2012/03/28 06:04 | 昨日の出来事から | コメント(1)
世界的な低金利は底打ちしても怖くない?!
今週号の英誌エコノミストに「先進国の債券金利が底打ちしても恐れる必要はない」と題した記事がありましたので、ご紹介したいと思います。
読者の方もご存じのように、先進国の債券利回りは底打ち感を見せています。 その一方で、世界的に株価は上昇傾向にあります。 例えば、2011年11月には、アメリカの10年国債の利回りは1.67%まで低下しましたが、現在は2.38%まで上昇しています。 そしてアメリカ株はリーマンショック以降の高値を更新してきています。
背景としては、これまでギリシャ危機に端を発したユーロ信用不安に対処するために、中央銀行が量的緩和を強力に推進して国債を大量に買い、一方で投資家はより安全な通貨や国債にシフトしていましたが、 ここにきてユーロ信用不安は和らぎ、代わりに目先的には景気の回復が期待されて株等のリスクの高い投資対象に資金がシフトしています。
これは偶然ながら、1900年代以降の債券金利のサイクルは、1800年代から32年間金利が上昇し(ピークは1920年)、その後29年間金利が低下し(1920〜1949年まで)、その後は再び1982まで金利は33年間上昇し、2011年までちょうど29年間金利が低下しています。 このパターンに従えば、世界的な金利は2011年でボトムを打ち、今後、32年間の上昇局面に入ります。
このように申し上げますと、読者の皆様の中には、「すわっ、債券は全て売りだ! そして、株だ!土地だ!!」と鼻息を荒くされる方もいらっしゃるかもしれませんが、 英誌エコノミスト誌は、「さにあらず」で次のようにコメントしています。
たとえ世界的な低金利局面が終わったとしても、
(1)中央銀行は、大量の企業の倒産なくして市場金利を通常の3〜4%まで政策金利を引き上げる事が出来るであろうか?
(2)あるいは、中央銀行は、金融危機をなくして彼らが市場から買っている保有国債残高を減らす事が出来るであろうか?
(3)更には市場の流通利回りの急上昇なくして彼らがこれまでの金融緩和政策をやめる事が出来るであろうか?
このように考えてみますと、先進国の金利がたとえ底打ちしたとしても、中央銀行は、そう簡単に現在の量的緩和政策をやめるわけにはいかない事は容易に想像できます。 また、歴史的にも、1940年代に金利が底打ちした時、本格的に金利が上昇し始めるまでに8年の年月を要しています。
(つまり、たとえ2011年に世界的に金利が底打ちしても2019年頃までは債券を保有していても大丈夫と言う事?! それって「ほんまかいな?!」)
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “世界的な低金利は底打ちしても怖くない?!”
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歴史家は後ろ向きに物を見る・・
遂には・・
後ろ向きに信じるようになる・・ニーチェ・・・