昨日、ＡＢＳ（オーストラリア統計局）が発表した２０１７年３月の失業率は前月と変わらずの５．９％でしたが、新規雇用者数が前月比６０，９００人増加しました。事前の市場関係者の予想は＋２０，０００人で失業率は５．８％でしたので、新規雇用者数に関しては予想を大きく上回りました。内訳としては、正規雇用者数が７４，３３０人増加し、非正規雇用者数が１３，６００人減少しています。

地域別では、クイーンズランド州では失業率が０．３％下がった一方で（失業率は６．３％）、西オーストラリア州や南オーストラリア州では失業率が０．４％上昇し、特に南オーストラリアの失業率は７％と高くなっています（南オーストラリア州は、自動車メーカーが多くありましたが、２０１７年までにその多くのメーカーが豪での生産を終了した為、失業者が多くなっています）。　最も失業率が低いのはシドニーのあるＮＳＷで５．１％となっています。

Capital Economics のオーストラリア経済担当チーフ Paul Dales氏は
（１） ３月の新規雇用者数が６０，９００人と言う数字は目を見張るものがあるが、失業率が５．９％と６％近くで推移していることに注意を払う必要がある。ＲＢＡはこの点について懸念を持つのではないか。

（２） その一方で、２０１５年１０月以降、ＡＢＳが雇用統計の集計方法を変更して以来、新規雇用者数のブレが大きく、その集計方法に市場からの信頼性を失っている。　最近は、改善されてきているようであるが、それでも市場関係者との集計予想と乖離が激しい。

（３） 今回の数字で、豪の労働者数は１２百万人を初めて越えてことになる。また、現在の自由党が政権を取って以来５９．３万人の雇用を増やした。この間、豪経済は、鉱山間産業依存型の経済から他の産業（住宅や観光や教育などのサービス産業）へのシフトが起きた。

（４） 労働者数が増加した一方で、総労働時間（労働者数×労働時間）は僅かに０．２％しか増加しておらず、一人当たりの労働時間は大きく減少している。　

とコメントしています。