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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2011/11/30 05:41  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

オーストラリア ドルは、AAAに格上げ


おはようございます。

昨日、大手格付け会社フィッチは、オーストラリア ドルの格付けをAA+からAAAに格上げしました。 その一方で、アメリカの長期債務格付けはAAAの安定的から、ネガティブに見直しされています(2年以内に格下げされる確率は50%)。 ちなみにS&Pは既にアメリカの長期格付けをAA+に引き下げています。

もう既に地に落ちてしまった格付け会社の格付変更等、ある意味ではどうでもいいのですが、そうはいっても、アメリカやヨーロッパの国々が軒並み格下げされる中にあって、オーストラリア ドルの格付けが引き上げられた事を、わたしは斬新な響きを持ってこれを受け取りました。 

と言いますのも、今、ヨーロッパの国々が、財政破綻の危機に直面する中にあって、現在の豪政府は、財政赤字を増やすどころか、2年内に単年度財政赤字を解消する事に必死になって取り組んでいるのですから。

今、世の中的には「借りた物を踏み倒すのが世界の多数派であって、借りた物をまじめに返すのは少数派」といった議論が私の身の周りでも取り沙汰されていますが、かつて銀行員をやっていた私の経験からすれば、貸し手と借り手の関係は、最初の返済可能な内は、借り手は、借りたお金を一生懸命返済しますが、返済の限界点を越えた途端にその態度は豹変し、「返したくても返せないんだ!さあ、なんでも好きにしゃがれ〜!!」と、道に大の字になって仰向けになって啖呵を切られてしまい、この時点で貸し手と借り手の関係は一転してしまいます。

これを世界各国の国債発行残高に当てはめてみますと、オーストラリアは、まだ、返済可能な範囲内での借金の残高(国債の発行残高)に収まっているのでこれを返済しようとします。 そして、ギリシャを始めとするヨーロッパの幾つかの国々は、既に借り入れの限界点を越えて、今は、道に大の字になって「勝手にしやがれ!」といって仰向けになって開き直っている借り手と同じ状態となっています。

さて、読者の皆様、皆様の大切なお金を貸すとすれば、どちらにお金を貸しますか?
「世界の常識で多数派である『金は踏み倒すもの』」と言っている人(国)に貸しますか?
それとも、単年度の赤字国債をゼロにしようと一生懸命に取り組んでいる人(国)に貸しますか?
それこそ貸し手責任ですので、どちらに貸すかは貸す人の勝手ですが、私なら、当然、後者に貸します(それが貸し手の常識です!!)。

それから、もう一つ。 「金は踏み倒すのが世界の常識!」等という発言は、かつて私がいたエジプトのカイロや、私の行ったこともない中国では通用するのかもしれませんが、このような発言をNYのウォール街やロンドンのシティで働いている人の前で言った途端に、次の日から誰からも相手にされなくなる事だけは申し上げたいと思います(それは、ここオーストラリアでも同じです!)。

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One comment on “オーストラリア ドルは、AAAに格上げ
  1. ベルドン より
    AAA

    次の日から・・
    ではなく・・
    その場から・・でしょう・・・

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