2016/02/24 05:58 | 昨日の出来事から | コメント(0)
マイナス金利で金買い?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
今年に入って金は、そろりそろりと上昇し始め、2月には高値1,200ドルを付けて8か月振りの高値を更新しました。 背景には、アメリカを始め、インド更には中国で買い需要が伸びています。
一部の市場関係者は、「これは季節的な要因が多く、女性が金を装飾品として身に着ける習慣のあるインドは、今、世界で最も経済成長率が高い為に個人所得の増加に伴って金を買っている。 また、中国では、金は福を呼ぶ貴重品としてもてはやされ、2月の旧正月を前に買い需要が伸びた」と説明しています。
その一方で、スイスの金の業者「今回の金の上昇は、ECBをはじめとする幾つかの中央銀行がマイナス金利を導入した事で、マイナス金利でコストを徴収される預金よりは、ゼロ金利の金の方により価値が出てきた為に金に買いが入った」と述べています。
確かに金は、2015年までは中国の景気の減速と、世界的な鉱山価格の下落に合わせる形で下落してきましたが、ここにきて、他の鉱山価格とは違った動きを呈し始めています。また、金の供給サイドでも、これまでの金の価格の下落によって金採掘業者が生産設備を閉鎖した為に、2015年第4四半期の金の産出量は2008年以来初めて3%も下落しています。
そこへ、インドが2015年後半に大量に金の装飾品を買いこみ、更に中国では、不動産や株式市場が不安定なことから金貨や金の延べ棒に投機資金が流れ込んでいます。加えて、今年に入ってからは、金関連ファンドからの投資資金も流れ込んでいています。
では、「今後も金は上昇し続けるか?」と言えばゴールドマンのアナリストは懐疑的で、「金は2016年を通じて下落するであろう。その大きな理由としては、アメリカの政策金利が上昇するからである(金への投資妙味は薄れる)」と述べています。
確かに、イエレン議長は2月10日に議会でアメリカ経済の失速の可能性を指摘しつつも、金利引き上げのドアは開いていると述べましたが、株式市場や為替市場では彼女のコメント(更なる政策金利の引き上げの可能性)に対して懐疑的で、これを寧ろ否定的に捉え、その一方で金は上昇しています。
最後に英誌エコノミストは「結局のところ、金融市場が不安的になればなるほど、金価格は上昇する気配を見せている」と述べています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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