2010/01/29 05:31 | 昨日の出来事から | コメント(0)
人口増加に悩む?!オーストラリア
昨日、オーストラリア国営テレビABCが、オーストラリアの人口が現在の2200万人から、2050年には3500万に増える予想を踏まえてた特別番組が放映されているのを興味深く見ましたので、その内容をご紹介します。
人口減少に悩む日本からすれば「人口が増えて何が問題なのか? 実に結構なことではないか!」と思われがちですが、どうも話はそう単純ではないようです。
(1)まず、この予想される数字の根拠は、(i)過去40年間に受け入れた移民も今後も継続的に行われ、(ii)現在の国内のベビーブームが今後も継続する、という前提で行われています(この国では、肉体労働や、医師、建築士等の特殊技術者は外国からの移民によって支えられている実情があります)。
(2)もしこの数字が現実のものとなると、どういう問題が起きるか? というと、アジアからの移民が急増し、オーストラリアがより‘アジア‘に埋没する現実を、自分たちのルーツはヨーロッパであると考えているオーストラリア人は受け入れることができるか?
(3)最近、問題になっているイスラム教を信仰している人とのトラブル、あるいはインドの学生に対する嫌がらせが多発しており、今後、社会が宗教や人種の多様化によってより複雑化し、治安等の社会的コストが上昇する。
(4)また、現在、原住民であるアボリジニとの摩擦が表面化しています。アボリジニの中には独立を唱える人まで出ており、国が分割されるリスクが出てきている(残念ながら、最近でこそアボリジニの人口は回復してきましたが、独立するにはあまりにもアボリジニの人口は減少してしまいました)。
(5)元来、オーストラリアは水不足に悩む国土でしたが、地球温暖化の影響で、より水不足が深刻化している上に、更に人口が増えて本当にこれらの人口を維持できるのか。
等など。
日本のように高齢化と人口減少で悩む国もあれば、人口が増えて悩む国もある。 結局、人口が増えようが、減ろうが悩みは尽きないようです。 要は「来るべき将来に備えて今をどうするか?」の議論がされるかどうかが大事なようです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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