2013/05/29 15:21 | 昨日の出来事から | コメント(2)
世界で最も暮らしやすい国、オーストラリア
昨日、OECDが発表したOrganisation for Economic Cooperation and Development’s Better Life Index,(仕事、所得、環境、医療を勘案したインデックス)によれば、3年連続でオーストラリアが加盟国の中で最も住みやすい国となりました。
2位にはスエーデンが続き、その後は、カナダ、ノルゥエー、スイスとなります。6位以下では、アメリカ、デンマーク、オランダ、アイスランドが続き、10位にイギリスとなっています。 残念ながら日本はベスト10に入ることはできませんでした。
こんなことを申し上げると、読者の皆様は、「オーストラリアはそんなに豊かで暮らしやすいのか?」と思われるかもしれません。 確かに失業率は、他の先進国に比べて5.5%と低く(除く日本)、住む環境は温暖で衛生面でも問題ありません。
しかし、「では、そんなにオーストラリアの人々が裕福に暮らしているのか?」と言えば、実はそうでもないのです。オーストラリアの1家族当たりの年間実質所得(税金や社会保障費控除後の所得)は、USD33,402ドルと OECD加盟国全体の同平均USD40516ドルに比べて低いのです。
これは、オーストラリア独特の要因があり、数字的には全世帯の上位20%の同所得は58,409ドルもあって、他のOECD加盟国の同じカテゴリーの所得に比べて所得水準が高いのですが、その一方で、ボトム20%の同所得は10,323ドルと低い水準に留まっています。
これの意味するところは、一つ目には、オーストラリアでは貧富の差が比較的大きく、世代間の所得格差は子や孫の代になっても社会の仕組みや税制上からもなかなか変わりづらい仕組みが背景にあります。
そして、2つ目には、オーストラリア人と一言で言っても、白人系の人もいれば(この人たちの所得は比較的高い)、原住民であるアボリジニの人(低所得者が多い)、更には世界中からの移住してきた人々が暮らしているのです。
実は、この国の人々の豊かさは、私達日本人以上にバラつきと偏りがあることを現地に暮らしていて感じます。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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2 comments on “世界で最も暮らしやすい国、オーストラリア”
maehashi にコメントする コメントをキャンセル
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ご了承のうえ、ご利用ください。
そのバラツキと偏りの影響は、インデックスで考慮している項目以外にあらわれているのでしょうか?
例えば、インフラ・安全がインデックス項目に入れば、日本ももしやTop10入り?とか。
イメージとしては、土地が豊かでUSD33,402ドル稼ぐにあたり労力が他国に比してハードルが低いとか?
例えば、日本では都市で遠距離から通勤して*****ドル稼ぐ。
寒冷地でも品種改良などの努力をしてやっと農業が営めるなど…。
世界で(豊かか否かは解釈其々として)暮らしやすく、住みやすい国であるような…、そんな解釈が成り立つ実感はありますか?
いつもお世話になります。
おっしゃる通り、OECDの豊かさのベンチマークには、色々問題があります。 ただ単純にGDPを人口で割ると、比較的人口の少ない国が、所得的には高くなる傾向がありますし、その中身や構成要因までもよく調べないと何とも言えない部分がかなりあります。
それに、本当の豊かさは、広さや、所得の高さだけでは測れません。
その意味で、こうした比較をただ単純に真に受けるのではく、私たち日本のように、資源がなくても工夫して物を作って稼ぐ喜び、あるいは気候に合わなければそれを品種改良して作物を作る喜びや、そこから生まれる心の豊かさを得ることを通じて、私たち自身の豊かさを確立する機会にしたいものです。
ご意見ありがとうございました。
前橋