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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2018/11/13 05:10  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

日本株、復活の兆し!?


おはようございます。

先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

長い髪、肩パット、人目の惹くビデオカメラ、小型レコーダーは、当時の忘れがたい象徴である。しかし、1980年台の当時のポップ スターは、今、何処にいるのであろうか? 恐らく彼らの多くはあなたの近所(地方)のどこかにいるであろう(大都市にはいない)。 しかし、彼らの腹はでっぱり、髪は薄くなっているにもかかわらず、歌手とその歌は当時と全く変わっていない。彼ら自身の心の中では、彼らは今もってビッグ スターである。 しかし彼らの音楽ビジネスは縮小してしまっている。

ビッグ スターより下のポップに至っては嘆かわしい限りで、郷愁を以て音楽が再販されることはない。では、日本の株式市場ではどのような奇跡が起きていたのであろうか?1980年台の日本の資産価格は青二才のポップ スターがコカイン中毒に侵されるレベルをも超えるまでになった。1990年末頃には、日経平均 インデックスは企業収益の60倍を超える水準まで上昇した。しかし、その後は急落し、長きに亘るリハビリの後、今、日本株はスポット ライトを受けるまで回復してきている。

他国の懐疑的なライバルたちは、日本マーケットがボトムから復活するなんて愚かな外人投資家のなせる業と嘲笑を浴びせる。日本企業は、株主還元を最も重要なことと位置付けていないことで知られている。それに、どうして少子高齢化の国に投資するのか?それやこれや理由で世界的な大手投資家は日本投資の比重を下げて来た。 しかし、今、日本のカムバック ストーリーに抵抗出るであろうか? ここ数年になってようやく、日本の企業は投資家の要求にこたえるようになってきている。

その大きな変化は、日本は株主から集めたお金をより効率的に使うようになっている。 モルガン スタンレーが最近出したレポートによれば、一株当たりの収益(ROE)は、過去30年に亘り、世界基準か大きく下回っていた。 しかし、2012年以降、そのギャップは縮小し、日本のROEは当時の2倍になって9.8%である。その収益の多くは、企業減税や低金利によって財務コストを削減できたことが大きい。しかし、更にはコストをよりコントロールし、企業資産を圧縮したことによるところもある。

健全な日本経済もまた支援している。(日本の)デフレは終わった。名目GDPは確実に成長している。また、労働市場も活気づいている。失業率は2.3%であり、求人に対する空職率は1970年台以降で最も高くなっている。更に、多くの女性が労働市場に参入している。女性の労働参加率はアメリカのそれよりも高く、OECD加盟国の平均をも上回っている。 時間当たりの生産の伸びは、他のG7国よりも高い伸びを示している。これらのデータは、リサーチ会社Conference Boardに依っている。

あまり知られていないが、変化は企業レベルでも起こっている。日本株式会社では(日本社会全体では)、まだ馴れ合いが残っている。例えば、お互いにお互いの株を持ち合う習慣や、株主の中に親派の株主を作る習慣などである。しかし最近の一連の企業ガバナンス改革が少し変化をもたらし始めている。多くの大企業では、少なくとも2人以上の独立した外部取締役がいる。そこには女性取締役も多い。また、役員に対して無様な質問をさせないことを目論んで、株主総会をお互いに同じ日に行うようなこともなくなった。

これら全ては喜ばしいことである。しかし日本の企業文化は人口減少によってより変わってきている。投資家は、どうして国内顧客がどんどん減少する国内市場に投資するのか不思議に思っていた。しかし、今では、東京の上場企業は日本に留まらない事がその答えになっている。モルガン スタンレーが行った調査では、日本の企業が戦略的に注目しているのは外国の市場に業務を拡大する事にある(生産性を上げる事はその次になっている)。

また、企業は自分自身に投資している。民間企業の設備投資は、1980年台以降初めて7期連続で増加している。労働不足を伴う経済において、人々は機械化により関心を寄せる。日本の企業はロボット産業の中核的な存在となっている。モルガン スタンレーは「自動化を進める事によって日本のROEは2023年頃までに他の国の水準近くまでそのギャップを埋めるであろう」と述べている。 つまり、日本株のより高いプレミアムが保証されているようなものである。

こうした目標水準に届くかどうかは、安倍首相の経済拡大主義である「アベノミクス」次第であり、海外からの投資資金を呼び込めるかどうかである。これまで彼らはアメリカの替わる投資として、日本やヨーロッパを通り過ぎて、中国や他のエマージング国に投資していた。

当時、人気のあった投資のファッションも時間と共に変わる。過去の荒廃した時間帯が、いまや、それが有益なものになった。言葉を返せば、挫折があったからこそ今の復活がある。そうした見通しは、1980年台に人気のあったMr T氏による有名な投資見通しでもあった(朝の来ない夜はない)。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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