2019/03/01 05:29 | 昨日の出来事から | コメント(0)
Brexitを巡る英国世論は如何に?!
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
2016年に52%のイギリス人がEUからの離脱に投票した後、イギリスがいつ、どういう形で離脱するかを巡っては、これまで周りで見ている人々を愕然とさせて来た。 今年の1月にはイギリス議会がEUとメイ首相が同意した離脱条約案を否決した。その一方で、多くの議員は強制的な離脱にも反対している。メイ首相も野党党首のJeremy Corbyn氏のいずれもEUに復帰することもあり得る2度目の国民投票には否定的である。
最終的には、Brexitの動向を決める国民は、国民投票か総選挙をするであろう。国民は、現状に激しい怒りを持っている。最近の世論調査では、75%が「政治家は自らの仕事に責任を持ってやっていない」と答えている。
その一方で、国民自身も、国会議員と同様に考えが割れている。昨年末、世論調査会社YouGovが9万人のイギリス人にメイ首相のEUとの協定について、合意なき離脱かEUに留まるか、いずれかを尋ねた。 2016年では離脱意見を表明する人が僅差で優っていた。そして、今も殆どその考えは変わっていない。離脱に投票した90%の人々、そして残留に投票した84%は、今も同じ考えである。しかし離脱派の考えは割れており、離脱派の24%はメイ首相の案に賛成であり、27%は強制離脱を支持している。また、与党支持者の中では、55%が彼女の案よりも強制離脱を寧ろ望んでいる。
YouGovのデータを使って、弊誌エコノミストがBrexit選択肢のモデルを作ってみた。国民投票層を年齢、所得、学歴、支持政党に分けてみた。 その結果、高齢者、所得の低い人、低教育の人々は離脱を望み、金持ち、若者、労働党支持者はEU残留を望んでいる。残留支持層の94%はEU残留を望み、離脱支持層の90%は強制的な離脱を望んでいる。
逆に言えば、メイ首相の提案はどちらからも支持されていない。このモデルからメイ首相の提案を支持する事が期待できる割合は最大で58%に留まっている。更には、年齢、所得、学歴、支持政党以外にも、2つの例外を考える必要がある。 それは、政治に興味があるかどうか、そして男女の違いからくるものである。政治に関心のある男性は離脱か残留かをイデオロギー的な観点で選好する。一方で、女性、特に政治に無関心な女性は、こうした判断に対して意思がはっきりしていない。メイ首相にとって悲しいことに、政治的な争いにうんざりしている人々は、彼女の提案を支持しようとしない。
メイ首相は、彼女の提案がEUメンバーと強制離脱の間でうまく妥協されることを望んでいる。現実問題として、彼女の提案は、余りにも極端であるため、最も人気がない。首相は2016年の選挙民の判断を無視するような新しい国民投票には反対であると述べている。しかし、彼女が心配するもう一つの可能性は、人々が彼女の提案に賛成票を投じた場合、一体、何が起きるかどうかわからないという事である。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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