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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2010/01/08 17:08  | 言いたい放題 |  コメント(2)

Chokkanを信じよう


 明けましておめでとうございます。
正月休みに孫たちがやってきた。おかげで賑やかにはなったがテレビは馬鹿丸出し番組ばかりを見せられる羽目になった。「彼は何」と出演者を聞くと「芸人」と孫は言うのだが、とても芸なんて呼べるようなものではない。「あんなものは芸とは言わない。たんなる馬鹿が馬鹿なことをしているだけ。お前も馬鹿になるぞ」といくら脅しても馬耳東風、こちらが薦める番組には目もくれない。家だけかと思ったらどこも似たようなものらしい。世のじーさんたちの憂いがまた深まるのだろう。残念だが我が家の行く末も見えてきた。

 そう言えば大騒ぎになった賞味期限もそうだ。いつの間にか日本人は他人任せになったのか、それとも自分の直感を失ったのかは判らないが、もともと五感はなんのためにあるのかをすっかり忘れたようだ。他人の付けた賞味期限より自分の鼻や口を信用するのが自然だろう。臭ければ口に入れなければいいし口に入れておかしければ吐き出せばいい。そのために五感があると思うのだが、それを忘れてよその国に行けば、きっと酷い目にあうのでは無いだろうか。あの近くの国など何でもあり、妙な毒入りギョウザもあったのにもう忘れたようだ。

 世の中が便利になったなかで忘れられつつあるのが「直感」だろう。とくにマーケットがらみが好例だが何でも分析してしまうし、そんな分析に溺れているうちに失っていくのが「直感」のように思えてならない。直感は時として思いがけず物事の本質を突いていることが多い。オーデイオが好きだから多くのスピーカーをさんざん聞いてきたが、耳に心地いいものが必ずしもスペック的に優れていないことは良くある。分析すれば他のスピーカーが遥かに性能はいいのだが、買う気になれないことは仲間に聞いても同じ。やはり直感で選んだ方が後悔も少ない。

 その分析一辺倒の世の中で、何と最近流行りの婚活まで分析でカップルを選ぶらしい。年収や身長は分析、分類可能だとしても、やはり最後は「直感」になるはず。結婚の相手選びは殆んど「感」だろう。だから後悔もするし離婚もするのだろうが、昔は自分の直感に加えて親の意見や人の意見も入れて決めたから離婚も少なかったのだが,分析癖がついていると直感より分析で決めているようではうまくいかないのではないだろうか。

 これは市場でも言えることである。いまや手軽にネットで様々な分析が手に入る。そのため分析をベースに投資しているようだが、これではせっかく身に付いている五感を働かせられまい。経営者が好きだ、製品がいい、社員がよく働いていると、いった要素が入り込む余地が無い。日本電産の永守さんは下で働くのは大変だろうが会社としてはすばらしい。だから投資してみよう、信越化学の金川さんも信頼出来る、だから応援しようという投資の仕方があってもいい。

 本来人間にはパッと見たときに、人の良し悪しや物事の善悪を見分ける判断能力があるはずなのに、分析に熱心なあまり一番大切な直感という能力を低下させているように特にこのごろ思えてならない。今年は五感を働かせる年になると考えているだけにぜひ五感を養って欲しい。

 さてその五感を生かした典型が、その年の「10大サプライズ」を年の初めに発表しているバイロン・ウイーン氏だろう。今年も市場のサプライズを発表したがこれこそ知恵と経験とそして情報をベースによって磨かれた直感によるものといえよう。昨年はほぼ当てているだけに要注目である。

1 アメリカの成長率は5%超え、失業率は9%割れ。
2 ゼロ金利政策の解除、金利上昇(FFレート2%)
3 米国債の発行過剰感から長期金利は5.5%を上回る
4 S&P500は前半1300まで上昇後1000まで低下
5 ドルは対円では100円、対ユーロは1.30まで上昇
6 円安が追い風となって日本株は日経ダウ12,000円以上に上昇
7 オバマ大統領が原発推進の法案を承認
8 米経済回復でオバマ人気も上昇
9 金融規制法案が金融界寄りに修正され金融株が上昇
10 イランの社会情勢不安でアハマデネジャド大統領失脚

 昨年は金の1200ドル、原油の80ドル、円高、住宅価格の底入れなどかなりの確率で言い当てているので「直感」を信じる人には参考になるだろう。

 そろそろ賞味期限や分析にこだわるより、直感を信じるように自分を変えてみるほうが今年は面白いのではないだろうか。

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2 comments on “Chokkanを信じよう
  1. ペルドン より
    Chokkanwo??

    それだけでは足りない、
    と人類は分かっていた・・
    だから
    洞穴時代から「お守り」を下げていた。お守りこそ、自分たちを守ってくれる、と経験則から分かっていた。
    ギリシャ・ローマ時代のお守りはポコチンだった、男は既に下げているにも係わらず・・
    赤ちゃんは特注のお守りが出来るまで、ワインかオシッコで体を洗われた。

    標識のように・・このデカイのが街角、家の前に立てられ、人々は触って歩いた。おかげでピカピカ頭は輝いていた。

    お守り屋は繁盛する商売で、副業として薬草も売っていた。お守りに薬草も付けた。
    直感が如何に・・確率的に当てにならないか、人類は直感で知っていた。
    にも係わらず
    人々はお守りを忘れている・・忘れた振りをしている・・
    ウサギの尻尾はお守りになる、
    とアメリカでは信じられ・・ぐっちーさんがバニーガールの御尻を追い回すのも、人類の貴重な文化財産を守っているからだ・・・直感だけでは頼りない・・悪を悪運を避けられないと知っているからだ・・・

  2. にゃん。 より
    「直感」と「感情」は違うモノ

    「直感」も「分析」も、感情が混じると著しく狂います。
    シロウトが感情なしに「分析」をするのは難しいと思います。
    ほんのすこしの知識で「分析」をしようとすると、自分のほしい「分析」ばかり拾ってしまうからです。
    日々の生活の中でも、感情で何かを探すより、無作為にこそ貴重な出会いがあるのかもしれません。

    単純なものにこそ、価値がある。。。でも、そこを貫けるのは、実はものすごい精神力がいるのかもしれません。

    「直感」を研ぎ澄ますというのは、シンプルを見出す作業なのかもですね。

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