2014/06/27 13:47 | 昨日の出来事から | コメント(1)
オーストラリア議会の野次について
最近、日本では東京都議会で女性議員に対して発したヤジが問題になり、今、野次の在り方について様々な議論がおきているとのことですが、これについて私の住むオーストラリア議会の野次についてお話したいと思います。
野次は、何も日本だけのものではありませんし、野次の酷さは、私の住むオーストラリアも似たりよったりの処がありまして、 オーストラリアの国会にあたる連邦議会、あるいはクイーンズランド州の州議会でも野次の応酬が盛んです
ですが、このヤジを飛ばせる人には一定のルールがあって、フロント ベンチャー(front bencher: 討論の席から前の方に座っている人)が主に中心に飛ばすことが出来、 バック ベンチャー(back bencher: 討論の席から後方に座っている人)は、殆どヤジを飛ばすことはありません。
このフロント ベンチャーでヤジを飛ばせる人は、その時の党首の側近(取り巻き議員)たちが中心で、仲間議員が演説している時には声援を送り、自分たちと反対の立場の議員が演説している時には、大きな声でヤジを飛ばしては自分たちの主張(あるいは法案)がスムーズに進むように努める重要な役割を担っています。
従って、議論が白熱してきた時には、彼らは相手を中傷するような酷い言葉も発します。 例えば「お前が野党の時に言っていた事と違うじゃないか!」とか、「嘘つき!(Liar)」と言った言葉が発せられますし、 それが激高してお互いに怒鳴りあいになって収拾がつかなくなると、今度は議長(speaker)が「ORDER! OEDER!! (静粛に! 静粛に!!)と声を上げて割って入ることもしばしばあります。
そして、時には今回の東京都議会のヤジに近い酷いものもあります。 例えば、オーストラリア初の女性首相になったジュリア ギラード氏が国会答弁している最中に、彼女の体型を野次ったもの(彼女の腰回り、特にお尻が大きかった為に、その体型を野次った)、あるいは、彼女がインド訪問の際に、ハイヒールを履いて芝生の上を歩いていた時に、芝生に足を取られて転倒した事を議会で取り上げて野次った)等など、あまり感心しないものも結構あります。
極めつけは、これは野次ではありませんが、連邦議会で子供をもつ働く女性に関する法案の審議がなされている時、野党女性議員が、子供のいないジュリア ギラード首相に対して「あなたに子供を持って働く女性の気持ちが分かるのか?」と質問をしているのを見た時、私は、「えっ?!そんな嫌がらせ質問を国会でしていいの?日本でそんな質問をすれば絶対レッド カードものだ!」と思いましたが、これに対してジュリア ギラード首相は「残念ながら、私には子供はいないが、子供を持つ母親である前に一女性としてお答えします」と毅然を質問に答えていた姿に、野次やセクハラ質問にも負けない彼女の政治に対する信念の強さを見た思いをしました。
尚、本日は、これから日本に向けて移動します。 この間、いただいたコメントやご質問に、すぐにご対応出来ません事をご了承願います。 前橋 拝
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One comment on “オーストラリア議会の野次について”
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野次にもあきれますが、そのくらいで泣くような人が議員だというのもあきれます。
議会のレベルが低いのは、やっぱり我々都民のレベルの問題なんでしょうね・・・ほんと、がっかりです。
日本にいらっしゃるんですね。よいご旅行を。