 しかし、ビッド コインはそうした考えとは裏腹に、その値動きが極端に激しすぎる。 ビッド コインは、全部で2100万枚までしか発行されないことになっている。この点が各国の権力者によって発行された通貨と違う点である。中央銀行は自分たちに意志でいくらでも自国通貨を発行することが出来る。しかし、価値を維持する為には発行上限を作る必要もなければ、また、それで十分という訳でもない。更に言えば、現在、仮想通貨の供給が限られているわけでもない。現にビッド コイン以外の仮想通貨が数多く発行されて存在している。
もし、ビッド コインが、日常の通貨の代わりに資金決済を取って替わるとどうなるであろうか?もちろん、近い将来のことではない。 しかし、例えば1時間で20%も乱高下するビッド コインで両替する人が果たしているであろうか? 更には、通貨であれば、資産と同様に債務(借金)の額面として使われることになるが、想像してみて欲しい。 ビッド コインで住宅ローンや、ビジネス ローンを組めばどうなるか(借金の額面が1時間で20%も乱高下することになる)。
もし、ドルやユーロがハイパー インフレーションに見舞われた時には、ビッド コインの保有者は勝利者となるだろう。 しかし、今の処、そうした兆しはない。 もう一つの有り得るシナリオとしては、ビッド コインの価値を裏付けている いわゆるブロック チェーンと言われているテクノロジーが、とても有用なものとして認知され、それが世界に広く行き渡ることが考えられる。 もし、そうなれば、ビッド コインは他のサービスとも結び付き、人々は、何らかの仮想通貨を多少なりとも必要とするであろう。しかし、そもそもビッド コインの狙いは、これまでの通貨からの解放であり、監視当局から逃れてドラッグなどの不法な商品を扱いたい人の為であった。今の処、ビッド コインの匿名性や不透明性が、大手銀行や監督機関に大きな影響を与えていない。
もし、ビッド コインが熱狂(バブル)であるからと言って、これを禁止するよう要求する事はやり過ぎである。一方で、規制当局が自分たちで勝手に仮想通貨を発行して金儲けをしようとする仮想通貨の「initial coin offering」を監視する事は正しい。また、これを購入する個人に、 市場が下落した時、本源的価値がなく、極めて乏しい情報の中、非常の出来高の薄い市場でこうした通貨を売り買いすることの危険性を知らしめることも正しい。 しかし、一連の仮想通貨が、どれほどのシステマチックなリスク(金融市場全体に与えるリスク)があるかを知るのは非常に困難である。現在のビッド コインの総価値は、アップル株の総価値の半分まで大きくなっている。しかし実際の経済的ダメージは、ビッド コインの価値が下がって、 それを元手の資金を借りている人、具体的には、それを担保に銀行からどれだけ借りているかに直結している。 これまでの処、こうした要素は、まだ存在していない。
仮想通貨を信じている人は、次のことを考えている。つまりビッド コインを 買う事はオプションを買うようなものであると。 一方で、通常の人は、現状を注意深く見る事が賢明である。今、投資家は、ビッド コインに相当思い入れを積み上げている。しかし、その真価は、彼らが、突然、仮想通貨市場からゲット アウトする必要(仮想通貨を売却する必要)になった時に試される。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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