昨日、ＲＢＡ総裁のGlenn Stevens氏がシドニーで講演をしました。　講演の主な内容は以下の通りです。

（１） オーストラリア経済の相対的なパフォーマンスは、他の先進国に比べて非常によく、今の我々は「幸運な国」と言っていいだろう。

（２） しかし、過去においては地理的に、アメリカやヨーロッパから離れている為に非常に大きなハンディであったが、今はアジア経済圏の安定した経済成長の恩恵を受けている。

（３） 特に、中国経済はここにきて景気が失速しているが、これは景気循環による景気の調整局面であって、今後、更に中国経済が大きく失速すると考えていない。　むしろ、今後、中国経済が再び景気が持続可能な成長過程に入る為には、現在の景気循環の調整局面はむしろ好ましいことである。

（４） 現在の豪金融機関の健全性は、過去数年にわたり、オーストラリアの銀行とAPRA (Australian Prudential Regulation Authority：オーストラリア金融監督庁)による努力の結果であり、更には、銀行が２００８年以降の金融危機にあって資金調達を減らしたおかけで、更なるリスクを減らすことが出来た。

（５） 豪の住宅価格については、２〜３年前のピーク時に比べて５〜１０％下落しており、現在の水準は２００２年の水準にあると考えている。　また、豪の住宅価格は住宅取得者の年間所得の４．５倍程度が平均的な水準であり、現在の水準はそれに近くなってきている。　だからと言って、住宅価格がもうこれ以上下落しないと決めつけるのは危険である。