2019/02/19 05:38 | 昨日の出来事から | コメント(0)
仮想通貨の盲点が再び狙われる!?
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
ビット コインは、2008年8月に世界同時危機の最中に導入された。金融自由化ファンによれば、暗号通貨の最も魅力的な事の一つは、利用者が、自分の嫌いな銀行と関わる必要がないことであった。しかし、その後の金融ど素人と詐欺が横行した10年を経て、何十億ドルも金が紛失し、盗まれた。暗号通貨の世界でそれまでの銀行の役割をした仮想通貨取引所は、これまでの伝統的な良い銀行経営の手本とはかけ離れたものであった(ボロボロであった)。
最近の例では、カナダの暗号通貨の取引所Quadrigacxは、2月5日に債権者から債権保全を受けた(破産した)。会社によれば、 問題は、顧客の資金を失っただけでなく、資金そのものが引き出せなくなった。というのも、その取引所の会長 Gerald Cotten氏が去年の12月にインドで突如死去したのである。
殆どの銀行では、たった一人のスタッフの死去で銀行が破滅する事はない。しかし、Quadrigacxによれば、Cotton氏のみが資金の預け入れと支払いを担当し、暗号化する為のパスワードを知っているのは彼しかいなかった。裁判所の書類によれば、Cotten氏の未亡人は「何度も数字を調べたにもかかわらず、パスワードの書かれたものをどこにも見つけることが出来なかった」と述べている。Quadrigacxの9万人の顧客は、取引所に預けてあった約180百万カナダドル(136百万米ドル)のビッド コイン、Litecoin、 Etherreum等、様々な他の暗号通貨を引き出すことが出来なくなった。中には、一人で70百万カナダドルの暗号通貨を失った人もいたと考えられている。
Quadrigacxのオンライン会議では、怒りが膨れ上がり、ど素人刑事が動き回り、陰謀論まで出ている。会社は、2018年1月にQuadrigacx の支払い手続きを行っていたCanadian Imperial Bank of Commerceが28百万ドルの顧客の資金が凍結された時と同様に困難を極めた。当時、銀行は何度もCotten氏と接触を試みたが出来なかった。また、他にもいくつもの奇怪な事がある。インドのラジャスタン政府が名前相違で発行されたCotten氏の死亡証明書のコピーが出回った。ビット コインの公的取引登録を担当する専門家はアクセスする事が出来ない預金者を特定する事に奮闘した。 他の暗号通貨の取引所の会長Jesse Powell氏は、ツイッターで「Quadrigacxの話は、実に奇異で、正直信じられない」と述べている。
しかし、大量の暗号通貨が、その流通市場から不注意にも消えてしまったのは何もこれが初めてのことではない。イギリスの熱烈な暗号通貨信者 James Howell氏は、2009年当時、ビッド コイン7,500枚を買い入れたが、殆ど価値が無かったので、それを蓄えていたハード ドライブを捨ててしまった。しかし、2013年には、これらは数百万ドルまで値上がりしWelshの埋め立て地から捨てたをハード ドライブ回収しようとした。暗号通貨監視会社のチェーン アナリストは、全てのビッド コインの内、2.78~3.79百万枚のビッド コインが同様な環境下で失われたと見ている。ビッド コインの発行の上限が21百万枚なので、実に13~18%のビッド コインがこの世から消え去っていることになっている。
暗号通貨の世界では、Quadrigacxよりも大きな暴落を経験している。最大の暴落は2014年に起こったMtGoxであり、85万枚が盗まれ(価値にして450百万ドル以上)、これを受けて価格は70%下落した。当時も、Quadrigacxのように、人々は羽を付けて走り回り、そして(暗号通貨が戻って来る事を)祈った(しかし戻ってこなかった)。暗号通貨ウオッチャーであり、暗号通貨に懐疑的であるDavid Gerard氏は「確かに、中には他の取引所よりもマシな取引所もある。しかし、取引所に暗号通貨を預けておくのは、「だれかのベッドの下にあなたのお金を置いておく以上に危険である」と述べている。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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