2013/10/04 14:50 | 昨日の出来事から | コメント(1)
遂に政府機能不全に陥ったアメリカ
読者の皆様もご存じのように、9月30日までに下院と上院の間で予算を巡る合意が得られなかった為、多くのアメリカの政府機関の職員(約80万人)が、無給自宅待機の事態に陥っています。
今週号の英誌エコノミストにこれに関する記事かありましたのでご紹介したいと思います。
まず、アメリカの予算には、大きく2つあり、一つは大統領に一任された予算(discretionary budget)と議会の承認を得なければならい予算(mandatory budget) があります。 前者の一任された予算とは司法に関する予算と防衛に関する予算です。 それ以外の予算は後者に属し、議会の承認を得なければ執行出来ないことになっています。
今回は、この後者に関する予算を巡って大統領(民主党が過半数を占める上院)と下院(過半数を占める共和党、とりわけティー パーティ)との間で、所謂、健康保険加入制度(Obama care:オバマ ケア)を巡って折り合いがつかず、今回の事態となっています。
共和党(主に ティーパーティ)の言い分は、オバマ ケアの執行の延期を決定しなければ、今後、あらゆる予算の承認には応じないとしています。 しかし、オバマ大統領にすれば、前回の大統領選挙でオバマ ケアを巡って激しく共和党候補と戦い、それに勝って大統領に再任したのですから(国民の承認を得たのですから)、共和党の主張するオバマ ケアの延期を受け入れるわけにはいきません。
読者の皆様は、「じゃあ、オバマ ケアが信任されたのだから問題ないではないか?」を思われると思いますが、話はそう簡単なものではなく、最近の世論調査では、オバマ ケアを支持する人の割合は36%に留まり、一方で、これに反対する人の割合は49%と高齢者の共和党支持者を中心に反対しており、このことが、共和党(とりわけティー パーティを勢いづかせているのです。
しかし、今回、共和党がこうした強硬策に打って出たことに対し、英誌エコノミストは次の2つの大きなリスクがあると指摘しています。
まず、一つ目は、議会の共和党員の中には、オバマ ケアに対して一定の理解を示している州知事もおり、今回の強硬策に打って出たことによって、共和党内に大きな亀裂を生じさせたことです。 2つめのリスクは、最近のCollege Republican National Committeeの調査によれば、若い有権者を中心に、オバマ ケアに反対するグループを「心を閉ざした頑固者」と見ており、彼ら(若い有権者たち)はオバマ大統領の「問題を解決しようとする姿勢」に一定の理解を示しており、今回の強硬策は、彼らから支持を受けることが出来ないのです。
最後に、英誌エコノミストは「今のアメリカという国は、81セントの収入を得る為に1ドルを支出する国であり、(こうした構造的な国の体質を根本的に変えることはできないので)、両院(共和党も民主党)とも16.7兆ドルもある債務をより確実に調達する為にも、10月中旬のデフォルトだけは避けるであろう」とデフォルトに関しては楽観的に見ているようです(米ドルやNY株の売られた処は買いか?!)。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “遂に政府機能不全に陥ったアメリカ”
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大稼ぎ出来る・・
手ぐすね引いて・・待つ・・
現代バンディット・・多いのでは・・?(笑)
前橋さんも・・
腕まくり・・丹の腕の髑髏マークの刺青・・見せるのでは・??(笑)