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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2011/10/18 05:22  | 昨日の出来事から |  コメント(2)

国を捨てるギリシャ人が殺到?!


おはようございます。

以前に、このコーナーで、ギリシャから移民してきた高校の先生のお話をしましたが、今月に入ってオーストラリア政府がアテネのオーストラリア大使館でオーストラリア向け移民の説明会を計画したところ、当初予定の800人を大きく越えて15,000人を越す参加希望があったとのことです。

オーストラリアでは、1970年代までの白豪主義主義の頃から、ギリシャ人、イタリア人、南米の白人の多くがオーストラリアに移民してきており、各主要都市にはそのコミュニティがしっかり根付いています。 ここブリスベンにも町の中心地から川をひとつ越えた高級住宅街にちょっとした南欧の雰囲気が漂う一角があり、そこにはギリシャ国旗が翻り、ギリシャ文字で書かれたレストランが数軒並んでいます。

読者の皆様もご存じのように、今、ギリシャは財政破綻の危機に直面し、ギリシャ国民としては、これ以上ギリシャにいても税金は高くなるし、これまでのような「脱税が文化」などと悠長なことも言っていられなくなり、更には自分たちの子供達に対し、よい教育機会といい就職の機会を期待することもできず、ギリシャの金持ち層や高技術者(医師や技師)を中心に、一斉に資産逃避を始め、自らもギリシャを出国する動きが表面化しています(今回のオーストラリア移民説明会に人々が殺到するのもその表れのひとつ)。

このようなある種の断末魔的な様子を見聞きすると、私は1990年代の日本の多くの金融機関が破たんしていった頃を思い出します。 確かにあれらの金融機関は色々と問題を抱えていたには違いはありませんでしたが、かといって「本当にそれらが全て破綻しなければいけなかったか?!」といえば、必ずしもそうではなかったのではないかという気持ちを今でも強く持っています。

ですが、流れというのは怖いもので、ひとたび、こうした破綻への流れができてしまうと、もうどうすることもできず、当事者は慌てて何とかしようと悪あがきをしますが、このことが却って破綻への道を加速させ、本来のかかるコスト以上の何倍ものコストがかかって社会の仕組みを大きく毀損させてしまうのが古今東西を問わず、常のようです。

先日も、ギリシャ大統領が、
“We are proud of Greece, We are not POOR! We are mismanaged !!”
(我々は、ギリシャを誇りに思う。 我々は貧しいのではない! 我々は、(財政再建)処置を(EUやIMFによって)間違えさせられた!!)

とテレビで、恨めしげに、そして声高に映し出されている姿がありましたが、その姿は、1990年代に破綻していった金融機関の頭取(社長)が決まったように口々に「我々の銀行(証券会社)の経営に問題はありません!」と、これまた恨めしげに、そして絶叫していた姿に、不思議なくらい重なるのでした(勿論、ギリシャ人と日本人の違いはありますが)。

さて、この流れ、ギリシャで止まることやら、、、、

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2 comments on “国を捨てるギリシャ人が殺到?!
  1. ベルドン より
    ギリシャの光陰

    アテネオリンピック・・
    費やされた巨額の費用・・
    今日を招いた源と・・指摘され始めている・・
    大成功に終わった・・アテネオリンピックの栄光が・・傾国を招いたとすれば・・我々は・・生きた歴史を見ている事になる・・・

  2. 匿名希望 より
    解決策はドル基軸通貨に戻すコト

    解決策は、世界中の通貨をドルonlyにするコト

    それだけで、問題は全て解決するのに、、、

    何で皆、唯一のNO1になりたがるんでしょう?

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