2010/01/15 22:51 | 言いたい放題 | コメント(7)
経済音痴で市場軽視の大臣たち
子供みたいな言い方の何と多いことか。そもそもJALの問題が表面化した時には前原大臣以下財務大臣まで揃って五大臣が申し合わせをし、各大臣が署名したところからスタートしたはずの処理が、まず前原大臣が勝手にタスクフォースなどを組織して送り込み、勝手な査定を始めたために財務大臣がつむじを曲げまず離脱した。
それでも市場はまだ再建策を信じて、法的整理はしないだろうという前原大臣に引きずられて、じっと我慢をしていた個人株主も多かったはず。
ところが年末になると様相は一変し、法的処理が視界に入ってきたため、株価は暴落し67円まで下げて年を越した。
その年末年始の休みの間にまた前原大臣が法的整理は避けるといった発言を行い、年初の市場では90円台にまで株価は戻したのだが、それは全くの糠喜び。あっと言う間に法的整理、場合によっては100%減資という案で会社更生法という運びになって株価は急落。
100%減資なら株券はただの紙切れになる。鳩山さんは当然株主には責任があるとしれっと言ってのけているが、個人株主のなかには政府が迷走しなければ、株券を紙切れにしなくてもすんだのにと、吹っ切れぬ感情になった人も多いだろう。
政府要人の言葉が如何にも軽る過ぎるために株価が乱高下し、そのために被害者が増えたのではないだろうか。こっちではあゝ言う、あっちではこう言うでは株主としても、最後の最後にその責任を株主も取れと言われても「信じた私が馬鹿だった」ということになる。
もちろん最大の原因はこれまでのJAL経営陣にあり、ここまでボロボロにしてしまったのは自分たちだろうが、ではその間きちんと説明責任を果たしたかについては大いに疑問が残るのは当然である。市場という観点から今回の騒ぎを見ると、政府とJALの市場への対応のいい加減さを世界に知らせてしまった責任は重い。
そうでなくとも「日本の常識は世界の非常識」と非難されても仕方がないほど、日本の市場は閉鎖的であり規制だらけ、とても世界に拓かれた市場とは言えないところに、またもやこんな田舎芝居を見せたのだから、政府の今回の対応は国辱ものと言っていい。
余談だが今回第一生命の株式会社化に伴なって証券口座が必要となり、これまで自粛していたが止む無く証券会社に口座を開設しなければならなくなった。そこで口座開設をお願いしたのだが、可哀想に証券会社の担当者が困った顔をして「三原先生がどんな方かはよく存じ上げてますが、それでも株式にはリスクがあることを説明しなければならないので」と、リスクの説明とともに捺印を求められた。
これって何かおかしくないか。市場にはリスクがあって当たり前、リスクが嫌なら参加しなければいい。わざわざリスクの説明をしなければ株も持てない制度や規制は即刻止めるべきだ。この度証券取引所に亀井大臣は金融庁の役人を沢山送って修行させるそうだが、その前に役人たちにも証券会社で口座を開かせてみることだ。金融庁の役人でもリスクの説明をしてくれるだろう。そこで初めて自分たちが如何に頓馬なことをやっているかが解かるはずだ。それから取引所にいって働いてみることだ。如何に机上の空論が実体経済を阻害しているかについて身につまされるはずである。
JALのこの馬鹿騒ぎも根本には市場に対する理解不足、市場に対する認識の軽さがもたらしたこともついでに見えてくるはずである。
市場は国民共有の大切な場であることを忘れてしまって困るのは国民である。
「友愛」とは何か、鳩山さんも胸に手を置いて考えてみてはどうだ。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
7 comments on “経済音痴で市場軽視の大臣たち”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
「盲人が盲人を手引するならば、ふたりとも溝に落ちてしまう」
トマスの福音書・三十四
キリストのお言葉であります。
ただトマスの福音書は異端とみなされております・・・
若いころ、セールスの方に一方的な「リスク」の話をされて、とても分不往相な保険をたくさんかけておりました。
そのため整理しましたところ、第一生命の保険も解約してしまったのですが・・・なんだか1株未満の権利はあるようで、ちょっとだけ得した気分です。
一方で、本屋をのぞくと、簡単に小額資金で短期間に、株やFXでお金を稼げるという類の本をよく見かけます。
こういう本は、罪が重いのではないでしょうか。
嘘は書いてないのでしょうけれども、本を1冊読んだだけで利益を出せる人が、いったいどのくらいいるのでしょう。
私も市場の意味とか、相場がどういうものかなんて、ぜんぜん理解できていないのだろうと思いますけれども、あまりに軽く扱う本や雑誌の、なんて多いことでしょうか。
だから、投資へのリスクを声高に叫ばないといけないのだと思うのです。
リスクなんてあたりまえの話で、それを考えない方がどうかしていると、私も思いますが。
重く考えすぎると身動きがとれない、軽く考えすぎると怪我をする・・・でも、普通に生きてきたら、一般人は「リスク」に関して学ぶ機会がほとんどないのですよね。
だから、バランスの悪い保険をかけたり、へんな株を買ったりしてしまうのです・・・
めまぐるしく世界が変わっていくのだから、勉強しないこと自体がハイリスクってことなのですね、世の中。
がんばります。
三原先生のコメントは、読後、スッキリします。
今の閣僚は、ほんとに市場が分からず、がっかりです。
やっぱり組合が支持母体の政権だからでしょうか?
経済音痴のために、ツケはすべて国民に。JALが潰れたって、多少混乱したって代わりにやるところはあると思うよ。国民の為にとかいう言い訳をしないで欲しい。大騒ぎの子供大臣のために国民は迷惑千万。
それと誰かさんは、タダでCEO引き受けると言っているようだが、むしろ報酬を受けてしっかり仕事をして欲しい。タダほど高くつくものはないのだから。
>「友愛」とは何か、これは小沢に対しての言葉。
小沢の「国民の生活が第一」はウソで「自分の資産と権力が第一」ということがよく解りました。
お役所というのは啓蒙活動が大好きで、片やぐっちーさんが疑問を呈しておられるような怪し気な増資は素通りさせてしまう、どう考えても注力すべきポイントがズレていて。ハウツー本に載っているような内容を形式的に読んで聞かせたら何か効果はあったのですかね?リスク説明には政治家を信じるリスクも入れるべきでは?
「政治主導」?
日本航空は、ずっと政治主導だったのでは?
従って、民主党政権は倒産する。
国家経済福祉成長目標を決め、達成すれば、担当官僚に巨額のボーナスを。
天下りなんぞ、目もくれぬようになり、真剣に仕事をしてくれるだろう。
官僚の業務目標がずれているから、ダメなんじゃないだろうか。