2006/06/02 00:00 | 言いたい放題 | コメント(0)
アイ トールド ユー
さしずめ日本語では「だから言ったじゃないの」「言わんこっちゃない」ということであり、ひどい目に会った人に対して使うと傷口に塩を塗るようなきつい言葉になるからであろう。
株価が上昇に転じて以来、いとも簡単に株で儲けることが出来るといった類の本が急増した。「デイィトレで確実に儲かる」「学生の僕が三億円儲けた」「一日15分で月給分を稼ぐ」といったタイトルの本が店頭に溢れ、それがまた凄い勢いで売れていた。
ほんの4〜5年前までは、株と土地は持ってはいけない。借金はすぐ返すのがデフレ時代の知恵などと、悲観論を煽っていた出版社やTVなどが、今度は一転してデイトレの応援団となり、借金の塊みたいな信用取引まで解説する有様、そして挙句の果てがライブドアの破綻、その後の新興市場の大暴落である。2000年のITバブルの時もソフトバンクの時価総額がトヨタを上回ったり、光通信が同じように時価総額経営を掲げ、その後大暴落して株価は百分の一ほどにもなったことがある。今回もその危うさについて散々当欄でも指摘してきたし、機会あるごとにテレビなどでも警告を発してきた。
案の定ライブドアで大損する投資家が続出し、退職金を飛ばした人などがテレビに登場、恨み節などを聞かされることになってしまったのは残念でならない。
「だから言ったじゃないの」とつい言いたくもなる。デイトレーダーに警告を発していたことは、三原はデイトレを敵視しているとか、自己責任なのだから放っておいてくれといった苦情もテレビ局にきたが、もちろん放っておいてくれと言われるまでもなく放っておくしかない。しかしそれで損をしたからといって一転して被害者面するのは止めて欲しいのである。リスクにはリターンがつきものだが、そのリターンには利益も損失もあることを忘れてくれては困る。
損失も立派なリターンなのである。
かく申す小生はもちろんのこと、あの日本を代表する大投資家の竹田和平さんだって、散々これまでに失敗を重ねてきた。
しかしだからと言って人を恨んだり、文句を言ったことはない。何となれば損もリターンのうちだと心得ているからである。
もちろん株が悪いわけではない。このところの株の大下げでまたぞろ株が悪者になりそうだが、ライブドアのもと社長を訴えるのは結構だが、だからと言って株はもうこりごりなどと大声で叫んで欲しくないのである。
いい加減な本を読んで、たまたま上げ相場でうまくいき、そこで慢心して天下を取ったつもりになった自分をまず責めるのが筋だろう。同情など求めないことだ。
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