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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2010/02/19 22:09  | 言いたい放題 |  コメント(6)

頭を抱える季節


 今回で10回目となった恒例の中学生・高校生・大学生対象のストックリーグ(日経主催 野村証券後援)の第一次審査を通過した選り抜きのすばらしいレポートがどさっと日経新聞から50ほどが送られてきた。これから週末を潰して採点し、順位をつけるのは審査員として、これがなかなか辛く悩ましい仕事である。

 レポートのひとつひとつに頑張っている子供たちの姿が目に浮かんでくるし、担当されている先生方のご苦労も偲ばれるため、楽しみでもあるが順位つけや採点は苦しみとなる。
 日本は金融や経済に関する教育が他国に較べて劣るなかで、敢えて株式や市場について学びテーマを自分で探ってポートフォリオを作るのは、子供たちには不馴れだろうし、家庭でも話題になり難いという環境だろうから、子供たちの奮闘努力ぶりには頭が下がる。

 以前このストックリーグにわが子を参加させたいのだが、「子供に金儲けの話なんか出来ない」と、担当してくれる先生が見つからずに泣く泣く断念せざるを得なかったという父兄からの便りを頂いたことがあるが、日教組がはびこる教育の現場ではまだそんな空気も残っているのだろう。
 そんな中で1200ものレポートの応募があり、そのなかから第一次選考で選ばれた50のレポートのなかから順位を付けるのだが、出来れば全員表彰したいくらいの気持ちになる。日頃は平日の午後によく行われるセミナーなどで講演をすることも多いが、カネのある高齢者には、まだ市場や投資に対する基本的な認識が欠けたまま、ただカネを儲けたいという人が多い。塩漬けになった株をどうしたらいいかなんて聞かれても、そんな質問に軽々に答えられるわけもないし、ましてや今年の日経平均の高値はいくらでいつ頃かなんてことばかり気にされても、神様じゃああるまいし、そんなこと判るわけなどない。そんな基本すらが判ってない高齢者が多いのにはただ呆れるばかり。

 この高齢者に資産が片寄っている日本を変えるには、孫の世代に頑張って貰うしかない。
 その孫たちが頑張ってくれているのだから、まだ日本も捨てたものでもないという気になるのは幸せなことだ。

ぜひお越し下さい

 いまはご案内のようにグローバルな時代で、どこのマーケットにも誰でも出入り出来る。中国などは子供のころから「金持ちになれ」と耳にタコが出るほど聞かされて育つし、アメリカも自国の歴史(短いので判り易い)を学べば、どうして経済大国になれたのか、金融や市場はどういう働きをしたのかも自然に体得出来るので、ことさらフィナンシャル リテラシイーなどといって特別に教わらなくてもよい環境である。ところが日本では「子供はカネの話などするものではない」という風潮が強く、だから子供も小遣いは親がくれるものと思っているのが一般的だろう。

 その昔ゴルフ場に隣接している豪邸の住人に「お宅のお嬢ちゃんは偉い。暑い中でレモネードをゴルファーに売って小遣いを自分で稼いでいるから」と言ったところ「それもそうだが資本主義を教えている」「親が10ドルの元手を出し、子供はそれでレモネードの粉末を買ってきて売る。」「サービスを良くすればチップも入るし、もちろん元手は後で回収する」「これが資本主義の原点だろう。」と言われてたことがある。大金持ちの娘でも幼いころからこうして鍛われるのだから、乳母日傘育ちの日本の子供のハンディは大きい。

 ところ変われば品変わるもの。子供の教育も生まれた国で大きく変わるのだが、流れはいまや鳩山さんがどんなに嫌ったとしても、グローバルな時代にますます変わっていく。他国のしたたかな投資家に負けない強い投資家を、日本も育てていく必要があるのは確かである。

 かつては時価総額が600兆円を超え、世界の約40%ものシェアを持っていた日本も、いつの間にかシェアは10%以下にまで下がり、上場銘柄数も増えるどころか減っている始末。120を超えていた外国株もいまや20銘柄そこそこという惨状は、どう見ても日の没する国の市場にしか見えない。
 だから前場は前夜のNY、後場は中国の上海や香港の市況に左右されるという体たらくが続いているのも当然かも知れない。

 これから頭を抱えながらレポートを読む予定だが、なかにはいつも大いに参考にしたいものも多い。表彰式は3月14日(1時〜4時)日経ホール、優勝チームのプレゼンテーションを人目覗いてみて下されば有難いのだが。

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6 comments on “頭を抱える季節
  1. ぺルドン より
    頭・・

    五十社の株の評価・順位を決める、
    と考えれば、悩ましとはならないのでは?

  2. トム男 より
    大変のお仕事ですが・・・・

    経済、金融、市場教育の遅れを、三原先生が
    お尻を叩いて、成長させてやって下さい。
    年をとってからでは、間に合わないという
    こともありますので。

    レポートの優劣の理由を、丁寧に説明され
    れば、彼らも成長すると思います。

    もっと若ければ、私も参加したかった・・。

  3. あっちー&こっちー より
    この高齢者に資産が片寄っている…

    ブラック?ジョークかもしれないが。
    その状況を変えるには?
    生前贈与枠の拡大。
    ただし。
    親には見返りが必要。
    そこで、生前贈与受給資格試験!
    親に感謝しているか?
    親の最後を看取る用意はあるか?
    などなど、いかにも日教組が嫌がる質問が並ぶ。
    資格試験合格後も、受給要件に違反した事実が発覚すれば、子に課税。
    これでどうでっしゃろ???

  4. かざしも より
    若い頃の苦労は買ってでも

    今の日本では死語と化しております。
    高等教育に関しては、学ぶべき目標を見つけた時に、働きながら、身銭を切って学ぶ、これでいい気がします。中学までの勉強が身に付いていれば大方の仕事で困りはしません。これだけ普及させたインターネットを活用すればハードルも高くないのでは?そもそも大多数の人間にとって学ぶべき目標など実社会に放り出されて初めて見えてくるものでしょうし。若くしてレモネード売りをされたお嬢さんも、擬似的とは言え実社会に触れることで価値観の変化に気付かれたのではないでしょうか。
    とは言え、分数計算をできない大学生、九九をできない高校生等々、可哀想な子供達をゴロゴロと世に送り出している初等教育から崩壊しているので絵に書いた餅ですが。
    それにしても三原先生を苦しませるとは、優秀な学生さんがいるもんだ。(笑)

  5. にっちもさっちも より
    教育崩壊

    日本の教育を崩壊させたのは、ひとえに日教組と文科省の馬鹿役人だと思います。
    日教組が支援する民主党政権が続く限り、日本の教育は間違いなく坂を転がり続けます。

  6. kuro より
    わかりやすい敵(笑)

    社会が行き詰ってきたとき、わかりやすい敵を作り上げて叩き、不満をそらせるというのは常套手段です。国民の突き上げに困った為政者がこれを行うのみならず、マスコミや思考停止におちいった一般人までもがこの図式にみずから乗り、助長していくという構図が最近顕著なようです。
    日教組や戦後教育が悪であれば、その教育を受けた日本人が大半を占める今の日本の繁栄(景気が悪いといっても世界的観点から見れば繁栄している国のうちです)と平和(内戦もない、分離独立運動もない)はどう説明するのでしょうか。

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