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2016/05/24 05:19  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

イギリスの国民投票まであと1か月


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストの掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

Bank of America Merrill Lynchが、エコノミストとファンド マネージャーに対して最近行ったアンケートによれば、イギリスのユーロからの離脱は、(将来的に予想される)中国の通貨切り下げ以前における最も大きなマーケット リスクであるが、71%の市場関係者は「イギリスはユーロから離脱しない」と考えている。 一方で、世論調査では、その比率は、もっと拮抗しているが、ギャンブルマーケットにおける最近のイギリスの離脱の確率は25%まで下落している(以前はもっと高かった)。

もし、イギリスが国民投票でUEからの離脱に賛成すれば、大手格付け会社フィッチは、「イギリスがその影響を最小限に食い止める為には、EUと自由貿易協定を直ちに締結する必要がある」と提言している。しかし、それは、同時に、EUとの労働者の自由な往来を認めることになり、更にはEUの予算や支援にも加担することになってしまい、それではEUから離脱することを決定したにもかかわらず、実質的にはEUから離脱しないと同じ事になってしまう。 また、離脱を賛成した事をきっかけに前回否決されたスコットランドの独立問題が再燃するなど、イギリスにとって様々な問題が表面化する可能性がある。

投資家にとっては、イギリスがユーロから離脱するかどうかは悩ましい判断であるが、いずれにせよ、結果が出た時にはマーケットが大きく動く可能性があるので、為替のトレーダーにとって、こうした時にはオプションでボラティリティを買う方法がある(既に、ポンドはドルに対してかなり売られており、否決されれば大きく買い戻される可能性がある。その一方で、賛成となれば更にポンドがドルやユーロに対して売られる可能性がある。

次に、株のファンド マネージャーにとっては、これまでの処、殆ど目立った動きが出ていない。 しかし、世界的な資金運用会社ブラック ロックによれば、FTSE100における個別企業の収益の78%はイギリス国外(主にユーロ)から稼ぎ出しており、ユーロ離脱が彼らの企業収益に大きな打撃を与えるが、その一方で、ユーロ離脱によって ポンドが大きく下落することによって輸出が増大して企業収益の悪化を相殺する可能性がある。

しかしFTSE250における企業では、その60%がイギリス国内から収益を上げており、ユーロからの離脱の影響がより大きく出る可能性がある(従って、今年の3月以降はFTSE100とFTSE250のインデックスのスプレッドは拡大傾向)。

では、実際にユーロからの離脱が決まれば、どれくらいポンドが売られるかと言えば、イタリアのUnicredit Bankの試算によれは、10~15%程度ポンドが対ドルに対して売られ、ユーロも長期的には不安定感が増す為、これに引きずられる形で売られると予想している。

また、アメリカのFRBの地方の総裁たちも、今回のイギリスの国民投票の結果は、金融市場の安定に対して潜在的にインパクトを与えるため、彼らの政策決定に影響を与えると述べている。

いずれにせよ、世界の多くの人が6月23日の夜は眠れない夜となりそうです。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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