2010/07/23 14:29 | 言いたい放題 | コメント(5)
夏の日の思い出
昭和20年の8月15日は先の大戦で日本が敗れた日である。勝つと信じ込まされていただけに大変なショックだった。
昭和46年8月15日はニクソン ショック。時のアメリカ大統領がドルと金を切り離し為替が固定相場からフロート制へと大きく変わり、日本の株式市場は円高で日本の輸出産業が駄目になると大騒ぎをして大きく下げた日、ニクソン ショックと呼ばれるようになった。
たまたまその時チューリッヒのスイス銀行に出向していたので、絶好のチャンスとばかりに為替のディーリング ルームに顔を出した。もちろん大騒ぎになっていてディーラーたちの物凄い奮闘ぶりを目のあたりにすることが出来た。
まだコンピューターのない時代だから、一人が3つか4つの受話器を持ち、それぞれ違う言葉「ボンジュール」「ハロー」「プロント」を駆使して次々と商談を決めている。これにはたまげたしショックだった。
為替のディーラーは体力勝負であり、30代までしか勤まらないと言われていたが、あの調子で長時間働いていれば、燃焼してしまうのも当たり前だろう。しかも歩合給だから噂によればその当時で一億円クラスはぞろぞろ、あっと言う間に巨額のカネを握ってアーリー リタイアー、豪華船でカリブ海なんて話もざらにあったそうだ。
40年前でそうだから、その後IT化しカネと情報の世界では時差も国境もなくなり、おまけにロシア人や中国人など、ユダヤ人も真っ青というすばしっこい連中まで参加してきたのだから、その昔猛威を振るっていたスイスの「チューリッヒの小鬼たち」の影もめっきり薄くなり、東欧系アメリカ人のソロスなど小鬼どころか閻魔様みたいな怪物が出て来るようになった。
為替はファンダメンタルズで決まるなんてことを馬鹿のひとつ覚えみたいに唱えている国の通貨は、いまや恰好のターゲットとなった。国民の意気は萎えて戦意喪失しているのに、何故か通貨が買われるのは単に動かし易いからではないかと、最近だんだんそう思えてきた。
そういえば1980年代の新卒者たちの就職一番人気は日本の銀行、そしてディーラーとなって活躍すると夢を抱いていたはずなのに、あの大志を抱いていた青年たちはどこにいったのだろう。まさか爪に火をともして貯めたカネでショボショボFXにうつつを抜かしているのではないだろうな。
この夏は幸田真音さんの書いた「国債」でも読んでみてはいかがだろう。ちなみに幸田さんのペンネームはディーリングで買うことを「マイン」と言うが、その真音なのだそうだ。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
5 comments on “夏の日の思い出”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
は・・色々ある・・
サマータイムの歌も・・怪談もある・・
耳無し芳一・・化け猫・・その他・・夏の陣・・話は尽きない・・
夏の夜の夢・・
夢もいいが・・
夏草や・・が・・やはり・・シミジミ・・こたえる・・
館跡を訪れた・・頼朝が・・義経の名を記した・・矢を見つけ・・涙を流した・・逸話も・・シミジミ・・岩に染みる・・
が
リーマンショック・コンフィデンシャル
を読むと・・
やはり・・これは・・
夏草が出てくる・・現れる・・
壇ノ浦・西洋版耳なし・・
スティグリッツが・・優秀な人材が・・金融に集中・・他分野で・・遅れをとるのでは・・と深い憂い・・
我等は・・夏が来れば・・夏草や・・夏草や・・と・・称えましょう・・・
そうだ・・
どうして?・・ユアーズ・・と・・付けなかったのでしょう・・かね・・・
三原先生、
私は、1980年代初めに日本の銀行に入り、ディーラーになることを夢見て、為替ではありませんでしたが、幸田 マインさんが働いていた同じ頃に債券ディーラーをしておりました!
先生のおっしゃる「そういえば1980年代の新卒者たちの就職一番人気は日本の銀行、そしてディーラーとなって活躍すると夢を抱いていたはずなのに、あの大志を抱いていた青年たちはどこにいったのだろう。まさか爪に火をともして貯めたカネでショボショボFXにうつつを抜かしているのではないだろうな。」
はい、ここにおりまする!!
先生から見れば、私の様な若輩の鼻垂れ小僧は何を言われても構いませんが、あの頃、共に一生懸命働き、その後は、それぞれの道を辿っていった(あるいは辿らざるを得なかった)仲間をそのように言われることを私は聞き捨てなりません。
また個人でFXをしている人は、先生から見れば、「ショボショボFXにうつつを抜けしているもの」に見えるかもしれませんが、私が担当している「クロコダイル通信」の読者の皆様に替わり、「先生からそのような侮辱めいたお言葉を言われる筋合いはない」ことも申し上げたいと思います。
FXをされていらっしゃる皆様は、世間には無責任な人が多い中にあって、自分の命の次に大事なお金をマーケットに晒してお金を増やそうとしています。 そして、全ての結果責任を「損益」という形で受け入れる覚悟をもってFXをされていらっしゃいます。 こうした方々の何がいけないのでしょうか?
モームは・・
セルバンテスに・・恋焦がれた・・焦がれて・・絡んだ・・ドン・フェルナンド・・
セルバンテスには娘があった・・
娘は有力者達の愛人・・同居の父親を養っていた・・
ある日
パトロンの一人が・・殺害され・・居間で・・発見された・・
セルバンテスと娘の弁明・・
家の前で・・遺骸を発見・・知人なので・・居間に運びこんだ・・
当局は深い疑いを・・
しかし・・証拠はなく・・記録に留めた・・
それを
モームが見つけ出し・・
感情を交えず・・感想を漏らさず・・さり気なく・・書いた・・
ラ・マンチャの男・・が・・書かれた・・背景か・・触れていない・・・
『クロコダイルの餌に』
と叫ぶ・・前に・・ドン・フェルナンドを・・読みましょう・・・
ファンダメンタルズも市場で通貨価値が決定される際の一要素であることに間違いはないと思います、それで貧しい国の輸出産業は活気づき、豊かな国から投資マネーも舞い込み、世界の命が救える、という側面もあり、そういった意味でファンダメンタルズ分析による為替変動は民主党にとって本望であるのかもしれません。
日本が貧乏くじばかり引かされているのなら、魑魅魍魎が屯す市場で無防備を宣言する政治家のメンタル分析が元凶ではないでしょうか。
いつも耳が痛い思いをしながら、読ませて
頂いております。
最近、為替レートの決定過程を見るとき、
ファンダメンタルがどの程度機能している
のか、首を傾げていた時に先生のコメント。
まさに、と膝を打ったところです。
もっと違う何かが、作用しているという思
いに駆られます。それは何か薄々、感じて
おりますが・・・・。
FXは、マクロ経済を勉強するには、良い
教材ではあるものの、博打の範疇から出る
のかと思っております。
大切なのは、利益の先に何があるのかと何
を求めるのかが、日本人の徳として重要な
のだと思っております。
これからも、三原先生の辛口コメントを道
標とさせて頂きます。